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第二章~Chapter 2~封鎖された地下都市

地下都市(アンダーグラウンド)?」

 (あずさ)は佐々(ささがみ)が知っていたことに驚く。

 佐々神はいつも梓の知らない情報を持っている。佐々神は一体何者なのか。そんな疑問が湧く。

 どこの組織にも属している様子を見せない佐々神がこんな闇の部分を知っている。どこで手に入れた情報か、全く見当がつかない。

「そう、地下都市――アンダーグラウンド」

 カトレアは小さく笑う。カトレアの癖だ。

「文字通り、地下にある街よ」

「地下街とか、そういうことですか?」

 梓は違うと分かっていながら尋ねる。梓は認めたくなかった。これ以上兄が正体不明の(わけがわからない)世界にいることが。

「そんな規模じゃないわよ。詳しい情報は地下都市(アンダーグラウンド)の住人でも分からないらしいけど、東京丸々入るくらいの大きさらしいわよ」

 梓は驚愕する。東京が丸々入る? いくら東京がほかの都道府県と比べて小さいと言えども、簡単に地下都市が作れるとは思えない。

「まあ、知らないのも無理ないわね。元々は実際に新たな街として政府が開発を進めていたの。でも、今から五〇年以上前の話で当時の技術じゃとてもじゃないけど出来なかったの」

「じゃあ、どうやって作ったんですか? 実際にあるんですよね?」

 梓は尋ねる。地下都市(アンダーグラウンド)なんて存在しないと否定してほしいかのように。まるで、キスを強請(ねだ)る恋人のように。

「それは、EARTH(アース)の技術提供によって実現したの」

 佐々神は黙り込んでいる。

「EARTHってもとは、無神教者ってい言ったわよね? つまり、もとは科学者だったの。それに加え、魔術という最先端の文明を持っていた。だから、彼らには地下都市の一つや二つ作ることは簡単だったの。資金は政府の完全援助(バックアップ)のもと開発を進めた。けれど、途中で中止になったの」

「なんでなんですか?」

 梓は当然の疑問を投げかける。技術的にも金銭的にも問題はなかったはず。なのにどうして?

「何か巨大な事件が起きたらしいの。地下都市(なか)で何人も開発に関わった政府の人間が謎の死を遂げたらしいわ。それに恐怖を抱いた政府は地下都市(アンダーグラウンド)を封鎖することにした。入口を次々に潰していった。万が一に備えて、入口は何箇所か残してあるらしいけど場所が分かる人間は、政府の重役の中でもほんの一部なの。うちの組織(ラスト)でも入口の捜索は行っているけど、まだ一つも発見できてない」

 佐々神は難しい顔をしている。これ以上かかわりたくない、そんなような顔だ。

 梓は気づいている。なぜか佐々神の顔がどんどん難しくなってることに。

「話は戻るけど、どうやらその事件は魔術がらみらしいの。理由は分からないけどEARTHは、魔術を使って政府関係者を殺害して、地下都市(アンダーグラウンド)に閉じこもった。それ以来、地下都市(アンダーグラウンド)の情報は外には一切漏れてないから、EARTHの情報がつかめていないの。現在では、犯罪者など社会的に抹殺された人間が送り込まれてる、牢獄的な役割を果たしているらしいわ。中には自ら行く人もいるらしいけど、基本的には一度入ったら二度と出ることは許されない。社会(こっち)で研究できないことを求めていく科学者も多いらしくて、EARTHの技術を使って様々違法な実験を行ってるって噂もあるわ。だから、EARTHの規模は未知数。科学者はおそらく星の数ほどいるだろうし、EARTHの使用する魔術の種類、傾向など現在の戦力が分かるものは一つもないわ。だから、私たちは探るためにいくつもの魔術教団と協力して地下都市(アンダーグラウンド)の存在について詳しく調べてるの」

「あの……」

 黙っていた梓が細い声を出す。

「お兄ちゃんはなんでEARTHに入ったんですか?」

 梓は今までずっと気になっていたことを尋ねた。

 なぜ、優しいはずの兄がEARTHなんていう危険な教団にいるのか? ましては、教主だ。自ら一連の事件を起こしている張本人だ。

「なんでお兄ちゃんが……」そのことで頭が一杯になっていた。

 カトレアは、軽く答える。

「さっきは言おうと思ったけど、やっぱりやめたわ。意見を変えるつもりはないけど、今は言わないほうがいいと判断したの。梓ちゃんが今聞いても、混乱して心が壊れるだけだもの」

 そう言うと、椅子から立ち上がった。

「んじゃ、魔術の訓練するわよ」

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