第3話 俺は一般人
…………………………はっ?
お、おかしいなぁ、何故か俺の称号の欄に魔族のしかも魔王になるような力を持った者にしかないはずの“闇の加護”があるんだけどなぁ(滝汗)
待って!何で?!何故に人族の俺に?!いやいやいやいやいや!おかしい、おかしいって!異世界行ったらチート性能貰えたどころの話じゃないでしょ?!人間やめてるようなもんじゃん!訳がわからん……!何だよ?!俺に魔王にでもなれと?!訳わかんねぇぇぇぇぇ!!!って、今はそれどころじゃない!!考えるのは後だ!それより、この場をどう切り抜けるかだ!!これが今の段階で一番優先すべき項目だ!!しかし、どう切り抜ける?スキルの欄に全鑑定というのがあった。多分これは“全”鑑定だから他人のステータスまで分かる代物だ!他のやつらがこれを所持してるか分からないし、使い方も分からん!くそ!どうすれば!このままじゃ、異世界来て一時間も経たずに打ち首だ!じゃあ、どうする?!どうすれば?!……………はっ!そうだ!闇の加護だ!!こいつを使えばもしかしたら!いや、でもこいつを使ってもしばれたら?いや、今はそんなことを考える余裕はない!!やるしかない!!!いくぞ!闇の加護よ!俺の願いを叶えろ!!!!!
黒川詠斗
種族 人族
性別 男
年齢 17
職業 無職
HP 50/50
MP 5000/5000
STR 50
VIT 50
INT 3000
MND 3000
AGL 50
LUK 1000
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
闇の加護(秘匿)
キターーーーー!!!!!何か知らんが上手く出来た!!後は俺は何にも持っていない、ただの一般人を装えば完璧だ!!!俺なら出来る!俺なら出来る!!よし、早速バレないように行動だ!
「それで?誰がどの属性の加護を持っておったんじゃ?そして、召喚に巻き込んでしてしまったのはだれじゃ?」
「私は火属性だよ!」
「私は水属性です。」
「……風属性。」
「俺は土属性だ!」
「僕は光属性です。」
ふむ。どうやら全属性揃った事になったのか。奈々が火、遥が水、凪が風、剛毅が土で、天馬が光か。何というか凄い合ってる感があるな。
「ふむ。ということはじゃ。」
「ああ、俺が巻き込まれたっぽいな。」
「え!詠斗、そうなの?」
「ああ、特に加護とかは書いていないな。」
「どうやらその通りみたいだね。」
「あ?どういうことだ?天馬。」
「ああ、それは僕のスキルに全鑑定というのがあってね。それを使ったら、君はMPやINT、MND、LUKが高いみたいだけど、称号には何も書かれていないし、職業の所も僕は勇者と書いてあるけど、君は無職となっている。試しに君も全鑑定を使って、僕達のステータスを見てみるといい。」
「ああ、分かった。やってみよう。」
南原奈々
種族 人族
性別 女
年齢 17
職業 勇者
HP 300/300
MP 800/800
STR 300
VIT 300
INT 800
MND 500
AGL 500
LUK 300
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
火の加護
青山遥
種族 人族
性別 女
年齢 17
職業 勇者
HP 300/300
MP 500/500
STR 500
VIT 300
INT 800
MND 800
AGL 500
LUK 300
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
水の加護
緑川凪
種族 人族
性別 女
年齢 17
職業 勇者
HP 800/800
MP 300/300
STR 800
VIT 800
INT 300
MND 300
AGL 500
LUK 300
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
風の加護
佐山剛毅
種族 人族
性別 男
年齢 17
職業 勇者
HP 1000/1000
MP 300/300
STR 800
VIT 800
INT 300
MND 500
AGL 300
LUK 300
