2 小町さんお出かけする
グーグル先生に「やっぱわからないからなんとかなりませんか?」句読点について聞いたところ、
「しょうがないなぁとっておきを教えてあげるよ、わかる人に見てもらいなさい」
と言われました(´・ω・)
大人しく書いて慣れますね(つД`)ノ
「買い物にいきます」
「へ?」
「買い物にいきます」
「聞こえてるよ、どしたの」
「そろそろ夏物の服出るでしょう?買いに行きましょう」
ある日の昼休み八重は唐突にそんな事を言い出した。
「私は、構わないけど」
「そう、なら決まりね」
「今週の土曜日でいいわね」と言いながら、八重はスマホに予定を書き出した。どうでもいいけど私の意志ほとんどないな!
「まって、それで構わないけど急にどうしたのさ?今まで服を買うと意気込んで行った事なんてなかったでしょ?」
なんか遊ぶついでに服を見るとかはあったが、こういう誘われ方は初めてだ。
「私のじゃないもの」
「え?誰の?」
「まちのよ、宮子さんにたのまれたの。まちの服男の子ぽいというか、中性的なのが多いでしょう?スカートとか見ないからかわいい格好が見たいんだって」
母さんの差し金か!
「なんでスカートとか履かないのよ?制服で着慣れてるし恥ずかしいとかではないんでしょう?」
「あーうん。制服は業務で着てる感じみたいで、あんまり恥ずかしくないんだけどね。私服はなぜか抵抗が⋯⋯」
「何よそれ?」
なんというかスカートを履くことに対する抵抗というのは、中学生に入って制服を着るようになってすぐになくなった。
ただ前世で男だった頃の名残なのか、よくわからないが私服でスカートを履くことがすごく嫌というか苦手なのだ。
自分でもよくわからことは、説明できないんだすまないな八重。
「まぁいいじゃないか。で土曜日でいいんだよね?」
「あら、意外と素直ね。もっとゴネると思ったんだけど」
「嫌は嫌だけどね、そこまで必死になって拒否するほどではないよ。出されれば食べれるレベルの苦手な食べ物とかあるでしょ?あんな感じなんだよ、それに母さんが見たいというならやぶさかではないさ」
好き好んで食べないが、食べること自体はあんまり苦では無いみたいなやつ、あれが感覚的には一番近い。
あと母さんはもちろんだが、家族には人並み以上に愛情を注いでもらった自覚はある、私だって何か返したいし期待には答えたいのだ。これで結構家族みんなのことは大好きなのだよ。
⋯⋯マザコンとかじゃないよ?
「ふーん、まぁいいわ。とっておき見繕ってあげる」
「私はファッションセンスとかないからな!任せるよ」
すると八重は不思議そうに、
「ボーイッシュだけどセンス悪い服普段着てないじゃない?」
と聞いてきた。
「あれは店であるマネキン一式適当に買い揃えてるだけだよ」
「……それだけ適当に決めてあれだけ似合ってるとか世の中ホント理不尽ね」
そう言われてもなぁ。
________________
『ごめんね、まち。少し遅れるわ』
土曜日現地集合ということだったので、少し早めに出て待ち合わせ場所についた頃、八重からそんな電話がかかってきた。
「いいけど、どうしたの?」
そう問いかけると、「母さんが料理をしてしまったの」とかえってきた。
「あーそれはお気の毒様少なくとも2時間はかかるよね?適当に時間つぶしてるわ」
『ごめんなさいね……最近おとなしかったから油断したわ、なるべく早く行くから』
「あんまり急がなくてもいいよ、終わったら連絡して」
私がそう言うと八重は「ほんとごめんなさいね」とつぶやきながら電話を切った。今頃掃除をしているのだろう。
八重の母親の七海さんは、料理が壊滅的に下手だ。しかも困ったことに本人はあんまりその自覚がないので手に負えない。
周りの人間が修正を試みた頃もあったそうだが、手順は間違えてないのになぜかダークマターになるようでどうにもならないらしい。
汚れもなかなか落ちないので七海さんが料理をした日は、家族総出でキッチン周りの大掃除に励むのが友枝家の恒例行事でである。
それをなんとか回避したい八重たちはあの手この手で阻止しようとするのだが、たまに包囲網を突破してしまうのでこういうことに時々なる。
ソレ以外は優しくてとても魅力的な大人の女性なのに……
まぁそういうことなら仕方ないと私は、適当に時間を潰すことにした。
しかし買いたい物も無かったので時間の使い方に困ってしまった。しょうがないので、まぁカフェで良いかなと店のある方向に向かおうとすると、
「⋯⋯すみません急いでいるので、もういいでしょうか」
と困ったような声が聞こえてきた。
そちらに顔を向けると、いかにもなチャラ男が、
「いいじゃん?お茶しよ?ね?」
いかにもなセリフを吐きながら女性に迫っているのが見えた。
私はテンプレなチャラ男のナンパを初めて見たのでびっくりして固まってしまった。
いや〜だってあんなテンプレなのいないよ?
