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時空を超えた出会いー1

去年の四月に俺は中学生になった。入学式の日にいつもより一時間も早起きをして、ドキドキしながら不思議な匂いのするぶかぶかな制服を着て、朝ごはんを食べると一目散に家を出て行った。

朝早く家を出たせいか、人は少なく不安になりながらも事前に覚えておいた道を思い出しながらゆっくり歩いていった。住宅地の側にある田んぼや畑、舗装されていない道のわきに咲いているタンポポやつくし、そして満開の桜。新しい通学路を一歩一歩あるくごとに

、これから中学生になるんだ。そう思うと堪らなく嬉しかった。

その時はまだ、目に映る全ての物がキラキラ光って見えたのを覚えている。





それから一年経った。最初は順調だった、部活に入り自分なり勉強も頑張った。だが、いつの間にかおれは堕落していった。何がきっかけになったのかはわからない。中学生になって買ってもらったスマートフォンも最初は全然使わなかったのに、一時間二時間…と増えていき今は四時間、休日は十時間くらい使っているような気がする。寝る時間も深夜になることが当たり前になり、鬱っぽくなった。


「自分は最低な人間だ」そんな気がして何もかもが嫌になり、大人になることは辛いことだと思えてきて、強い不安に襲われて、きを紛らわすために常に新しい動画や面白いゲームを探した。


その結果、勉強はしないことが当たり前になり、宿題も出さずテストの順位も最下位になった。

その後ろめたさもあってか、人付き合いを避けるようになって段々と孤立していった。寂しくて友達が欲しいと思っているのに、いざ会話してみると必要以上に気をつかったり、上手く話に混ざれず、逆に辛くなった。



そして遂にお母さんに言ってしまった。「学校には行きたく無い」と。

お母さんはただ一人俺の気持ちを理解してくれていた。それがどんなに救いになっていたかわからない。お父さんも兄弟も友達もいない俺にとって頼れる人はお母さんしかいなかった。


お母さんは数日間悩んだ末に「いいよ」と言ってくれた。改めて自分は最低な人間だと実感させられた。




現在、鏡を見ると俺の顔は驚くほど無表情で、疲れたような顔をしていた。笑うことも怒ることも泣くことも、少なくなった。

こんな自分をどうにかしたい、けどどうにもならない。それがもどかしくて辛くて、いつかこんな苦しみが終わることを願っていた。


そんな日々が続いたある日、ふとした拍子に窓の外を見てみると、雲ひとつ無い夜空に大きくて丸い月が白く光っていて、思わず目を奪われた。今まで月はこんなに綺麗なものだと思っていなかった、というよりこんなに綺麗なものがこの世にあったのかと思わされた。あの月をもっと近くまで行って見てみたいという欲求が生まれ数ヶ月ぶりに家のドアを開けて外に出た。

そしてそのあと自分の運命を大きく変える時空を超えた出会いあることを俺はまだ知らない。

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