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陸と海

作者: 孤雲

ハロハワユという曲をモチーフに書きましたが、曲の投稿者様とは一切関係がありません。

個人的に思い浮かんだものです。

 

大丈夫?と心配する声が聞こえた。

それと同じように返す為に口を開いたが、声になっただろうか。

そう、大丈夫だよ。

何も問題なんてないのだから。

 

 

 

「ねえーちょっと!いい加減辞めようよ……」

一体それを聞くのは何度目だろう午前7時半。僕としては何を何度もグチグチ口うるさく言っているんだ、って感じで。あの日からずっと続けている朝の日課。声の主は知っていながら、なお僕に付いてくる。

「う・る・さ・い」

あぁ、本当に煩わしい。僕は文句を言われる度に振り向いて一言だけの拒絶を彼女に押しつけて黙らせて歩くのだ。綺麗な白のワンピースが影を纏い、薄汚れたTシャツは清々しくなびいた。今日は雲が多いが、ある程度な良い天気で雲の隙間から黒髪を日が照りつける。ここらは晴れの続く気象なのに、帽子さえ持っていないというズレた彼女。本当になんなのだろう。引っ越してきました、なんて言って僕なんかの意地に付き合うようになって、もうすぐ2年くらいだろうか。

 

 

『一人暮らし同士、手伝うことがあれば言ってください』

そんな常套句を並べて同じ間取りの部屋に招かれれば、荷物なんてほとんどなかった。僕の一般常識のイメージですら少なすぎると訴えていた。それに。

『コンロっていうのもの使い方とお風呂のやり方を教えてほしい』

そんなの大家にでも聞けば…いや、うちの大家は教えてくれないのかもしれない。フレンドリーの化身だとか、社交性の塊である大家さんは隣人とはある程度の関わりを持っておくのが良いという持論があるらしいし。海沿いに一番近いちょっと古めかしい小さいアパートに何を求めているんだろう。入居者はそれぞれ人は良いが、深く関わるのは好きじゃない。それにしても、そんなことも知らないのか。これはよほど箱庭のお嬢様だったのだろうか。そういう第一印象の彼女は僕の中で段々と変化している。

 

 

歩く度に近づいていく砂浜も日に晒されて、蒸し器並みの蒸気を下から僕に当てつける。相変わらずな道のりは色々な廃棄物が減らずに増えている。いつの間にか、心は落胆さえ乗り越えて。毎日飽きもせずにゴミを拾っていくのは僕と、文句を言いつつもなぜか付いてくる陸葉リクハ《リクハ》だけ。

「何年経ったって現れやしないよ。なんで貴方は分からないの!?」

黒に近い深緑色の髪を潮風に揺らした、見た目だけは大人しそうな隣人。だからこそ、真っ直ぐ言葉が僕に刺さる。あぁなんで、彼女に日課の理由を零してしまったんだったっけ。そう、確か、疲れていたのだ。歳が近かったから懐かれて、こうして付いて来ている訳じゃない。僕が子供のように泣きじゃくりながら、凹みに凹んでたまたま会った隣人にあの日のことを話した。誰かに本当を聞いてほしかった答えが欲しかった。溺れた時の苦しさが喉元を締めつけて、言わない言えない理性が一瞬だけ居なくなった。膨らんでいく心臓と萎んでいく心が軋んでいく音に5年しか耐えきれずに秘密を洩らした。何年だって待ってるし待てると思っていたのは簡単でなくて勢いだったんだ。今もなお彼女がこうも口うるさく言うのは、僕の日課がもう7年目だからだろう。もし後3年過ぎたらあの日から僕は倍の年齢になる。10歳の初恋なんて引きずるのはおかしいんだよ。今を、現実を見たらどうなの。優しく静かに慰められたあの時の声で、突きつける同じような否定の言葉はきっと心配からなこと位は分かっている。どこか子供っぽくって世間知らずの陸葉リクハに、そういうところが年上なんだと思わされる。たった2つなだけなのに。

「ねぇ聞いてるの?」

「煩いって言ってるだろ!別に来なきゃいーじゃんか……」

煩い。しつこい。揺らぎたくない。僕は待って居るんだ待つ為に居るんだ。

「怒鳴らなくても……だって、溺れちゃったら困るもの……」

しおらしくしないでくれ。お願いだから僕の意地の為に傷つかないで。ほらもう手遅れなんだよ、諦められない幻の夢物語に捕りつかれてるから。僕らの他には誰も居ない海を、その遠くを真っ直ぐ見つめる。それでも僕の望む人はきっと現れない。馬鹿じゃない。子供じゃない。片隅では理解している。だけど黙々と家から持ってきたビニール袋に捨てる。投げ入れたのはゴミ。拾っていくのもゴミ。ガタガタのクズな存在である死に損ないの僕も簡単に捨てられたら良いのに。捨てられた瞬間に拾い上げたあの人が居たから、捨てたくても捨てられなくなったじゃないか。だからどうか。

