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第三章~Chapter 3~孤独な訓練

 四月一七日。

 学校は例の事件によって一時的に休校になっている。そのため佐々神(ささがみ)達は暇だった。本来なら自宅学習なのだが……。

 佐々神はカトレアの訓練所に来ていた。もちろん一人ではなく(あずさ)もいる。

 現在二人は二つの部屋に別れている。佐々神は先日耐久テストを行った部屋にいる。梓はこの間使っていた部屋を使っている。

 佐々神は幻器(げんき)の使い方をトレーニングしている。幻器(げんき)の変形の早さの上昇や形状維持を主に行っている。形状維持のほうはさほど問題はないが、変形の早さの上昇はかなり難しいものがある。次の形になるべく近い形で変形させると楽なのだが、人の手で行っているので限界がある。今のところ変形までが二、三秒といったところだ。時々カトレアと組み手をする以外ここ数日間これを行っている。

 カトレアは数十種類に変形できると言っていたが佐々神は三種類しか扱えない。最近は新しい形を見つけることもしている。

「ふぅ、全然進展しないな」

 愚痴をこぼしているとカトレアがやって来た。

「文句言ってないでさっさとやる! 魔術のことは譲歩してるんだからそれくらいやりなさい」

 カトレアは出来の悪い弟に勉強を教えるかのように言う。

 ここ数日、佐々神はサボらずトレーニングを続けている。接近戦の体術はカトレアに教えてもらい、ほとんどこなせるようになっていた。なぜか分からないが佐々神は昔から、スポーツを一度見ると何でもこなせた。カトレアの体術も例外ではなかった。

「また俺と組み手してくれないか?」

 佐々神はあまりに退屈なのでカトレアに組み手を申し込む。

 カトレアは引きつった表情を見せ、

「いやよぉ。佐々神君一度見ただけでこっちの動きが完璧にコピーできちゃうんだもん。そんなに簡単に組み手ばっかりしてたらこっちが持たないわよ」

 渋い顔で言う。

 佐々神は残念そうな顔をしてため息をつく。

「まあいいや。もうすぐ新しい型が見つかりそうだ」

 少し嬉しそうな顔をする。

「え? ホントに? 凄いわよ佐々神君♪」

「まあ、まだ完成はしていないんだけどな。イメージは出来るんだが、変形の途中で元に戻っちまうんだ」

 佐々神は難しい顔をする。

 カトレアは感覚がよくわからないのか、あまり興味がないようだ。

「ふーん。よくわからないけど頑張ってね。あ、そう言えば梓ちゃんは凄いわよ♪ もう、中級魔術師(judgement)級の魔術を扱えるようにまでなっての。さすが(かんなぎ)の血は半端じゃないわね」

 カトレアは上機嫌だ。そこまで上手くいっているのか、カトレアの癖なのか分からないがずっと笑っている。

「そっか、こっちも頑張んないとな」

 佐々神はある約束を守るため頑張る必要があった。どうしても力が必要だった。

「まあ、こっちはこっちで順調みたいだし後で組み手してあげるわ。今梓ちゃんは重要なところまで来てるから、向こうに行くわね」

 そう言って扉に向かって歩き出した。カトレアは佐々神の様子を見に来ただけだった。最近はずっとこの調子だ。

 カトレアが去った後も佐々神は一人トレーニングを続けていた。そこまで出かかっている新たな力を求め。

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