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秋葉原ヲタク白書3 王女と乞食

作者: ヘンリィ

主人公は、SF作家を夢見るサラリーマン。

相棒は、老舗メイドバーの美しきメイド長。


このコンビが、秋葉原で起こる事件を次々と解決するという、オヤジの妄想満載な「オヤジのオヤジによるオヤジのためのラノベ」シリーズの第3弾です。


今回は、アキバのミニコミ誌が主催するミスコン優勝者が地下アイドルデビューを目前にして謎の失踪をします。


お楽しみ頂ければ幸いです。

第1章 萌えプリンセスを追え

「どうやら今年の萌えプリンセスもアラサーらしいょ」


マチガイダのユーリ店長がアクビをしながらボソッと教えてくれる。

ココは僕達の秋葉原のアドレス(溜まり場)、マチガイダサンドウィッチズ。


まぁ店名はサンドウィッチとなってるけど実際はホットドッグステーションなんだけど。


「萌えプリンセスって、萌えマガジンがやってる奴だっけ?」

「確か去年のプリンセスも後から子持ちだってバレたょね」

「ミスコンじゃなくてママコンだ」


常連達の評価は容赦ない。


秋葉原には星の数ほどミスコンがある。

その中で弱小ミニコミ誌「萌えマガジン」が主催する「萌えプリンセス」はかなりマイナーな部類だ。


それでも、こうして常連達の話題になるのは比較的長く(細々と笑)続いているミスコンだからだろう。


「テリィさん!テリィさんはいますか?」


そこへ飛び込んで来たのは、ミニコミ誌「萌えマガジン」で営業をやってるスズキくん。


去年までプー太郎だったのに一念発起(一説では雷に打たれてから別人化←)して正社員の座をゲット。

今は、これ見よがしの背広&ネクタイ姿で秋葉原を奔走している。


つまり、みんなが最も苦手とする「にわかリア(ル)充(実)」の典型だ。


「テリィさんならソコにいるょ」


あ、ユーリさん、またまた余計なコトを。


途端に食べかけのチリドッグが砂利のような味になる。

せっかく最後に残した美味しいトコロを食べてたのに。


そんなコトに気づくハズもなく、スズキくんは飛び込んで来た勢いキープのまま、僕の前にどっかと腰を下ろす。


うぅ、なんかイヤな予感がするょ。


「カレー、食べますか?」

「え?」

「マチガイダのカレーですょ。美味いですょ」


そんなコトは知っている。


マチガイダの裏menu、通称ダカレーはチリベースがクセになる激辛カレーなのだ。

しかし、ユーリさんが気の向いた時に気の向いた相手にだけ出す幻のカレーなのだ。


常連でもそうそう口にする機会はないのだが…


「ユーリさん!コチラにカレーね」

「あいょ!」


なんとユーリさんが嬉々としてカレーをつくりだす。

居合わせた常連達が呆気にとられる。


スズキくん、というかリア充ってスゲェ!


たちまち狭い店内にカレーの香りが満ちる。

たまたま入って来た一見さんがカレーを注文しユーリさんに冷たく断られる。


可哀想に。


「ウチの誌面で店の宣伝をしてもらってんデスょ」

「あのさぁオトナの事情をアキバに持ち込むなょ」

「実はテリィさんに折り入って頼みがありまして」

「ヲレはナイけど」

「まぁまぁ。先ずはカレーを召し上がれ」

「えっ?いいの?」

「ユーリさん、ダカレーまだ?」

「ヘイ、お待ち!」


するとユーリさんが屈託ない爽やかな笑顔(恐らく裏人格と思われる笑)を振りまいて僕の前にダカレーをサーブ。


壁に張り付き固唾を飲んでいた常連達から小声で悲鳴が上がる。

漆黒のブラックカレーがスパイシーな熱気を放つ。


た、食べていいのか?