「あ……まぁいっか」

ガサゴソとゴミ袋の音に紛れて。聴こえたその単語。待ちなさい。

「ちょっと待て、袋が破れちゃってるじゃんか」

「え、うん。分かってますよ?まぁいっかなって?」

「いやいや分かってない。明らかに良くないって言ってるだろ」

僕の意地に付き合ってくれる変な隣人はプラスチックのゴミで少しだけ穴の開いたビニール袋を片手に笑う。大抵そういう時は僕が直す。ポケットにはここ2年腐れ縁でお世話になっているセロハンテープ。大人しく袋を差し出した所へしゃがんで簡単に穴を塞いで直してから、ふと、見上げて見た彼女は海を眺めていた。彼女を捉えている感情はなんだろう。遠い遠い。けど深さのある……そう考えてから思い直す。だってきっと僕なんかとは違って、決して欲とかではないのだろうから。

 

 

 

彼の持ってきたビニール袋の全部にゴミがいっぱい入った所で、いつもの日課は終わり。私の隣の部屋に住んでいる2つ下の男の子。空汰アクタ。よく知らないけどそういう名前の偉い人がいたから、呼ばれるのが嫌みたい。本人が言っていた。だから呼ばない。今付いてきているのは私の我が儘であって嫌われたくなんてないから。重くなったゴミ袋を捨て場に置いて、その数歩後ろを歩いて、背中を見ながら口から言葉を放つ。ねぇ振り向いて。陸に来てみても届きそうにない背中は歩く足を止めない。なんだか今日は雲が多くて、自然の涙が降ってきそうで、ちょっと気分は良くない。照りつけるお日様にジリジリ焼けて、ひび割れそうなのは辛くても、前を見れば怖くはないから。まぁ出来ることなら毎日晴れて欲しい。雨の日は私が出歩けないから。暑いのは苦手だけど、自分より少し背の高い、空汰アクタのあの背中を見て居たいから。

 

 

また時間は過ぎる。

 

 

「おはよう」

そう、窓を開けてみて、私は一瞬で堕ちる。あーあ、気分なんて良いわけがない。開けてしまった窓から部屋に静かに響くのは雫が壊れていく音だ。確か、激しく降るのを土砂降りというらしくて、今はまさにその部類のものだろう。はは……どうしよう、なんて。寝ぼけた頭で窓を開ける前から分かっていた現実に逃げて、諦めて自棄になって開けたところで、天気は晴れにはならなかったし時間だけ過ぎていく。一向に支度は進まなくて。

『呆然としてしまうのは諦めきれないからでしょ』

耳元で囁いたのはお姉様の声。もちろん1人暮らしだから、実家に住んでいた頃に言われたものが幻聴になっただけだ。分かってたけど、記憶が過って怖かった。寒気が隅から隅まで支配する。開けたばかりの窓を勢いよく強く閉めて。また煩いってきっと空汰アクタに怒られるんだけど。強く、強く耳を塞いで。幻聴はもう聴こえてしまっているのに。現実を見なよと、陸に上がった過去の私は言う。空汰アクタの為に言う。それは忘れた頃に私にも刺さる。どうしよう今日の気分は最底辺だ。私が投げた言葉が幻聴のせいで、もう一度頭の中で繰り返される。

『現実を見なよ』

じんわり不安定に地面が歪む。私は人間としてちゃんと出来ているだろうか。誰も居ない部屋で1人。自分の味方だった人を全て捨ててきた、もう心配してくれる人なんて誰も居ない。自業自得で不安がるのも間違っている。一粒目から零れ落ちるのを見つめて、床を濡らすのを見つめて。人間だ、そう思う。もうきっと、大丈夫?なんて聞いてくれる人は居ない。どこにも。居ない。

 

 

 

大丈夫?そんな声がかけられた。

質問にそのままの質問で、大丈夫?と聞きかえす。

だって、とても自分の気持ちを伝えられそうにないから。

応えになってはいないけれど。

 

 

 

