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第4話 王様と隊長さんとお話

 移動は省力して、セイクリード王国の謁見の間。


「父上、勇者様をお連れしました。」


「うむ。ご苦労。アンネは下がっておりなさい。」


「分かりました。失礼致します。」


 そういうと、アンネは謁見の間から退室した。


 それにしても、こいつが王か、見た目は40代前半といった所か。こいつには何としてでも俺の要求を飲ませないとな。


「……ん?6人?勇者は5人のはずだったが?」


「それについて、言いたいことがあります。」


「む?お主は?お主が勇者か?」


「いえ。私は勇者ではございません。今回の勇者召喚の際に巻き込まれ、この世界にやって参りました。」


「む……。そうか。それは悪いことをしたな。」


「それは別に構いません。それよりも聞きたいことがあります。」


「ふむ。何だ。我に答えられることなら何でも答えてやろう。」


「有り難うございます。質問はいくつかありますが、まず第一に俺たちは、元の世界へと帰ることが出来ますか?」


「む……。それは、問題ない。魔王を倒した暁には送還魔法で返してやろう。」


 その言葉に奈々と天馬と剛毅が安堵の表情になる。しかし、凪と遥はまだ疑っているようだ。実際、答えるのに少し間があった事、少し口ごもった事を考えると、信用しない方が良いだろう。というよりも、送還魔法何てものは端から無いと見た方が良いな。


「そうですか、分かりました。では、次に今回、勇者召喚したことの目的、魔王撃破の事です。」


「うむ。何が知りたい。」


「何故魔王を倒すのか、そして、魔王とはどんな存在なのか、ですね。」


「うむ。説明してやろう。バトス、説明しろ。」


「お任せください。」


 そういうと、王の隣にいた男が一歩前へと出る。


「私の名は、バトス・クリュート。国王直属部隊の隊長を務めている。よろしく頼む。それでは、私から説明させていただきます。」


 なるほど、王の直属部隊か。しかも隊長さんか。だから王の隣にいたのか。それにしても、素人目にも分かるぐらい歴戦の戦士といった感じがするな。ちょっとステータスを見てみるか。





バトス・クリュート

種族 人族

性別 男

年齢 35

職業 騎士隊長

Lv 45

HP 750/750

MP 300/300

STR 400

VIT 450

INT 300

MND 400

AGL 350

LUK 200

~スキル~

剣術

火魔法

光魔法

~称号~

国王直属部隊部隊長

国王の右腕





 中々強いな。全体的なステータスは天馬達に劣るが、それを気にさせない経験がこの人にはあるはず。じゃなければ、直属部隊の部隊長なんて務まる訳がない。多分、全体的なステータスが勝っていても、天馬達は勝てないな。俺は、魔法さえ発動させることができ、当てられさえすれば、勝てるが無理だな。この人は天馬達のいい目標になりそうだな。っと、何時までもステータス考察してる場合じゃないな。話を聞かないと。



~~~~~~~~~~~~~~~



 バトスの話をまとめると、魔王は、特に闇の加護を持つ魔王がいるとき、他の国々へと攻め、我が物にせんと魔族の軍隊を走らせてきた。そして、幾度も戦争をして、闇の加護を持つ魔王が倒れるまで粘ったそうだ。そして、魔王が倒れ、闇の加護を持つものがいなくなったら、こちらから攻め、そして、加護を持つものが魔王になったら、攻められを繰り返して来たそうだ。そして、今の段階ではどの国にも加護持ちが現れていないという状況がうまれた。そして、これが好奇と見たセイクリード王国は勇者召喚を行い、闇の加護を持った魔王が現れるまで、もしくは、十分力を付けて、魔王を打倒する事が出来るまで鍛えるつもりのようだ。そして、魔族を殲滅して平和を作り出そうとしているとの事。


 そして、魔王とは代々魔族の中で特に力を持つものがなる。その中でも闇の加護を持つものは特別で、例外なく魔王になってきた。そして、闇の加護を持つものは自分の力を見せつけるかのように、他の国々を襲い、征服しようとしてきた。今まで征服されてなかったのは他の加護持ちを何とか味方に付け戦ってきたからだそうだ。しかし、味方に付けたといっても2~3人だったそうで、魔王を撃破する事は出来なかったそうだ。





「ふーん。なるほどねぇ。闇の加護持ちは好戦的な性格ばかりなんだな。」


「ええ、しかも力が強大な為、多くの無益な戦いで人々が死にました。」


「なるほど。それで、仇を討って、死んでいった奴等のために平和を勝ち取りたいと。」


「ええ、正しくその通りです。」


 厄介な事になってんな。っていうか、その闇の加護持ってんのが俺だけど、別に好戦的じゃないしな。そんな面倒な事するよりも旨いもん食って、色んなとこ旅して、自由気ままに生きたいけどな。それに戦いたければ、冒険者になれば別に良いような気がするし。正直どうでもいいといった感じだな。それに、こういう物事は一方向から考えるとダメなんだよな。他の種族とかの観点でも考えないと真実は見えてこないしな。まぁ、それは旅しながら調べるとするか。


「それでは、次の質問をよろしいでしょうか。」


「うむ。構わん。」


「ありがとうございます。次の質問は私のことです。」


「ん?お主のこと?」


「はい、私は、今回の勇者召喚に巻き込まれ、この世界にやって来ました。」


「うむ。それは先程聞いたな。とりあえず、モーラを呼ぶ必要があるな。バトス、モーラを呼んでこい。」


「王よ、ワシはここじゃ。」


 そういって、入ってきたのは勇者召喚の場にいたモーラだった。


「おお、モーラよ。戻って来たか。それで、説明してくれ。勇者召喚は成功したのだろう?」


「ええ、成功はしました。実際、彼を除く5人には加護があると判明しました。」


「おお、そうか、良かった。」


「うむ。しかし、巻き込んでしまった者がいるのも事実。どうしましょうか?」


「ふむ。お主はどうしたい?王である私の権限を使えばある程度なら融通が利くぞ?」


 あれ?説得(脅迫)する前に向こうから提案し始めたな。まぁ、良いか。王の中でもこの人はまともな部類に入るんだろう。きっと、多分。それにしても、王の権限まで使ってくれるのか。太っ腹だな。しかし、すぐに冒険者になるのは得策ではない。安定した環境である程度の知識と魔法を身につける事が良いだろう。そして、そのあとで冒険者となり、この世界を満喫するんだ!


「はい。その事についてですが、勇者達を鍛えると言うことなので、自分は同じ場所で知識と魔法を身に付けたいと思っております。そして、ある程度身に付けたなら、この世界を旅したいと思っております。」


「ふむ。勇者と同じ場所でとなると、ここ、王城で暮らし、知識と魔法を身に付けるということか。それなら、ここには図書館もある上に宮廷魔術師が何人かいる。そいつら習うのが良いだろう。それに、ここにいるバトスには、勇者達に基礎的な訓練だけでなく、魔法に関する知識も教える事になっている。お主が望みなら勇者達と共にバトスに魔法に関する知識を教えてもらうこともできるぞ。」


「はい。では、基礎的な事はバトスさんに習い、そこから先は図書館で調べたり、宮廷魔術師の方々に習うことにします。」


「うむ。そうするがよい。」


「はい。ありがとうございます。」


「うむ。気にするでない。元々巻き込んでしまったのはこちらの方だ。お主が気にする事ではない。」


「はい。」


「うむ。では、バトスよ。勇者達を部屋に案内しろ。」


「はっ。お任せください。では、勇者様こちらへ。」


 ふう。何とかなったな。やっぱりあういう環境は苦手だな。ちゃっちゃと知識と魔法を身に付けてさっさといなくなるかな。そのためには、やる気を出さないとな。まぁ、頑張るか。