「テリィさん、今年の萌えプリンセスは御存知ですか?」

「あ、あの年増の…」

「美魔女と逝ってください」

「彼女がどうかしたの?」

「実は失踪しまして」

「ええっ?萌えプリンセスが失踪?!」

「テリィさん、声がデカい!」

「あ、ゴメンゴメン」

「でも正確には替玉の方ナンですが」

「ええっ?萌えプリンセスに替玉?!」

「テリィさん、落ち着いて!」

「あ、スマンスマン」

「替玉を立ててもう半年になります」

「モノホンのプリンセスはどうしたの?」

「実はモノホンは…」

「オメデタとか?」

「よく御存知で」


スズキくんの話によれば、今年の萌えプリンセスの妊娠が発覚したのは受賞直後。

まぁ、その、正確には発覚というより、当の本人から申し出があったらしい。


ところが、萌えマガジン側は既に誌上で顔写真入りで発表してしまっている。

このタイミングでそんなコトを逝われても、今更どうするコトも出来ない。


ソレを見越して「私を選んだのは萌えマガジン側の責任」と開き直る萌えプリンセス。

女って容赦ない!スズキくんを始め関係者は全員、頭を抱えてしまう。


そこへ、まぁ、瓜二つとは逝わないが、若干は雰囲気が似てます的な子が、どこからともなく現れる。


「北千住でキャバ(クラ)やってた子なんですけど」

「萌えマガも替玉路線に転んだワケか」

「まぁそもそも萌えプリってリアルで顔出しする機会って余りナイんです」

「でも、そんな子でよくプリンセスが務まったね?」

「最初の半年ぐらいは」


初めの内は、本人も楽しそうに替玉を演じていたらしい。

しかし、何が悪かったのか先月の新作アニメとコラボしたコスプレ撮影会を最後に失踪。


次の萌えプリンセスの公式イベントは全秋葉原ダーツ大会「轟」で、開催は今週末だ。

それまでに替玉を探し出し、当日のアトラクションステージで彼女を歌手デビューさせねばならない。


残された時間は3日と23時間。


唯一の手がかりは、彼女のセフレのケンちゃんだ。

あ、セフレっていうのはセックス以上恋人未満のお友達のコトだょ。


「幼馴染らしいんですが、彼なら何か知っているかも」

「じゃあスズキくんが自分で聞きに逝きなょ」

「いや、やはりこういうコトは専門家に」

「誰だょ、専門家って?」

「SF作家とメイドのコンビに任せりゃ安心だって」

「えっ?!そんなコトを誰が逝ってるの?」

「アキバの(ヤクザの)地回りがみんな逝ってますけど」


やれやれ。


第2章 消された王女

そこで早速「突然だけどデートしよう!」とミユリさんをダマして、替玉のセフレがよく現れるという北千住のバーへ出撃する。


そこは安っぽいAKB風の赤い服を着た女の子がシェイカーを振るガールズバー。

場末のバーってよく聞くけど、場末のガールズバーって初めてだ笑。


「アンタ、見ない顔だね」

「ちょっち遊ばせてもらうぜ」

「いや、アンタじゃなくて、お連れさんの方だょ」


前田敦子をかな→りアバズレにした感じのコ(チーママ?)がミユリさんに声をかける。

もちろんミユリさんは私服なんだけど、同じ水商売?同士で嗅覚が働くようだ。


ミユリさんは(恐らくワザと)おっとりモードの微笑を浮かべて御挨拶。


「秋葉原のメイドでミユリと申します」

「え?アキバのメイド?」

「色々と御迷惑をおかけしています」

「全くだょ!」


チーママ?が吐き捨てるように逝う。


この辺りで顔がいい子は例外なく秋葉原に出てメイドや地下アイドルを目指す。

一方、秋葉原には、そういう子達を安く使う居酒屋やキャバ(クラ)が軒を連ねている。


おかげで、北千住界隈の繁華街は軒並み大打撃だ。


「ホント、水揚げが落ちてねぇ」

「秋葉原も不毛な過当競争が続いてます」

「全くこのままじゃセンジュが寂れちまうょ」

「お互い共存する道があるハズですが」

「お?アンタ、いいコト逝うねぇ」


よく見るとチーママ?はアラフォー。