雨の日は一体、いつ以来だろうか。砂漠でもあるまいに。雨の日はちょっと憂鬱で、合羽を着ての日課行動だ。照らしてくれる太陽は居ない。何故か陸葉リクハも居ない。これはいつものことだ。さすがに隣人の意地に付き合うのは晴れの日だけなんだろうな、と理解はしている。でも自分の中で何か納得しきれずにモヤモヤとしているみたいで、その理由はまだ分かっていない。独りで砂浜に向かい、拾ってまた帰る。本当に誰も居ない。隣人は気づけば後ろを付いてきていたからよく覚えていないが、もしかしなくても変わり者で気分屋なのかも、と思っていたっけ。やっぱり今日は雨音以外は静かだ。それなのにゴミは増えているところを見ると、ゴミを捨てる側も結構な物好きだとなんとなく思う。少しだけ早く帰ろうか。水滴がぶつかっては散っていく。スニーカーが重くなって晴れの日より地面が凹んだ。雨と潮の香りが纏わり付いても雨は止まない。こんなに水はあるのに。風に荒れてる海の日は何も気配を感じなくて、本当に静かだから。

 

雨の日じゃなかったのに、あの日も静かだった。よく晴れていて、ほとんど波のない綺麗な海の水に、僕は手を繋いだ先を見上げて笑いかけた。綺麗だね、って。小学校に通い始めてから少しずつ気づいてしまった普通にずっと蓋をして、隣に立つ母さんに笑いかけたんだ。僕の家は全く団欒のない静かな場所だったけど、それを受け入れているつもりで言ったんだ。静かって綺麗だって。まだまだ子供で甘えたかったけど、優しくされたかったけど、愛されたかったけど、全部抑え込んで。

『静かなとこって綺麗だと思うよ。』

でもそれが良くなかったんだと7年も経てば分かる。この回答に答え合わせは出来ないけれど。きっとあの時、母さんは綺麗って言われたのが嫌だったんだ。きっと、父さんに当たられて疲れてて。きっと僕なんてクズだから要らなくなったんだ。きっと、きっとゴミは海に棄てるものなんだ。だって、綺麗だから。綺麗を汚したくて。

 

嫌な記憶。でも大事な記憶。

 

何も言わず、急に方向を変えた母さんに防波堤から突き飛ばされて海に棄てられて、流されて。沈んで。泳ぎが下手だった僕は苦しさに泣いたところで、去っていく母を見た。一瞬見えたのは感情のない母さんの顔だった。どっちも塩味で、涙も海に溶けたら分かんないんだな、ってちょっと思って。そのまま誰にも知られず静かに消える。見えなくなる空、無くなっていく息。泡が横をすり抜けて水は掴めずに昏い底へ堕ちていく。消える、消えるはずだった―――――。

 

そこで彼女に出逢ったんだ。

 

太陽の日差しの光で時々流れるように色の変わる青い髪と、そう大きさの変わらない繋いだ掌。人間の足はなくて、綺麗な白い肌から白い鱗になって尾鰭が見えた。だからか彼女は大人じゃないのに重くなったはずの僕を軽々と水面にあげて助けてくれた。印象がとても強くて、朦朧としながらも覚えていたんだ。初めはお礼を伝えたかった。それが段々と、助けてくれたからだけじゃなくて。強く望むようになって追いかけた。綺麗な髪に、綺麗な彼女に触れてみたいと棄てられたはずの僕は思ったんだ。

 

 

 

明かりのない部屋にまた、朝が来る。絶対に朝日は昇る。ねぇ今日の気分はどうですか。

「あんまり良くはないよね。休んでしまおうかな。」

きっと彼は怒るんだろうな。晴れてしまっている空を見上げ、憂鬱な癖にそれでも支度をしなくちゃと思う自分がいる。だけど急げるだろうか。間に合うだろうか。涙の痕は出来てしまっているだろうし。自分1人で立ち上がるには時間が欲しいかも、なんて。

 

「待ってよ、空汰アクタ

「あー煩い。名前、呼ばないでよ」

「ごめんなさい……」

追いつくつもりもないから置いていかないで。口から出ない言葉が言われずにどんどん消えていく。喉元まできても絶対に言えない。掟だから呑み込んで。だって今日も会えて良かった、なんて。いつもの数歩後ろで同じ距離感をとって。いつもの普通で今日も貴重な言葉と時間を浪費して生きていく。普通の人間よりも早く消費していく。

「あのさ、なんで陸葉リクハはやってくれるの?」

いつもじゃない新しい問いかけに、真っ先に恐い、と思った。貴方は私に何を望むというの。昨日不安定だったから怖くなっているのだと分かっていても、今までに無かった問いをどう交わせばいい。答えなきゃ。タイムカードは生まれた時から進み続けているから、人生の給料分は働かなくては。

「初恋を追いかけるのっていいな、ってそれだけかな。」

一体誰が計算して払ってくれるというのか。曖昧な言葉だと、口をついて出た時に自分でも思った。でも明確に言ったら、きっと―――。それより答えは合っていただろうか。こんな曖昧な関係、すぐにでも壊れてしまう気がした。

