僕はビンボー道を極めて幸せになりました
七
話を食から住に移そう。
あなたは家計簿をつけているだろうか。毎月の支払いの中で固定費の家賃をどのように削減していくのかが、毎月の支出削減のポイントになるだろう。
生涯の三大支出は、住宅と教育、老後資金といわれる。例えば、働き盛りの三十代サラリーマンが住宅を購入するのか、それとも家屋を賃貸するのかは、自身のライフスタイルや収入、家族構成などを総合的に判断して決めなければならない。
社会経済のグローバル化が進んだ現在、日本人にありがちな夢のマイホームは、自身の活動を著しく制限する、要するに土地や家を購入するとは、「その土地に長く住みつきます」という明確な意思表示である。人・モノ・金・情報が高速で世界中を飛び交う時代にあって、その土地にしがみついて生きるのはナンセンスだし、そういう人たちに限って、親になると子供に英語やらプログラミングやらと、グローバル教育を熱心に押し付ける。
ビンボー道の界隈では、友人・知人や仲間をフル活用し、タダで泊まれる彼らの住居をいくつ確保できるのかが、生存戦略上、極めて重要であるといわれる。例えば、あるミニマリスト兼ビンボー道の賢者は、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国に自分の価値観に共感する「狂信者」が点在しており、彼らの家にタダで泊まり込むことによって、一年中、日本全国の観光地を旅しながら、住居費をほぼゼロで活動しているという。活動費や食費は、ユーチューブなどに動画を投稿することで得られる収入で賄っており、さながらノマドワーカーの端くれといった感じだろうか。
とかくいう私も、これまでにフィリピンやネパール、アフリカのマラウイやウガンダで仲間と一緒に活動してきたので、タダで寝泊まりできる「仲間たち」の家が世界中に点在しており、いつでも軽いノリで、インターネット経由で彼らの家を予約することもできる(次はラオスを攻める)。
また、日本国内のタダ家に関して言えば、地方に目を向けるといくらでもタダ家が見つかるのだ。空き家問題で困っている地方の役所では、空き家をタダで購入者に譲渡し、不動産に関わる固定資産税などの経費までを家の購入者に支給するなど、実質的に「マイナス入札」の物件まで売り出されている。
家や土地の取り扱いに慣れてしまうことが、ビンボー道への第一歩である。