第5話 あれ?やっぱり俺って?
俺達はその後、メイドが来て飯を食った。そして、部屋に帰る際にバトスに「明日から訓練を開始する。」とだけ言われた。
「明日から早速訓練かぁ~。どんなことするんだろ?」
「少なくとも、楽しいものではないだろう。」
「そうね。魔王がどれほどの強さか分からないけど、生半可な訓練では勝てないと思うわ。」
「まぁ、俺は訓練の間は図書館に籠って、調べものでもするかな。」
「詠斗は何を調べるつもりなんだい?」
「この世界の事だな。この世界に住む種族や魔物の種類や生態、後は予習と言うことで魔法かな。」
「詠斗がここまでやる気出すなんて珍しいな!」
「俺は面白い事には積極的だからな。」
「……私達にも、何か分かったら、教えて?」
「おう。それは任せろ。まぁ、取り敢えずは明日だな。そんじゃ、ちゃっちゃと休むか。」
そして、俺達6人は各々の部屋へと戻った。
「さてと、これで何とか俺の望みは叶ったな。後は、知識と魔法を手に入れれば良いだけだ。知識は図書館で調べれば大体の事は分かるはず。魔法に関する書物もあるはずだから、ある程度調べたら魔法の方も調べる事にすればいいか。それに、魔法の事は宮廷魔術師もいるみたいだし、そこまで問題にはならないだろ。」
そこで、俺は明日以降の事を考えるのをやめて、今日の事を考え出した。
他の奴等とのステータスの差が極端なのは、闇の加護の性なのか、それとも異世界から来ただけで、勇者でも何でも無いからああなったのか、考え始めたらキリがない気がする。そもそも、何故俺に闇の加護があった?そして、闇の加護とは何だ?分からないことが多すぎる。明日からやることが多そうだ。ああ、ダメだ。疲れてきた。もうダメだ。寝よう。そして、明日考えれば良い。うん、そうしよう。
そして、翌日俺達は朝食を食べた後、それぞれ行動した。勇者達5人はバトスの元へ行き、訓練をする。そして、俺はメイドに案内され、図書館へと向かった。
「ここか。かなり広いし、量もあるな。」
「はい、ここには王国から集められた様々な本があります。本は大変貴重なため、扱いには十分気をつけてくださいね。それでは私はこれで。」
「あ、はい。案内ありがとうございます。」
さてと、調べものを開始しますかね。
俺は色々な事を調べた。それによって、この世界の事が少し分かった。
まず、この世界グラニカは
神々と天使の住む場:天界
精霊王と精霊が住む場:霊界
人族と獣人とエルフと魔族が住む場:下界
この3つの場からなっている。その内の下界は、俺達が今いる場で、円を中心から三等分したような大陸がある。そして、その大陸はそれぞれ
ラシア大陸:主に人族が住む
セイル大陸:主に獣人が住む
メライ大陸:主に魔族が住む
この三大陸がある。そして、三大陸それぞれには国がある。まず、ラシア大陸は
セイクリード王国:勇者召喚を行ったこの国
ターニア王国:海に面した国
レイニース王国:セイル大陸に近い国
ニニル共和国:メライ大陸に近い国
がある。次にセイル大陸は
ラドニス王国:獣人王が統治する国
がある。次にメライ大陸は
マホメル国:魔王が統治する国
がある。エルフはどこかの大陸に集落があると言われているが、今のところ判明していない。
取り敢えず、今回この世界について調べたことはこんな感じだ。
次に魔法に関する事だが、そこそこ面白い情報があった。まず、魔法の階級は
下級魔法→中級魔法→上級魔法→精霊魔法→禁忌魔法→神魔法
がある。そして、魔法の属性は
火属性:風に強く、水に弱い
風属性:土に強く、火に弱い
土属性:水に強く、風に弱い
水属性:火に強く、土に弱い
光属性:闇に弱い
闇属性:光に弱い
となっている。そして、人族が扱える属性は3つが限界と言われている。
その理由は、まず、自分が最も得意としている属性の弱点になる属性は扱えない。例えば、火が得意であれば水は扱えない。土が得意なら風は扱えない。といった具合になっている。
そして、光と闇は生半可な修行では身に付かない事、元々人族は闇の素質が無いこと。これらが大きな理由となっている。
そして、ここからが重要になってくるが、この世界の魔法はMPとINTが大きく関わってくる。
MPが重要なのは大半の人が分かるように、エネルギーが足りるか足りないかが関わるためである。
INTが重要なのは、何とINTが高ければ高いほど、使える魔法の種類が増える事である。先程魔法の階級を述べたが、あれはINTがある一定の数値を越えれば扱える事を示している。その一定の数値とは
下級魔法:0~99
中級魔法:100~499
上級魔法:500~999
精霊魔法:1000~2999
禁忌魔法:3000~4999
神魔法:5000~
となっている。俺に当てはめると俺はいきなり禁忌魔法を扱える事になる。MP消費がどのくらい必要かは上級魔法までしか分かっていない。何故なら、それ以上の魔法を扱えるのはエルフと魔族のみだからである。神魔法のINTの数値も“そう言われている”だけであって、詳しい事は分からない。ここまで調べて俺は再認識させられた。
俺ってやっぱり魔王?