「ふーん。やっぱ変な奴」

空汰アクタの顔を見れないのが怖い。なんて思ったんだろう。目の前の背中は何を聞きたかったんだろう。気にしてしまってどうしても落ち着かなかった。でもその後は何もなくて、表面上はいつも通りみたいだった。なんとなく空汰アクタが隠し事している気がした。なんで言ってくれないんだろうか。なんで急に私を気にしてくれたんだろうか。でも踏み込む訳にもいかなくて。

「明日もまたね、って言えたらいいな」

話すきっかけが欲しくて帰りにそう零してみた。なんとなくを装って少し新しい声ちょっとだけ聞きたくなった。こうして話せるようになったのだから欲張っても時間は縮まらないはずだし。……どこか感傷的なことを言ってしまった気がするけれど。どう言われるのか知りたくて空汰アクタのことを試したんだ。私、本当に弱くなった。一方通行で水面越しだったあの頃はもっと強かったはずなのに。

「でも、陸葉リクハには全然期待してないから」

ヒュッと喉が鳴った。言葉にならなかった。私にとって、流すには無理な言葉だった。なんで。どういう意味なの。分からない。失敗した失敗した失敗した。なんの期待か曖昧に言われても直接ぶつけてくれなきゃ分からない。背中は私を置いていく。待って。分からないよ。なんで。

『もうお前には全然期待などしていないからな』

なんで、嫌だ。さっき聞いた空汰アクタの声に父様の声が重なった。でも、どうして。分からない。暗闇色の光の無い海に迷い込んでしまった感覚が全身を苛んだ。手足を使えば泳げるはずなのに。空汰アクタは立ち止まった私に気づかない。前を歩いて振り返りはしない。

 

 

 

「羨ましいな。皆に愛されて。」

ずっとその成長に一喜一憂して、勝手に支えにしていた。見上げても手は届かない。

本当は愛する側じゃなくて愛されたいのですか。

「聞いてほしいわけじゃないから言わないんだ」

だから見守る。欲しいと望んだことはない。

 

 

 

今日は晴れた。また陸葉リクハは遅れて走ってくるんだろうな、と少しだけ思って。支度はすぐに終わった。なんでもない日のはずなのに。いや、嘘だ。今日は僕が捨てられたあの日だ。外の気温が高くても海の水は冷たい。あの水の感覚が独りだと込み上げてきそうで。

「待っていてやろうかな……」

今までは置いて行っていた癖に、なんでか今日は独りじゃ前に歩くのが嫌で。毎年普通に忘れて過ぎていた癖に。たまには年上の隣人様をお待ちしようなんて。扉を開けて。その場で待つ。でも。

「遅い。晴れてるのに」

雨じゃない日以外は必ず来ていた陸葉リクハ。朝に僕が強いとは自覚が合ったが、一向に隣の部屋から物音がしない、聞き耳を立てた訳じゃないぞ。1時間待ってみた自分は偉かった。よし。インターホンを押して慣れない音が響いた。徹底的に待ってやろうと思う。

「そういえば初めてだっけ。」

インターホン自分で押したことがなかった。記憶の中では人生初かもしれない。数分待って、やっと声が聞こえた。でもそれは扉越しだった。

「ごめんなさい……空汰アクタだよね。今日は誰にも会いたくないの……」

弾んで聴き慣れたソプラノは影も形もなかった。どうしたの。真っ先に口を出そうになったソレを飲み込んだ。普段から僕は彼女の質問を煩いと言って拒んでいた。本当は聞いてほしかったんだけどな、って自分勝手に思ったこともあったけど。陸葉リクハに言わせなかったのに、僕が今言ってしまっては良くない気がした。深く問う前に止められて良かった。

「それ本当?」

会いたくない、にだけ質問をしたけれど、返事はなかった。別に陸葉リクハとはなんでもないし、ただの隣人。2年も関わって分からないことは僕にはどうしようもないだろ。

「へぇ……まぁ、なんで隠すのか僕は聞かないから。時間だからじゃあね」

そう残して日課に向かった。気分は最悪。最悪なんだけどその理由が分からなくて、納得しきれずグチャグチャだ。

 

 

 

またいつも通り、朝日は昇った。天気で幸せと不幸せの気分がコロコロ変わるし、昨日空汰アクタに期待されてないって言われたけど。ごめんね。朝日は関係ない。だから私もいつも通り始められると思った。でも、いつも通りには赦してくれなかった。唯一バッグの外に出ている、小物入れ。その中にあるのは1つだけ。大きくはない砂時計。私の砂時計。毎朝、窓を開けて天気の確認をした後に確認していた砂時計。大きく変化がなければ私の時間は大丈夫なのだ。残酷だとは思わない、知っていたから。だけど。

