まっててね。
君の口癖は
待っててね。
小さい頃から、ずっと。
小さい僕と、大きい彼女。
僕の方が一つ上なのに。
小学生の頃僕がいじめられてると
「私がやっつけてきてあげる!待っててね!」
と言って居なくなった。
一人でいじめっ子みんなやっつけて戻ってきたよな。
中学生の頃彼女に
「放課後話があるから待っててね!」
と言われて、行ったら告白されたっけ。
高校生なんて毎日毎日
「お昼待っててね!すぐ買ってくるから!」
とか言って、俺が一緒に行こうとしても
「大丈夫!!!待ってて!!!」
って言われてたっけ。
明るくて活発な彼女、何人も彼女に告白する人が居たのにも関わらずいつも、
「私には大切な人が居るから。」
って僕のそばから離れなかったね。
社会人の時
「結婚は、少し待っててね。
私が安定してお金もらえるまで。」
それも聞かずに説得したけどな。
結婚してから、僕が帰ると
「少し待っててね。ご飯できるからね。」
と、全く待たずにご飯、すぐ出てくるんだけどね。
子供が生まれてから、俺が少しさみしい時
「待っててね、この子寝かしてくるからね。」
と言って、小さい手で俺の頭を撫でてくれてたっけ。
子供が結婚して家を出た時
「待っててね。」
と、言ったきり部屋で泣いてたね。
孫には毎回毎回
「待っててね。」と言いながら
いつの間にか用意したお小遣いやら、お菓子やらおもちゃやらあげてる。
また子供に怒られてしまう。
何気ない待っててねが、一番心に残ってる。
その言葉を聞くといつも安心した。
でも今回は、僕が言う番だね。
僕が逝くまで 待っててね 。