この歳になってナンデ私がAKB?と全身から恨み節オーラが出ている。


ソレを見越したミユリさんの絶妙トークに彼女も心のガードを下げて逝く。


「特に最近流行りの個撮ってのが曲者なワケょ」

「そうそう。スタジオとは名ばかりの狭い部屋で水着の女の子と2人きり」

「ソレで1時間¥3000って逝うじゃない」

「いや、さすがにソコまで安くないかと」

「とにかく!もうセンジュのキャバ(クラ)はもう店を閉めるしかないワケょ」


話を聞く限り、恐らく彼女はキャバ(クラ嬢)上がりのようだ。

歳を重ねてバーに移りチーママ?まで登りつめたらAKB服が待っていたというワケか。


彼女の話がしみじみモードに相転換したのを見計らい、ミユリさんが問題のセフレの話を切り出す。


「あ、ケンちゃんね。常東(小学校)の頃は可愛くてねぇ」

「ママさんは地元の方なんだ。もしかしてケンちゃんの彼女さんも?」

「いや、確かマドカは…栃木だったかしら」

「彼と会えますか?」

「もうすぐ顔を出す頃よ。あ、ケンちゃん!」


現れたセフレのケンちゃんは背高ノッポ。


ヒョロリとした背丈を折って狭い店に入って来る。

やや?カウンターの若いAKB?の子にビンタを張るポーズ(ポーズだけ)。


どうやらソレが彼なりの挨拶のようだ。

ん?今度はカウンター越しにネックハンギングツリーを仕掛ける(ポーズだけ)。


「ケンちゃん、コチラがお話があるって」

「誰?」

「秋葉原でメイドさん、やってルンだって」

「え?アキバのメイド?」


セフレのケンちゃんは露骨に興味を示す。

カウンター越しにかけてたポーズだけのプロレス技を解きミユリさんの方へやって来る。


カウンターの中では人間絞首刑?を免れた若いAKBがウンザリ顔で別の接客を始める。

どうやら、よくいるプロレスごっこのフリをして女の子に触るセクハラ系の客のようだ。


「お前は?」

「秋葉原のメイドでミユリと申します」

「俺に用か?」

「マドカさんのコトで」


セフレのケンちゃん、微かに動揺。


あ、因みにここまでの間に、ケンちゃんはミユリさんの顔を上下左右から撫でるようにしてパンチ(のポーズ)を繰り出してルンだけど、ことごとくミユリさんにブロックされている。


もちろん、その間もミユリさんの微笑が絶えるコトはない。


「マドカさん、何処に逝ってしまったのかしら?」

「さぁな。秋葉原に逝くって逝ってたけど」

「アキバからは姿を消したんですょ彼女」

「今でもメールは来るんだが、居場所まではわからねぇ」

「あら。ずいぶんと仲良しなのね」

「肌が吸いつく感じなのさ」


ケンちゃん、セフレの面目躍如。


ふと、痩せた奴に限って絶倫なのょと同じく絶倫だった(学生時代の)元カノがボヤいてたのを思い出す。


何気に履いているジーンズの股間に目を落としてみたが、コチラは特に大したコトはなさそうだ。


すると、何か卓越したテクニックでもお持ち(なぜか敬語←)なのか?


「さすがね。色男さんとのメールのやりとりもソチラ方面なのかしら?」

「あはは。まぁな。ん?待てょ、そういゃあ最近…」

「ねぇ早く教えて。私、ガマン出来ない」

「何かを知ってしまって…そう逝えば誰かに消されるカモって」

「何かって何?誰かって誰?ねぇ私を焦らさないで」

「そんなら俺も焦らすなょ!あぁ!もぅダメだっ!」


何をやってルンだ、この2人は?笑


もっともミユリさんの方は極めて冷静で、ここまでケンちゃんが繰り出す何百発というパンチ(のポーズ)を鉄壁ブロック中。


そのサマはまるで孫悟空をあしらう千手観音のようだ。

ついにケンちゃんが業をにやす。


「な?もういいだろ?な?な?」


長い首をキングギドラのようにクネらせミユリさんのブロックをかいくぐる。

唇をスボめてミユリさんにキスを迫る!


次の瞬間、ミユリさんの人差し指が奴のスボめた唇にスポッとハマる。

そのまま前歯を軽く押して奴を仰け反らせる!