「……終わりの時間は何時なんだろう」

ゆっくり流れ動く砂は重力に逆らって、不思議と上に吸い上げれられていて。あぁ、生きていくだけで精一杯だったのに。私はこれ以上は―――。

 

昨日聞いた言葉が頭を過る。

 

『もうお前には全然期待などしていないからな』

実家に居た頃、父様に別れる最後に言われた。勝手にしてしまったのは私だし。悪いのは私だって分かってる。そもそも元々期待してくれていたなんて思っていなかったし、私だって自分に期待などしていなかった。でも、ハッキリと直接言われて頭が真っ白になった。

帰れない寂しさだとか、追いかける辛さだとか、これからの不安さえ。全ての色を失うぐらいにその言葉は重たい傷になった。先に全て棄ててでも決めたのは私なのに。私を棄てられた痛みは大きく風穴を開けた。でも、本当に最初に手を離したのは私だ。

 

私は所謂人魚の仲間。水中種の掟に逆らい、地上種に転換を願い出た。

 

 

空汰アクタの離れていく足音を扉越しに聞いて。力が抜けて立っていられなくなった。昨日の言葉は一体どういうつもりで言ったの。やっぱり分からなくて。でも、深く追求できる関係じゃない。聞いてしまったら、避けられるだけで簡単に壊れてしまうだろう。空汰アクタとの関係は崩れやすい。それに。

「笑われるのが怖い……もう……私は……」

言葉は人を刺すモノ。空汰アクタが何気なく言った『期待してない』がいくら軽くても、私はもう聴きたくなかったんだ。ねぇまだ私は大丈夫だろうか。判らない。出来ることなら誰かにネジを巻いてほしかった。解らないよ。ワカラナイ。

 

 

 

こんにちは。お元気ですか?

―――いいえ。

大丈夫ですか?

―――いいえ。

ねぇ、笑ったりなんてしないからさ。

 

 

 

太陽に光がいつも以上に眩しい。いつだって棄てられた記憶は鮮烈に残っていて、僕をすぐにでも海に引きずり込むんだ。陸葉リクハと出会ってから初めての1人の晴れの日。やることはいつも通りだけど、雨の音もないから本当に静かで。なんとなくで海を眺めると息苦しい。僕は溺れたあの頃と違って、しっかり泳げるようになったはずなのに。海がトラウマではないはずなのに。助けて、の言葉はクズには言う資格がないから。

「苦しさだって我慢しなくちゃ……僕、だって、ゴミなんだし」

持っていたはずのゴミの入った袋が砂浜の上に乗る。海から目が逸らせない。海は静かにそこにある。ちょっとだけ手を引いて走って、頑張って笑いかけて、綺麗だね、って言わなくても。あの日に手が届く。ゆっくりと靴のつま先から重くなる。綺麗はまだそこに在る。真っ直ぐ歩みを進める。ほら手に触れた。クズも全て受け入れていてくれたとしたら、僕だって綺麗の一部になれるのかな。あの日見た彼女のところへは行けるだろうか。Tシャツは冷たい色に入っても染まらない。不思議と怖くない。それどころか。

「会いたい。名前も知らないけれど」

一度でいい。ありがとうって。一度でいい。彼女に触れてみたい。一度でいい。ありがとうって言いたいよ。あぁ沈む。本当になんでだろう。全く冷たくないよ。もう疲れたのかもね。眼を閉じよう。終わりにしよう。あの日に戻ろう。

 

聴き慣れたソプラノが聴こえた気がした。

 

 

 

動けずにそのままだった私にインターホンがまた鳴った。おかしい。空汰アクタはもう行ったはずなのに。泣いていて足音に気づかなかった私は。今度は自棄になってすぐ開けた。

陸葉リクハさ、ん。あららどうした……?」

大家さんだった。旅行が趣味でほとんど居ないのに。ごめんなさい。今話せないです。驚いたけど気持ちが浮かぶことはなかった。

「座ってたの?スカートに砂付いちゃってるじゃないか……」

さり気なく私の手を取って、支えつつスカートの砂を落としてくれる手は優しい。私の入居を許してくれた時と変わらない。

陸葉リクハさん、なんかあったことしか分からないけど。ちゃんと話した?」

聴いていることしかできなくて、涙を止めようと擦っていた手をやんわり握られて。耳に沁み込む声がどうしても優しい。逃げられない本当に優しい人。戸籍がない。証明もない。そんな私を受け入れてくれた大家さん。

「人間って思っているだけでは伝わらなくて……面倒くさいかもしれないけど、口でしっかり話してみなきゃいけないから。それだけは忘れないで。」

ストンと言葉が胸まで吸い込んで、納得、した。温かさにまだ雫が止まらないけれど。

「……あ、りが、とう」

震えながらそれだけやっと言えて。なんとか落ち着いた。ホッとしたように笑って、どこかのお土産を押しつけて帰った大家さんの背中に、頭を下げて。玄関に優しく贈り物を置いて。怖がって怖がって繰り返していても何も変わらない。不安がって泣いても。

