第6話 勇者達とお話
とりあえず、俺が魔王かどうかは置いておいて、今回得た情報を夕食後、天馬達に伝えることにした。別に現実逃避している訳じゃない。ただ少し時間を置くことで別の考えが浮かぶかもしれないというだけで、別に現実逃避している訳じゃない。
「へー。この世界って、天界と霊界と下界の3つの場からなってるんだ。」
「そして、大陸の数も同じく3つあり、人族、獣人、魔族と別れて暮らしているのか。」
「そして、魔法の階級と属性は共に6つあるのね。」
「そして、魔法の発動にはMPとINTが大きく関わるのか。詠斗は無双出来るな!」
「……ここまで、調べるなんて。……詠斗、すごい。」
とりあえず、調べた事全部伝えた。この世界について知ることができ、良かったようだ。それと、剛毅の発言はスルーしたい。無双なんてしたら本当に魔王になっちまう。そして、凪のそのキラキラした目で見るのもやめてほしい。可愛すぎる。照れるだろ。
「まぁ、ここまで調べることが出来たけど、逆に言うとこれしか調べられなかった。魔法の発動条件だとか、魔法の種類だとかな。発動条件はどうすれば発動させることができるのか。詠唱すればいいのか、魔法陣を書けばいいのか。種類だったら、火魔法の下級魔法は何があるのか、上級までいくと何が出来るのか、とかな。」
「凄いな、詠斗は。そこまで考えているのか。」
「凄くなんかねぇよ。俺はただ興味があることに積極的なんだよ。」
「……それでも、行動して、結果を得ることが出来る。……十分凄いことだと思うよ。」
「うぐっ。……まぁ、ありがとよ。」
ダメだ。凪の上目遣いが強すぎる。こいつの戦闘力は53万くらいあるんじゃないか?そして、こいつは多分第1形態だ。そうなるとこいつは、変身を後、3回残している。なんという事だ。第1形態ですら強敵だというのに、これ以上強くなるだと?!バカな!ありえん!こんな……こんなことがあっていいはずが……あっていいはずが……あっても良いんじゃね?戦闘力が上がる=どんどん可愛くなる。ということだろ?何の問題もないな。むしろ、いいぞ!もっとやれ!っていう感じだな。
「また詠斗が凪の上目遣いにやられて、おかしくなってるよ。」
「ほっとけ奈々。いつも通りだ。詠斗は凪の尻に敷かれる。これはもう確定事項なんだから。」
「おいこら天馬。勝手なこと言うんじゃない。俺達はまだ付き合ってないし、俺は尻に敷かれるつもりはないぞ。」
「まだ、だって(ニヤニヤ)」
「まだ、と言ったな(ニヤニヤ)」
「お前ら殴って良いか?良いよな?うん、許される。問題ないな。よし、殴ろう。」
「「すみませんでした。」」
「あぅぅ……(///)」
「んで?お前らの方は何してきたんだ?」
「私達の方は最初に自分がどれだけ動けるかの確認をしたよ。」
「ほう?で、どうだったんだ?」
「皆、元々の身体能力より格段に強くなってた。これなら特に体力トレーニングとかせずに剣術や魔法の訓練に入れるとバトスさんは言ってたな。」
「なるほどね。そうなると、俺の最低値の50だとどれだけ動けんのかねぇ。」
「……詠斗、それなんだけど。」
「ん?どした、凪?」
「……バトスさんに聞いたら、50っていうのは、小さな子供の身体能力と、同じだって言ってた。」
「……え?ま、マジか。そうなると、あれか?魔法関連は高いけど、その代償に身体能力が一般よりかなり下になってるってことか?」
「……うん、多分そうだと思う。……ごめんね、詠斗。」
「いや、凪が謝る必要はないから。それに俺の事だから、凪は気にする必要はないよ。」
「……うん。」
凪が謝って来たので、とりあえず俺は凪の頭を撫でる。凪に気にする必要はないと言ったけど、まさか子供の身体能力と同等とはな。まぁ、魔法主体だし、何とかなるだろ。トレーニングもすれば少しは良くなるだろうし。
「それで?最初にって言ってたから他にも何かしたんだろ?何をしたんだ?」
「……その後は、自分に合う武器を選んで、使い方を教えてもらった。」
「へぇ。それは面白そうだな。何の武器にしたんだ?」
「……私は、パワーとスピードがあるから、刀にした。」
「ってことは、前衛か。まぁ、凪のステータスなら小回りも利きそうだし、良いんじゃないか?でも凪、納刀状態から抜刀するとき、抜けるのか?凪の身長じゃ、辛くないか?」
「……大丈夫。……やり方教えてもらった。……ちゃんと練習でも出来た。……だから、大丈夫。」
「そっか。なら大丈夫だな。お前らの方は何にしたんだ?」
「僕は剣だね。」
「俺は槌だ!」
「私は短杖だよ。」
「私は弓です。」
ふむ。完全に勇者枠だろう天馬は剣か。まぁ、あのステータスだし、その内、聖剣何てものまででてくるかもしれないし、ちょうど良いだろ。
剛毅は槌か。まぁ、脳筋の剛毅には良いだろ。ステータスを考えても合ってるだろうし。
奈々は短杖だったな。確か奈々は力も高くなかったし、前衛向きではなかったな。その分、魔法関連のステータスが高かったし、ちょうど良いな。
そして、遥は弓と。まぁ、遥は弓道部だったし、何の問題もないだろ。ステータスも考えると後衛で魔法を使うことも出来そうだな。
「なるほどね。そうなると、お前らでパーティー組むと、前衛3、後衛2ってなるのか。」
「これなら安定して戦えそうだけど、詠斗君はどう思う?」
「そうだな。剛毅の槌と奈々の魔法が主力で、天馬と凪がスピードで敵を撹乱しつつ、ヒットアンドアウェイ。そして、遥が弓と魔法で支援って、感じか?まぁ、他にも戦い方は色々ありそうだな。天馬が盾も持ってヘイトを稼ぐやり方も良いかもな。」
「へー。じゃあ、結構自由度は高いんだね。」
「そうだな。そうなるな。」
「となると、チームワークがかなり必要となりそうだね。」
「まぁ、この腐れ縁で構成されたパーティーだし。それは問題ないだろ。」
「確かにそうかもしれないわね。でも、こうして一緒に戦うのは初めてでしょ?だから、ゼロベースで考えて行動した方が良いんじゃないかしら?」
「ふむ。確かに遥の言うことも一理あるな。まぁ、実際に戦うのはお前達だ。お前達が現場で経験を積み、一番やりやすいやり方ってのを見つければ良いんだ。まぁ、作戦うんぬんはバトスも何かしら考えてると思うし、明日にでも聞いてみろ。」
「そうね。それが良いわね。ちなみに、詠斗君は明日はどうするつもり?」
「俺は今日と変わらず、図書館で調べものだな。今日は魔法に関して詳しい事は調べられなかったから、魔法に関する事を調べるつもりだ。」
「……詠斗。……頑張ってね。」
「ああ、お前達もな。」
俺はそう言うと、凪の頭をまた撫でた。そして、異世界に来て、2日目が終わった。