ざまぁみろ。


「長々とお話をありがとう、色男さん」


ミユリさんと僕は店を飛び出す(キャッシュオンデリバリーなので会計がなくて助かった)。


駅前の雑踏に紛れ込み、そのままメトロでアキバに逃げ?帰る。

昭和通り口から地上に出て見慣れたヨドバシカメラのネオンを仰ぎ見て、やっと安心。


ミユリさんと顔を見合わせて僕は逝う。


「さすがはミユリさん。パーフェクトな調査だったね」

「ううん。今回は少し危なかったな」

「ええっ?なんで?」

「だって指を吸うんだもの」


うーん、やはり奴はテクニック系だったか。


第3章 ママはレースクイーン

その夜は、イマイチ釈然としないまま、ミユリさんのお店の前でお別れ。

すると数日後、ミユリさんから、気になる話があるからお店に来てね、のメール。


僕はSFマガジン新人賞狙いで書き溜め中のスチームパンク小説を適当に切り上げ聖地(秋葉原)巡礼。


「おかえりなさいませ…な→んだ、テリィさんか」


ヘルプのつぼみさん(愛称:つぼみん)から声がかかる。

彼女は引きこもり中にミユリさんと出逢い、そのままお店を手伝うようになっている。


実は彼女のおじいちゃんは、その筋の連合会長とかをやっているらしい。

僕は、恐らく今回の仕事?も裏では彼女を経由してルンじゃないかと踏んでいる。


「今度はレースクイーンを追っかけてルンだって?」

「はぁ?レースクイーン?」

「男の欲望ギッラギラなんだから」

「男のロマンと逝ってくれ…ってか何でレースクイーン?」

「ミユリ姉様という方がいながら情けない!もし推し変(浮気)したら虎吉に…」


アキバの夜を〆る若頭を呼び捨てにして怖い顔のつぼみん。

そのつぼみんを苦笑まじりに脇にどけて、ミユリさんが僕の正面へ。


しかし、つぼみんは別の接客をしながらも、時折コチラを向いては怖い顔で睨む。

僕は長い溜息をつきながら、ミユリさんが差し出す薄いカクテルを口にする。


「で、レースクイーンがどうかしたの?」

「実は、マ→ナから聞いたんだけど…」


マ→ナは、秋葉原に星の数ほどいる地下アイドルの1人だ。


オフで草レースのレースクイーンとかもやっているらしい。

僕とは、とあるメイドカフェで御主人様とメイドの関係だ。


あれ?地下アイドルにレースクイーンにメイド?