~~~~~~~~~~~~~~~



「では勇者様。この部屋から奥の部屋までの6つの部屋にそれぞれお好きな所でお休みください。夕食時にメイドが来ますので、それでは私はこれで。」


「はい。ありがとうございます。」




「さて、じゃあ部屋に入って飯まで休みますか。」


「ちょっと待て詠斗。」


「何だよ天馬。どうかしたか?」


「どうかしたか、じゃないでしょ。ホントに一人で行っちゃうの?」


「さてな。そこはまだ決めてねぇな。実戦をしてみないことには分からないし、魔法がどういったものなのかも分からない。そこら辺がはっきりしてから決めるさ。奈々達がそこまで心配しないようにはやるさ。」


「詠斗君。そんな分からないことだらけなのに、何でそんなに旅に拘るの?ただこの世界を見て回りたいなら私達と一緒でも変わらないはずよ。」


「何言ってんだ遥。変わるに決まってる。勇者召喚何て行われたんだ。各国が勇者の存在を知っているとすると、いらん争いに巻き込まれんだろ。俺は勇者でも何でもない。ただの一般人だ。」


「争いに巻き込まれないかもしれないだろ。」


「天馬は分かってないな。そうじゃなくても、色んな目で見られ、いらんもてなしを受けて、下らん政治の道具にされるのが目に見えてる。」


「……でも、それでも、私は……詠斗と一緒にいたいよ。」


「凪がそういってくれるのは嬉しいけどな。俺のステータスじゃあ、ただの旅ですら足手まといになりかねない。俺はお荷物になるのはごめんだぞ。」


「何言ってんだ。俺達が詠斗の事をお荷物だなんて言うわけがないだろう。」


「確かに剛毅達は言わないかもな。だが、他の奴等はどうだ?他の奴等は俺の事なんて知らないんだ。だから、無遠慮に言ってくるさ。こいつは足手まといだ、ってな。それだったら、最初から一人でいた方が特に考えなくて済むし、誰にも迷惑は掛けない。それが一番だ。」


「……詠斗。……どうしても、一人で行くの?」


「ああ、悪いな。まぁ、安心しろ。もしお前らに危険が迫ってるときには助けてやるからよ。」


「はあ、全く、しょうがないやつだ。まぁ、そうだよな。昔から詠斗は団体行動よりも単体行動派だったもんな。」


「何だ。良く分かってるじゃないか。さすがは天馬だな。」


「そんなことで褒められても嬉しくはないよ。まぁ、せいぜい知識と魔法をしっかり身に付けて、危険のない旅にしてくれよ。」


「善処するよ。ほら、まだ飯まで時間があるんだ。とりあえず休もうぜ。」


「全く、詠斗は休みたいだけでしょ。」


「そうとも言うな。」


 そして、俺達6人はとりあえず飯時まで部屋で休むことにした。

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