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プロローグ・赤い空
こことは違うどこかの世界
そこでは『魔女』という存在が人から恐れられ、迫害されていた。
魔術とも精霊術とも違うその力は、謎が多く、人々の営みをいとも容易く破壊し、彼女達を欲望のままに突き動かす。
これは、そんな魔女と恐れられた少女たちの物語である。
少女の瞳には、轟々と唸る赤い世界が映る。
熱い、肌が焼けそうなほどに、吸い込んだ空気で喉も焼けてしまいそうだ。
目の前には、黒く長い髪をした美しい女が、血に濡れた顔で穏やかに微笑む。
その笑みは、とても静かで、ひどく恐ろしく見えた。
「あなたもすぐみんなの所に送ってあげるわ…
大丈夫、一瞬で終わらせてあげる…」
女がそういった次の瞬間、わたしは赤い空に吸い込まれた。