多芸多才?単に若いだけ?笑


それにしても、ミユリさんとも知り合いとは恐ろしい。


「今年の萌えプリンセスに選ばれたコ、裏ではレースクイーンとかもやってたみたい」

「へぇ。みんな手広いねぇ」


マ→ナの話によれば、レースクイーン仲間の間では彼女の妊娠は衆知。

というか、この世界はしょっちゅう誰かが妊娠してるらしい笑。


どうやら、裏では替玉を融通し合うなんてコトも日常茶飯らしい。

萌えプリンセスに替玉を立てるっていう発想も、ココでの経験から来ているようだ。


「結局、彼女にとっては萌えプリンセスよりもレースクイーンの方がメインだったってコトなの」

「所詮は弱小ミニコミ誌が主催するミスコンでした、というワケか」


可哀想なスズキくん。


一方、替玉にされたマドカさんの方は、萌えプリンセスの替玉ならOKだけどレースクイーンは困りますと逝うリアクションだったようだ。


そもそも萌えプリンセスだって、最初は人前でニコニコ笑ってるだけでいい、という話だから受けたのに、いつの間にか人前で歌まで歌うコトになっている。


「マ→ナの話だと、マドカさんって容姿にコンプレックスがあったんだって」

「うーん。最近のレースクイーンのコス(チューム)は激しいからなぁ」

「でも…」


ミユリさんは思案顔だ。


「そんなコがキャバ(嬢)なんかやるかしら」


第4章 アキバのビーナス誕生

「轟」は秋葉原でダーツをやる者にとっては甲子園みたいなイベントだ。


昔から遊び人を気取る連中にとっては必修科目らしいダーツ。

ここ秋葉原でも若年性ゲートボールとでも呼びたい広がりだ。


そんな流行に踊る連中が毎年一堂に会するイベント、それが「轟」だ。

およそ競技と呼ばれるモノと無縁な僕にとっては、どうでもいいイベ(ント)の No.1。


「おおぉ、こんな大箱(大きな会場)がよく取れたなぁ」

「関西系のお屋敷が日本橋(にっぽんばし)(大阪の秋葉原的なエリア)に撤退した跡みたい」

「あ、潰れたんだドングリハウス」


中央通りを見下ろす雑居ビルの7F。


エレベーターのドアが開くと見渡す限りの人また人だ。

しかもそのほぼ全員が思い思いのコスプレをしてて渋谷のハロウィン状態。


壁際にズラリと並ぶターゲットに向けダーツが飛ぶ度に歓声と悲鳴が爆発。

会場全体を喧騒の連鎖反応が覆い、ザワめきとドヨめきが果てしなく続く。


ところで、今日のミユリさんはブルーの超ミニワンピにパラソル。

その、まぁ、所謂レースクイーンのコスプレをしている。


もちろん僕的にはヲレの推し(てるメイド)をみんな見てくれ状態なんだけど…

しかし、なんでレースクイーンなのかな(まぁ僕的には全くOK…以下無限にループ笑)?


「あ!ミユリさん、ホントに大丈夫だょね?彼女、必ず来るょね?」

「大丈夫。彼女は絶対来ますから」

「た、頼むょ!あ、テリィさんも…」


会場入りした僕達を目ざとく見つけたスーツ姿のスズキくんが念を押しに来る。

こら!声をかける順番が違うだろ!


既に「轟」自体は朝からスタートしている。

アトラクションとして萌えプリンセスの歌手デビューイベントもネットで告知済み。


全ては動き出している。

もはや後には引けない。


「ミユリ。お待たせ!彼、連れて来たから。あ、そのコス(チューム)、懐かしい!」

「ありがとう。服が入るか心配で。ふふ」

「貴女ってサイズ変わらないものね。テリィさんもお久しぶり。まだミユリとつるんでるのね」


次のエレベーターで上がって来て僕達に声をかけたのは…

ぎゃ!マ→ナかょ?


しかも、ミユリさんと同じブルーのレースクイーンコス(チューム)なんだけど…

ワンピじゃなくてヘソ出しのセパレートタイプだっ!


それってスコート取ったらビキニだょな(無限ループ中だけど僕的には全くOK!)?!


おいおい!その格好で中央通りをココまで歩いて来たのか(ますますOK笑)?

しかも彼女が連れて来たのは…


「うおぅ!ホントにあの時のメイドさんだ!」

「ケンちゃん様、ごきげんよう」

「よっしゃ!今度こそ秋葉原のメイド…あれ?レースクイーンか?とにかくプロレス技をかけてやる!」


やや?北千住のAKBバーで会ったセフレのケンちゃんではないか!

早速ミユリさんにパンチ(のポーズ)を繰り出しては鉄壁にブロックされている。


挙句に得意?のラリアット(のポーズ)をかわされヨロけて苦笑いとかして案外トロい、というかイイ人アピール。


しかし、なんでセフレのケンちゃんがココにいるのかな?

しかも、どーゆーイキサツでマ→ナとツルんでるワケ?


ところが、ビックリはまだ終わらない。


「ミユリ姉様、お待たせしました!マドカさん、お連れしましたぁ!」

「ありがとう。つぼみんも御苦労様」

「あああっ!ケン坊、こんなトコロにいたのねっ!」


その次のエレベーターで上がって来て僕達(含むレースクイーン2名)に声をかけたのは…


メイド服の女子2名なんだけど、1人はつぼみんでまぁいいとして、もう1人は…

えっ?この子がマドカさん?あの替玉の?


で、でも萌えプリンセスとはまるで別人だょ(直接見たコトないけど笑)。

しかもフェイスが限りなく「並」クラスなんですけど←


と、思う間も無く、突如、彼女のドロップキックがセフレのケンちゃんを一撃!


「死ねっ!この浮気者っ!」

「ぎゃあ!待ってくれぇ!話せばわかる!」

「問答無用っ!」


何処かで僕も口にした覚えのあるセリフだ。

そして、その時と同様、史実と同じ結果がケンちゃんを襲う。


そのままマドカさんにマジでボコ(ボコに殴)られた挙句に、最後は…

渾身(そしてアンスコ丸見えの笑)のローリングソバット!


