僕はビンボー道を極めて幸せになりました
八
私の知人が和歌山県にある古民家を購入し、リノベーションを続けている。古民家の内装を変えたり、庭で畑を耕したりしている。その人は人生で多くの経験してきた果てに、和歌山県でミカン農家になることを決意した。農家とは、土地に土着し、土地に命をささげる覚悟でもって農業する人たちである。土地に生きることを覚悟した人たちである。
そういう彼らなら、要するにグローバルの対極になすようなローカルの彼らなら、その土地に長く住み続ける意義が容易に見いだせる。
グローカルという言葉が日本中に席巻して久しい。あなたがグローバルに進むのか、それともローカルに行くのか…。はたまた、両方に目配りしてグローカルに生きるのか。私の場合はグローカル志向が強いが、この三ベクトルのいずれにも、ビンボー道を実践する下地がある。
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家の機能性に注目したい。
世界で新型コロナウィルスが感染拡大し、社会経済がコロナの影響で急速に委縮している。新型コロナウィルスも、自らの生存をかけて変異するように、私たちも急速な変化に対応して生き残らなければならない。
急な変化に柔軟に対応するためには、シンプルであるべきだ。物事はシンプル・イズ・ベスト、である。そしてシンプルになるためには、機能性以外のものをそぎ落とさなければならない。
家の役割に注目すると、家は人の住みかであり、食事をしたり、寝たり、家族を養ったりするところである。人はしばしば、他人の視線を気にして、家の内装を豪華にしたり、トイレに睾丸のサイズ測定器を設置したりと、ありえないサプライズをやってしまう。要するに、家に無駄に金をかけてしまうのだ。
先ほどの和歌山県の農家は実にシンプルに古民家を改装した。古民家ゆえに最初は荒れ果てていたが、家族が住めるレベルにまで修繕。しかも改修費用は少ない。その土地の地域住民に手伝ってもらったり、他の農家から古民家の改修に必要な器具類を借りたりして、自ら古民家を改修してしまうのである。
ビンボー道を極めると、本当に必要なもの(マスト)と欲しいもの(ウォント)を瞬時に識別できるようになる。ビンボー道はコストカッターの王道。ミニマリストも一目置くコストカッターの王道である。
テレワーク全盛の時代において、あなたが借家派ではなく「持ち家派」であれば、等身大のシンプルな機能の家を地方で購入することで、生涯の三大支出である住宅と教育、老後資金のうち、住宅購入費を極限まで圧縮できるだろう。地方に住まう。そして仕事は都市圏からテレワークで取ってくるのである。