「話さなきゃ」

その言葉に迷うことはない。なんて単純だったのだろう。私はまだ自分の時間を捨てられていなかった。見続けたあの背中へ今度こそ追いつく為に真っ直ぐ駆け出した。

 

その後はもう、無我夢中だった。

やっと見つけた空汰アクタは―――――海に沈んで消えるところだった。

 

まだ陸上歴7年の私の足は正直言って、鈍足だ。見えていてもまだ遠い。空汰アクタはなんでそんなことをしているの。空汰アクタが海に入っていく理由は。いや、知ってるでしょ、と私が私に囁く。だって。

「なんで溺れに逝くの!!空汰アクタ!!!!!」

名前も知らなかったあなたにずっと憧れて。可愛くて。格好良くて。水中種の禁忌まで犯して追いかけたのに。私は、もう、海に触れられないのに。罪を重ねることに躊躇なんてなかった。だって私も初恋の貴方だから。水面に消えた姿に形振り構わず走る。泡もなく静かに目の前の凪いだ海に焦って焦って体が置いていかれる。肺が痛くて苦しくて不便すぎる。私も見ているだけはもう耐えられないんだ。

「お願い、待って!」

話がしたい。話せるようになったのだから。水面越しに見ているだけではなくなったのだから。貴方の捨てられた傷だってその瞬間を見ていたのだから。

『海に触れればさらに縮む。だから、潮風も雨も止めた方がいい』

煩い。

『水中種から陸上種に転換するのだから。代償は短くなること。』

煩い。

『×××ちゃん……貴女が大好きだった。だからせめて。長く―――』

「煩い!!!!!」

散々、空汰アクタに言われたけど。確かにしつこいと言いたくなるものだね。振り切るように叫んで。足を止めずに転がるまま海へ。海に触れた途端に分かる。力が流れ出ていく感覚。種を転換した時と同じ感覚。でも彼を離すわけにはいかない。これから私と話すのだから。水がこんなにも痛い。底へ近づいていく彼が、見えなくなる。地上種って、泳げないし、息続かないし、視界ぼやけるし。なんて面倒くさい生き物なんだろう。海がどれだけ冷たくて怖くても。幸せに笑うお日様をもう一度見てみたいから。今まで絶対に追いつかなかったその背中を抱きしめるんだ。

 

 

 

名前を呼ばれた気がした。だから、呼ぶなって、いつも言ってるってのに。幻聴の彼女は弱々しくなくて、いつもの声で言葉を紡ぐ。可笑しい。あの日見た初恋の女の子の影に誘われて死合わせに向かっていたのに、消える僕が考えるのは陸葉リクハのことだ。憧れのあの子と陸葉リクハは別なのに。なんで今出てくる。なんで僕を呼ぶ。体中の空気が抜けていくのを受け入れて沈んでいくはずだった。でも、急に、瞬間的に重みが増えた。音さえ呑み込む静かな海を壊すように気泡を立てて、何かが背中から僕の首に巻きついた。ハッとして後ろを見れば、陸葉リクハだった。僕に圧し掛かった体勢で反応がなかった。なんで。なんで。真っ先に思ったのは。あの子の影を追うことよりも、陸葉リクハを連れて逝く気はない、ってことで。物凄く焦った。いつの日だったか、教えてくれたのは陸葉リクハ本人からで。泳げないんじゃなかったのか。疑問が湧くだけ湧いて。空気なんて肺に残ってやいなかったけれど、成長した僕は必死に水上を目指した。頭が酸欠で締め付けてきているけど大丈夫、間に合わせる。昏い底から彼女を這い出す為に。陸葉リクハを抱えて砂浜に上がった頃には体中が重かった。生きてるって重い。

「お、い……陸葉リクハ!!なん、で来たんだ!」

海水を飲んで咳き込むのは僕だけで、砂だらけのまま寝かせた陸葉リクハはさっきから動かない。海から上がるまで僕を離さなかった腕もいつの間にか自然に離れて、どこか消えてしまいそうに白かった。

「リク、ハ…!」

頭が痛い?酸素が足りない?煩いんだよ。壊さずに大事にしてきた関係はこんな僕の意地で終わりになんてさせない。ああ、酸素が回ったら今度は吐き気がしつこい。隣に寝かせた陸葉リクハはもうダメなんだろうか。携帯を持っていない僕らは救急車も呼べない。こういう時の応急処置の仕方も詳しくは知らない。どうしよう助けられない。頼むよ。