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
土の加護
光条天馬
種族 人族
性別 男
年齢 17
職業 勇者
HP 1000/1000
MP 1000/1000
STR 800
VIT 500
INT 800
MND 500
AGL 500
LUK 500
~スキル~
異世界言語完全理解
全鑑定
~称号~
光の加護
おお、皆ステータス高いな。しかし、こうしてみると俺のステータスがオンラインゲームとかにたまにいる前衛いないとダメダメな魔法使いだな。これは1人での旅は諦めた方が良いな。誰かしらと組まないとな。まぁ、今はそんなことはどうでもいいか。それより、どうやら上手く能力を使い、隠すことが出来ていたようだな。これで全鑑定で見抜かれてたらお笑いものだったが、良かった良かった。
「詠斗凄いMP高いね!INTとMNDもこれだけ高いなら、私達と一緒に行動する事が出来るね!」
「確かにこれだけ高ければ前衛の人達が助かるわね。」
「俺はこのステータスじゃ、前衛以外は辛いからな!詠斗が後ろにいてくれれば安心だな!」
なんだと!?奈々、遥、剛毅がいらんこと言い始めたな。まずいな、俺は勇者と共になんて明らかに面倒な事はしたくないんだがな。何とかしないとな。
「いや、お前ら良く見ろよ俺のステータス。お前らが言ったのは確かに高いが、これだけだ。他が低すぎる。お前らよりも一桁小さいんだぞ?どう考えてもお荷物だろ。それにこの低HPと低防御じゃ、最悪一撃死だぞ?お前らみたいなステの高さがあれば何とかなるが俺には無理だ。AGLも低すぎる。これじゃあ移動と回避もままならない。俺にはお前らの旅に付いていく事が出来ないし、無理に付いていって俺の性でお前らを危険な目にあわせるなんて俺は嫌だぞ。」
「えー!でも、何とかなるかもしれないじゃん!」
「……だめだよ。」
「へ?凪ちゃん?ダメってどういうこと?」
「……詠斗は頑固だから。……それに、詠斗の事だから……この異世界を旅したい、って思ってる。」
「なるほどなるほど。流石凪ちゃんだね!詠斗の事なら何でもお見通しだね!」
「っ?!……そ、そんなこと……ない(///)」
いや、凪、マジで俺の事分かってんな。まさしくその通りって感じなんだが。っていうか、顔を赤らめるな。こっちまで恥ずかしくなってきやがった。
「おやおや~?二人とも真っ赤になっちゃって、ラブラブですな~(ニヤニヤ)。」
「ラっ?!……ラブラブじゃ……ないもん(///)」
「おい、やめろ。お前は酔ったおっさんか。」
「お?王子様のご登場ですか~(ニヤニヤ)。」
「よし、喧嘩売ってんだな。わかった。買ってやろうじゃないか。表に出ろ。出来るか知らんが、俺の最大火力の魔法ぶつけてやる。」
「待って!謝るから!それはやめて!そんなことされたら、私跡形も残らなくなっちゃう!」
「ははっ。安心しろ。せめて痛まないように一思いに殺ってやるから(ニコォ)。」
「ごめんなさいごめんなさい!本当にごめんなさい!だから、殺さないでーーー!」
「お……王子……様(///)。」
「あー。すまんが、茶番はその辺にしておいてくれんかのぉ。」
「「「っ?!」」」
「お主ら、ワシらの事忘れておったな。」
「えっえーと、その忘れては「完全に忘れてたな。」ちょっと詠斗!?ここは嘘でも忘れてないって言うとこでしょ?!」
「あー。もういいもういい。これ以上ややこしくしたくないからの。そんなことより、詠斗といったな。お主のことはワシの一存では決めかねる。王に勇者のことを紹介するついでにその事を話そう。」
「ついでかよ。まぁ、いいや。それならさっさとその王に会いに行こう。」
「うむ。それでは、王女様。お願いします。」
「はい。任せてください。」
「あれ?モーラさんが案内するんじゃないの?」
「うむ。ワシは少々やることがあるのでの。少ししたらワシも向かうわい。」
「っていうか、あんた王女だったんだな。」
「あ、はい。私はアンネ・セイクリード。ここセイクリード王国の第二皇女です。」
どうやら、最初に説明してきた女は王女だったようだ。正直どうでもいいが。それより、俺は何とかして王を説得(脅迫)して冒険者として旅が出来るようにしないとな。
「じゃあ、案内よろしくな。」
「はい、ではこちらへ。」