百鬼 束縛策
a.m.2:00に目が覚める。
多量のあぶら汗で不快に思ったからなのか
吐き気と頭痛のせいでなのか
はたまた両方か。
正直言ってどちらだってよかった。
いや、違う。
解決ができるのであれば
一番良いのだが、
町病院から大学病院まで
最後には海外にまで行ったが
治ることはなかった。
眠れないこの生活が
明日でちょうど3年が経つ。
寝たい。
こんな生活が続くのなら
永遠に寝てしまった方が楽だ。
「そういえばあの薬が残っていたはず…」
薬箱にしまってあったはず
医者から処方された
取り扱いには充分に注意してと言われた
睡眠薬によく似た何か。
初めは一月に一回。
一週間に一回。
毎夜に。
「これで眠れる」
「私はまた薬を飲む」
「これで楽になる」
楽になった。
体は軽くなり
無重力に放り出された感じだ。
享年17。
私は永い居眠りについた。
今頃になって思い出した
私は獏に食べられたんだった。