最近じゃラノベの中にだっていないでしょ。
⋯⋯とアホなことを考えているとチャラ男は、これまたテンプレ通りに迫り腕を掴もうとしていた。
「はいそこまで、困ってる人に無理やり迫ってはダメだよお兄さん?」
私はアホな思考から現実に復帰してなんとか、二人の間に割って入りチャラ男の腕を掴みながらそう言った。
「なんだよ!じゃますん⋯⋯て上玉じゃん!何お姉さんが遊んでくれるの?」
スゲェぞこいつ何から何までテンプレだぜ!
「しないよ、相手も拒否してたでしょ?迷惑だからどっかいってくれないかな?」
とりあえず注意してみた。まぁこれで止まるとは思ってないけど。
「あ!?調子乗ってんじゃねぇぞ!いい気になりやがって!」
そうすると案の定チャラ男はキレて、掴まれてない方の手を振り上げた。沸点低いなぁとか思いながらとりあえず掴んでいた腕を軽く捻り上げた。
すると驚いた様に目見開いた後、すぐに痛みで声をあげ始めた。
女だからと甘く見たな!護身術くらい身につけてるのだよ!
「!?あだだだっ!!」
「ほんとうに迷惑だからしつこく迫るのやめなよ、モテない以前の問題だからねソレ」
「って!いてーから離せって!」
「じゃあとりあえず話したらこの場は退散してくれる?」
「する!するから!」
「じゃあはい、離したよ」
そう言って拘束を解いてあげるとチャラ男は覚えてろよ!と捨て台詞を吐いて逃げていった。
……最後までテンプレなやつだったぜ。
そんなこと思いながらチャラ男が走り去った方を眺めていると、女の子が声をかけてきた。
「……あの、ありがとうございました。助けていただいて本当に助かりました。あの人すごくしつこくて本当に困ってたんです」
「気にしなくていいよ、しかし可愛い子は大変だね。ああいうのに絡まれて」
「いえ、あのお姉さんも……いややっぱなんでもないです。ははは」
いたわりの言葉をかけると、苦笑いが帰ってきた。何か変なこと言っただろうか。
そんなことを考えていると、美少女ちゃんはなぜかこちらを凝視してきた。
「えと⋯⋯なんか私の顔についてる?」
「いえ⋯⋯その⋯⋯どこかで見たことあるなぁと思いまして⋯⋯すみません」
「謝らなくていいけど⋯⋯んー学校どこ?私星南高校なんだけど、学校同じなら顔に覚えあってもおかしくないし」
私が高校の名前を出すと途端美少女ちゃんは何かに気付いたような反応をした後、顔を強張らせた。
「⋯⋯星南⋯⋯あ!?」
「どしたの?」
「⋯⋯いえ⋯⋯あの⋯⋯その⋯⋯何でもないです。あと私用事あったので失礼しますね。本当に助けていただいてありがとうございました」
「え?あっ!ちょっ!」
そう早口で改めて謝罪の言葉を言った後、彼女は早足で去って行ってしまった。私は突然の出来事にその場でしばらく呆然と立ち尽くして居たのだが、今の現状がナンパに失敗した無様な男みたいになってしまっていることに気づき、その場に居づらくなりそそくさと立ち去るのだった。
あ……ちなみに服は2時間後に合流した八重と無事に買えました。
その日の佐倉家。
「小町いいわ!こっち向いて!そう、笑顔で!」
「ずるいです、お母さま!小町姉様美里にも!美里にも笑顔下さい!」
「はっはっはっ!可愛いなぁ小町は、宮子さん私にも写真後で送ってくれないかな?」
「もちろんよ!国光さん!」
「」
今日も佐倉家は平和です。