「頼むから……お願いだ……」

生まれて初めて自分の欲を垣間見た。僕の隣でどうか目を開けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前を呼ばれた気がした。

 

 

 

込み上げて咳き込んだ。体が重い。手足の感覚は無く、心臓が熱くて荒い息のまま苦しさから逃げたくて体が跳ねる。熱い。痛い。苦しい。ぼんやりしていて頭が回らない。瞼を必死に持ちあげれば、離れていく唇が見えて。そのまま意識を飛ばした。

 

 

 

陸葉リクハ……」

呼吸してる。すごい。見よう見真似で記憶を引っ張り出して、口づけた。人工呼吸のやり方を覚えていなくて、息を吹き込んだだけだったけど、しっかり水を吐いた。ちょっと驚いた。でも良かったと安堵で彼女の手を両手で包み込んでから久しぶりに泣いた。

 

ガクガクな体に鞭打って彼女を抱えて、見た目通りの軽さに顔をしかめる。気のせいだったらどれだけ自惚れだろう。勘違いだったら、僕の初恋を知っている陸葉リクハには笑われるかもしれない。自分の羞恥で済むならどうだっていいや。

「もう辞めるよ……」

流石に生きる重みを知ったから、抱えた彼女に目を覚まさせられた。海に背を向けた。見つめる視線の先はもう変わったんだ。ねぇ面白いよな、隣人様。まさか君が、あの時の彼女なんじゃないの。ねぇ。

 

 

「大家さん!!」

家のアパートのすぐ横の家に怒鳴って、鍵が開いてなかったら壊せばいいかとか物騒な考えをしながら玄関戸に手をかけた。スルッと力も入れていないのに引っ張られるように横へスライドしていく。

「怒鳴るなよ、近所迷惑だろ」

タオルを何枚か持って立っていた大家の方に勢いよく滑る。前に重心がズレていたみたいで、力の抜けた体では咄嗟に足が出なかった。それを抱えていた陸葉リクハだけ俺からひょいと取り上げて。

「げ」

俺は慌てて大家の足にしがみついて事なきを得た。ホッとしていると上からバスタオルが降ってきて、見えない内に肩に衝撃が入る。

「~~~っ!!!!」

「お帰り馬鹿者。」

多分思いっきり蹴られた。痛みに悲鳴が声にならない。何も聞かずに蹴りだけ入れた大家は、サッサと奥へ入っていく。ボロアパートの大家の癖に入居者に蹴り入れるとか本当に変わり者だ。今は甘んじて受けよう。タオルを借りて、床を濡らさないようにパッと大雑把に拭いた。何も聞かないで見通したように陸葉リクハを抱えて行った後を追いかける。

 

 

 

 

 

彼女は目を覚まさない。

 

 

 

陸葉リクハがベッドへ丁寧に寝かされてから数日。僕は大家の家へ通っている。あの後、大家に観念して『大家さんと深くじゃなくていいから関わりたい』と背中に声をかけたら今度は拳が飛んできた。慌てて身構える。寸止めがお上手なようで、ニッとちょっと笑った顔は悪戯っ子だった。向き直った大家様は、目を見て話すのが関わりを持つと言うんだと何時間も注意されました。僕はまだまだ知らないことが多い。無知な子供と変わらない。ベッド横の椅子に腰かけて、寝ている顔を覗いた。

陸葉リクハ聞いてよ。大家さんって水中種の妹が居るんだってさ」

大家とは数十分だけど毎日話をしている。そこで水中種と地上種の種族の昔話。陸葉リクハのことを間接的に簡単に説明を受けた。でも第三者の意見しか分からない。

「水中種から地上種に最近なった子がいるんだって聞いたけど」

それなら僕が水中種になったのに。

「その子はなんで禁忌を犯したんだろうね……?」

棄てられた側の僕に捨てるものは少ない。何も持っていない。だったら僕が。

陸葉リクハは知ってる?種族の昔話」

僕が無知だったばっかりに、海岸でずっと待ってた。会っていたことに気づかずに、ずっと待ってたんだ。海を見つめているだけで触ろうともせず。全部、無知が。僕が招いた。

「……陸葉リクハ、起きてくれるよね?」

もう待つのは実は得意じゃないんだ。知ってるよね。目の覚まさない彼女の寝息が、僕から遠ざかることのないように祈るしか出来ない。棄てられた僕を拾おうとしなかったのも、無知のせいにはしてたくない。手を握って彼女はまだここにいる、って泣くのも知っていくから。起きてくれないかな。

 

 

 