モロに食らって吹っ飛ぶケンちゃん!


彼女はもう立派なメイドプロレスラーだ!

対戦コーナーのセフレ相手にデスマッチ!


「あぁ、ダメょマドカさん。殺しちゃ」

「男なんて所詮はレースクイーンが大好きなんだから」

「迫られたらケンちゃんだって断れないわ」


ええっ?萌えプリンセスがケンちゃんに迫った?

ミユリさん達はいったい何を逝ってるのだろう?


もしかして萌えプリンセスの妊娠にはケンちゃんが絡んでいるのか?!

さらに気色ばんだケンちゃんが「ヲレは誘惑されたんだ!」とか叫んで墓穴を掘る!


セフレの浮気発覚か?!

マドカさんの激情が爆発する!


「アンタなんか!アンタなんかセックスが上手いだけのバカ男よっ!」

「そんなバカ男の指に溺れたお前はもっとバカ女…ぎゃ!」

「ケンカをやめて!マドカさん、萌えプリが彼を誘惑したのは事実なの!」


どうやら裏事情を承知しているらしいミユリさんが仲裁に入る。

ケンちゃんを卍固めに捕えたマドカさんにつぼみんがロメロスペシャルをキメて制止する。


なんかそーゆー流れで仕方なく僕はケンちゃんのカットに入る。

あぁ!これはもう完全にミックスドマッチ(男女混合試合)だ。


マドカさんが傍ら(レフリー?)のミユリさんに「ギ、ギブアップ」とコール。

吊り天井固めをキメられて弓なりにしなるメイドレスラーをつぼみんが解放。


「どうして萌えプリは、私のケン坊を誘惑したの?なぜ私から彼を奪ったの?」

「ソレはね…萌えプリが貴女に嫉妬していたからなの」

「ええっ?萌えプリが私に嫉妬?なんで?」


マドカさんの暴走が初めて病む、あ、失礼、止む。

ついでに僕も耳を疑う。


まぁハッキリ逝ってマドカさんは顔も「並」だしカラダも大したコトない(ごめんなさい)。

そんなマドカさんのコトを萌えプリンセスがどうして妬む必要があるのだろう?


