表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/71

第二章~Chapter 2~良識派

 佐々神(ささがみ)達はカトレアに連れられて車に乗った。その車は真っ黒でとても高そうだ。

 カトレアが助手席、佐々神と(あずさ)は後部座席に乗っている。運転席にはドライバーの男性が乗っていた。

 しばらく車内には沈黙が続いた。梓は気まずくなったのか、カトレアに質問した。

「あの……なんで亮平(りょうへい)君のこと知ってるんですか?」

 ちょうど佐々神も聞こうとしていた。

「さっきも言ったと思うけどアタシは情報屋のシャチョーなの。だから、有名な佐々神君程度なら知ってるってわけ」

「え? 亮平君有名なの?」

「まぁ、昔いろいろあってね。有名と言っても裏の話。これ以上は本人が言いたくなさそうだから言わないけど……」

 佐々神はこれには思い当たる節があった。だから、これ以上梓に知ってほしくなかった。

「……」

 梓は黙り込む。


 三〇分ほど車で走ると大きなビルの地下駐車場に車が入って行った。どうやら、ここが目的地らしい。

「あ、ここアタシの会社ね」

 そうカトレアが説明をする。

 情報屋というのはこんなデカいのか? と思ったが、そもそも佐々神の過去も力も知っている時点で普通の会社ではないことに気が付く。

「はい、着いたから降りるわよぉ」

 そう言ってカトレアは車から降りる。佐々神達もそれに続いて降りていく。

「こっちが裏口だからこっから入ってね。VIPでご招待♪」

 楽しそうに言うと指紋認証で扉のロックを解除する。

 ベタな機械音と共に扉が開く。カトレアが入ってくのでそれに付いていく。エレベーターホールに着くとカトレアは、

「あ、アンタ戻ってていいわよ」

 運転手はそれに従い、来た道を戻っていく。

 それとは対称にカトレアたちはそのままエレベーターに乗る。

「なんか冷たいな」

「あら、アタシは運転手さんの為を思って言ってるの。関係のない人間をこちらの世界に巻き込んだら可哀想でしょ?」

「……梓はどうなんだ?」

 佐々神は感情を抑えながら言う。

「だって、アイツの妹でしょ? 関係ないとは言わせないわよ」

 顔は笑っているがとてつもない威圧感を感じる。だが、それ以上に佐々神は腹が立っていた。

「妹だからってかんけぇねーだろーが! ふざけんじゃねぇ。これ以上わけわかんない世界に巻き込むな!」

 気が付くと怒鳴っていた。だがカトレアは、それを気にもせずに笑っていた。

「ふふ。梓ちゃんに優しいのね」

 馬鹿にしたように言う。

「でも、勘違いしてもらっては困るわ。アタシ達がしてることは保護なの」

「保……護だと?」

「ええ。あの教団に対抗する教団がアタシ達みたいに良識派だとは思わないでね。中には梓ちゃんを人質に取ろうって連中もいるのよ?」

 それを聞いた佐々神は何も言い返せなくなった。

 目的の階に着いたエレベーターを降り、通路を左に進む。

「続きは部屋に入ってからね♪」

 そう言って一層豪華な部屋の扉を開けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