「あ、空汰アクタ。今日彼女起きるから、部屋から取って来て欲しい物があるんだ」

いつものように勝手に戸を開けて入ろうとした所に、大家様はまた立っていた。何者なんだこの人。驚かないのは無理だ。深呼吸しても心音が大きく響く。

「え……?」

「部屋から取ってきてって言ったんだよ」

呆然と一言だけ口から出ても大家は繰り返した。起きる?陸葉リクハが?理解しきれない内に鍵を投げられ、絶対に慎重に持ってくるように言われ戸が目の前で閉まる。大家様が言うなら本当かもしれない。慌てて陸葉リクハの部屋に鍵を挿して我に返る。不法侵入じゃないか。でも、あの手の早い大家様に逆らうのも逆らえるはずもなく。

「ごめん陸葉リクハ。緊急事態だから……」

ゆっくりと開けた扉が背で閉まった。当たり前なんだけど静かで、彼女のいない彼女の部屋は相変わらず何もなかった。説明された通りの小物入れをしっかり握って、慎重に戻る。慎重に、と言われたから中身は知らないが壊れやすいのかも。少しだけサラサラと音が聴こえる。聞いたことのある音だとは思った。

「水中種の何かなのかな……綺麗な音してる」

それにしても何から話そう。陸葉リクハに迷惑をかけた分、何をしよう。一週間も眠り続けた彼女に夏が終わっていく、今やること―――――。

 

 

 

「おはよう葉波ハナミ

目を開けて白い部屋に居たから、夢なのかと思った。ふんわりした優しい声がして、水中種の長のお祖母様が居て……っていうのは見間違いで、大家さんだった。でも。

「……今は陸葉リクハです」

ぼんやりとした頭で答えた。簡単に診察をされて、体を起こした私にゆっくり理解が追いつく。葉波ハナミの名は水中種の時のものだ。そして見間違いをして今更気づいた。

「……お祖母様の陸の家族だったんですね。」

私の問いに答えることなく、大家さんは少しだけ眉を下げて。

陸葉リクハ、貴方の時間のお話をしよう。」

 

 

 

玄関の戸を開けると奥から話し声が小さく聴こえて、何を話しているか分からないが、とりあえず陸葉リクハが起きたのだと分かった。大家様の予言ってすごい。そして恐い。

「大家さん持ってきましたよー」

盗み聞きする気はない。聞いていい話と聞いちゃいけない話がある、と教えてもらったから。陸葉リクハの居る部屋の戸が開いて、大家が小物入れを持って、また閉めた。どうやら聞いてはいけないらしい。大家と目配せだけで会話するようになってしまったことに喜んでいいのか、悲しんでいいのか。

 

10分もしないうちに大家が出てきて、その後ろに陸葉リクハが出てきた。駆け込まれて捕まって驚いた顔で僕の腕に収まった彼女を確かに抱きしめた。起きてる。意識がある。

陸葉リクハ良かった」

待つのが苦手だけど、全部貴方の為なら待てた。良かった。話ができる、お礼が言える。

「迷惑かけた。ごめんなさい。前の時みたいに、弱音じゃないけど陸葉リクハに聞いて欲しいことがあるんだ」

「聞くから……離してよ、恥ずかしい……」

「あっごめんね、起きてくれて嬉しくて」

「余所でやれ、余所で。」

大家さんが頭を軽く小突いて、陸葉リクハを離せば、涙腺が緩んだ。若干泣きだした僕にもう一度同じ言葉を繰り返す大家さんがちょっと面白かった。

「余所でやれ、余所で。」

今度はデコピンをされて、陸葉リクハも一緒に追い出された。戸が閉まる直前に、お願いしますって陸葉リクハが頭下げてたのに、ん。としか言わないの。なんだあの大家様。憎たらしいというかなんというか。本当に変わり者だ。

 

「ごめんね陸葉リクハ

「大丈夫だよ、いつも勝手に付いて行ってたの私だよ?」

歩く時、隣を気遣うのが紳士。置いて行くのが、付いて来るのが当たり前だと思わない。一番言いたいこと、ずっと言ってないこと。いっぱい合って。

「ありがとう。本当に目が覚めたんだ」

幻でも、夢物語でもない。今ある現実を忘れすぎちゃいけない。眼を見て話すのが関わりを持つということ。黙ったままの彼女に、聞いてくれているのだと思うと。

「あの日あったことは思い出で、戻れないんだと思う。それでさ、」

実際、僕は陸葉リクハを抱えてでも泳げる溺れない男になった。あれから何年も経っている。相変わらず棄てられてから何も持っていないのに、欲張りだけど。

「……それでさ、聞いてもいいかな。あの日僕を助けてくれたのは、陸葉リクハ?」

笑われてもいいから、海で必死に引きとめようとしてくれた貴方は。あの日の彼女と同じ髪を持つ貴方は―――――。貴方が僕の初恋の人ですか。

 

 

 


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