その理由を語るのはマ→ナだ。


「彼女はね、実はトンデモナイ音痴なの」

「はぃ?音痴ですと?」

「そうなの。ソレも全く手の施しようのない絶望的音痴」


レースクイーン仲間の忘年会でカラオケに逝った時に、嫌がる彼女をムリヤリ歌わせてみたらビックリ仰天。

余りの壮絶さに盛り上がっていた女子会が一気に凍りつく大惨事に。


以来、武士(淑女?)の情けで、彼女の音痴は仲間内で厳重に封印される。

ところが、萌えプリンセスが歌手デビューと聞いて密かに去就を案じていたトコロ。


「替玉が歌手デビューしてしまえば、音痴な自分は完全にお払い箱」

「というコトは…」

「その日が替玉がホントのプリンセスになる日というコトね」


そんなマドカさんに嫉妬した萌えプリンセスは、腹いせにマドカさんのセフレを奪う。

さらに「私の替玉って容姿にコンプレックスがあるみたい」と陰口を叩きまくる。


この手のフェイクニュースは秋葉原では光速で拡散する。

絶望したマドカさんは容赦なく失踪へと追い込まれる。


しかし、そんなマドカさんを、ミユリさんに頼まれ見事に探し出したのは、つぼみんだ。


「アキバで夢に疲れた引きこもり女子が逝く場所ならお任せ。ね?ミユリ姉様」

「つぼみんはもう引きこもりじゃないし。で、ケンちゃん様の方は…

「ソチラは私の出番ですぅ。テリィさん、実は私とミユリは昔ね…」


常にプロレス技の研究に余念のないケンちゃんは、実はマ→ナが出るキャットファイト(女の子のプロレスショー)のSシート(特等席)常連。


しかも、どうやらマ→ナがお目当てだったらしくてリン(グ)コス(チューム)で場外デートしてあげると釣ったらノコノコ「轟」の会場までついて来る。


因みにマ→ナのリングネームは「気ちがいレースクイーンのマ→ナ」笑。


しかしマ→ナ、君は地下アイドル、レースクイーン、メイドの他にキャットファイターまでやっていたのか笑。


「うおぅ!今年もスゴい人だな「轟」は。あ、ミユリさん!現場はココっスか?」

「ショーさん、いつも御厄介になります。コチラが今年の萌えプリンセス」

「ええっ?この子が?例年の萌えプリよりメチャ若いじゃないスか。顔も普通…ぎゃ!」


次のエレベーターで会場フロアにやって来たのは秋葉原に集う(アイ)ドルヲタ(ク)の頂点ショーさん率いるヲタ芸師達。


いずれもアキバの(アイドルライブの)現場で会えば誰もが道を譲る有名ヲタ(ク)ばかり。

因みに最後の悲鳴はマ→ナのエルボーがショーさんの鳩尾に決まった瞬間の悲鳴←


「イ、イ、イマイチよくわかんナイけど支援(自分の推しでないライブを盛り上げるコト)しますょ」

「すぐデビューライブが始まります。仕切りはお任せしますので、よろしくお願いします」

「了解!えっと支援ですが晒し(ヲタ芸師自身も見せ物になる)現場なんでよろしく。ドルフィンからのロマンス2フリで…」


手早く側近にヲタ芸(アイドルの歌に合わせたヲタクのダンス)のTBM(直前の打合せ)を始めるショーさん。

兵隊(駆け出しのヲタク)が打ち師(ショーさんと側近達)に真っ赤なサイリウム(暗闇で光る棒)を配る。


ステージ下にショーさん達が1列に並ぶと、もうそれだけで人だかりが出来る。

(コス)プレイヤー達もダーツを投げる手を休め続々とステージ前に集まる。


デビューライブの準備OKだ。


「さぁ貴女が輝くターンよ、この秋葉原で」

「キャバやってた過去と昔のセフレは完全に消去して」

「萌えプリンセス、さぁステージへ!」


未だ表情に険しさの残るマドカさんにミユリさんとマ→ナがカワリバンコに話しかける。

前を向いたマドカさんの表情が徐々に輝きを帯びてくる。


逝けそうだ!


「私、歌うカモ」

「オーライ!レリゴー(Let it go)!」

「スズキくん、MC(司会進行)入れて!」


ゼロゼロ(客席側のセンター)のショーさんがアイドルのためにステージへの道を開ける。

セフレのケンちゃんがうろたえて何か声をかけるがマドカさんはもう振り返らない。


「ヲタクなレディース&ジェントルメン!」


スズキくんのMCがかぶる。

マドカさんはショーさんに手を引かれ客席からステージへと上がる。


ソコはカクテルライトが渦巻く光の海だ。


「御紹介します!今年度の萌えプリンセス…」


やや?いつの間にかヲタ芸の戦列にメイドやらビキニガールやらが参戦してるょ?

つぼみんとスコートを脱ぎ捨てたマ→ナをヲタ芸師達が歓声をあげ迎え入れてる!


「今宵は(ヲタ芸を)打って頂けますか、御主人様?」


ふと気づくと、傍らには既に真っ赤に発光しているサイリウムを差し出すミユリさん。

いつのまにやら彼女もスコートを脱ぎ(ワンピじゃなかったね笑)完全に水着モードw


僕はアッサリ臨界点?に達してしまってガラにもない大声で思わず叫んでしまう。


「よっしゃ逝くぞー!!!」


カクテルライトの海で微笑むマドカさん。

あぁ、コレは何処かで見覚えのある絵だ。


地下アイドルのデビュー現場。

ソレは秋葉原のビーナス誕生。


さぁ、みんな!

美の奇跡に立ち会う準備はいいか?



おしまい

今回はミニコミ誌のリア充な編集、ミスコン優勝者とその替玉、そして替玉のセフレやミスコンを掛け持ちするレースクイーンなど地下アイドル系のキャストが登場しました。


また前回までは手探りで書き進んで来ましたが、今回からは創作工程の標準化を図り連作体制?を整えて臨んでいます。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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