はじまりのとき
目を開けるとそこは殺風景で何もない俺の部屋。
『あ~つまんねぇ』
ため息をつく。
『翔!何をしているの!勉強しなさい』
母さんが俺に言う。
『わかってるよ!うるさいなぁ』
無愛想な口調で言葉を返す。
俺の名前は桐ヶ谷翔。高校三年生で何もない日常生活を送っている。
『勉強面倒くさいし気晴らしにどっか行くか!』
そうして俺は歩いて町に出掛けた。町を歩いている
と後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
『翔く~ん!』
振り返ると、栗色の腰くらいまである髪の毛の少女が俺を呼んでいた。
彼女の名前は朝宮夏蓮で俺と同じクラスだ。
『翔くん今日暇なの?』
彼女は俺に言う
『ああ暇だよ!』
『じゃあ私とどっか行こうよ!』
彼女の言葉に俺は答えた。
『別にいいよ。じゃあどこに行く?』
『じゃあお腹空いたしどこかお店いこ!』
それから俺達は色々な所に行った。
『そろそろ日も暮れてきたし帰ろっか!』
夏蓮は俺に言った。
『そうだなそろそろ帰るか』
帰りに彼女の横顔を見ていると
『どうしたの翔くん?』
『な、なんでもない』
目をそらし焦り口調でいった。
そうして二人で話していると、何か上からすごい音がきこえてきた。それはしだいにおおきくなっていき何かが地面に降ってきた。
『何?何?なんなの?』
夏蓮は驚いた口調で言った。
俺と夏蓮は驚いた顔で落ちてきたものを目を凝らして見つめた。
『いてて...』
目の前にある何かが喋る。
何だこれ?人か?しかし背中に翼がはえている。
目の前にいる奇妙な生き物が言葉を発する。
『やっと見つけました。あなたが桐ヶ谷翔君ですね?』
俺はゆっくりと口を開く。
『そうだけど、何で俺の名前を知っているんだ?ってかお前は何だ??』
『私は天使のフリードです。あなたを迎えに来ました。』
俺は驚いた口調で言う。
『言っていることがわからないんだけど...。』
フリードが言う。
『簡単に言うと今日からあなたには勇者になってもらいます。』
俺はぽっかりと口をあけている。
『説明は後にして天界にいきましょう。』
その時、空に丸く光った紋章が現れた。
『これは天界へ通じるゲートです。』
天使のフリードは俺を抱えて紋章をめがけてとんだ。俺はあまりの怖さに叫ぶ。
『翔く~ん!!』
夏蓮の声は辺りに響く。
俺は気を失い意識が遠のいていった。
気がつくと俺は城のような建物の中にいた。
『何処だここは...』
その時目の前から声が聞こえた。
『気がつきましたか。私は天使の総督のマリアです。』
金色の髪の毛の美しい女性が豪華そうな椅子に座っている。その横には俺をさらった天使のフリードがいる。
俺は質問をする。
『どういうことかわからないんですけど...』
フリードが口を開く。
『説明が遅れました。今この天界は危険にさらされています。』
『危険とは何ですか?』
『それは魔界にすんでいる魔王の総督アザゼルが率いる悪魔たちがこの天界を滅ぼそうと攻めてきています。』
俺は言う。
『それと俺に何の関係が?』
フリードに代わって天使の総督のマリアが答えた。
『この事態を沈めようとあらゆる天使が悪魔に立ち向かいましたが力が及びませんでした。そこで誰か力の持ったものはいないかと探しました。その時私達はそれにふさわしいものを見つけました。それがあなたです。』
マリアはそう言った。
俺はあり得ないというような様子で
『俺が勇者なんて何かの間違いじゃないのか?』
フリードが答える。
『そんなことはありません。あなたは勇者としての力があります。』
マリアとフリードが言った。
『どうかこの天界をすくってはもらえないでしょうか?』
二人の目は真剣だった。
俺はこういうことはあまり断りきれない性格だったのでついわかったと答えてしまった。
その瞬間、俺は疲れていたのだろうか...。
その場に倒れて意識を失ってしまった。
気がつくと俺は自分の部屋のベッドで寝ていた。
『あれは夢だったのか?』
その時部屋のドアがすごい勢いで開いた。
『翔君!!大丈夫?昨日のあれは何?』
夏蓮が部屋に入ってきて俺に訪ねた。
やはり夢ではなかったのか?
『なんか天使とかなんとかで大変だったよ。なんかいきなり俺が勇者だとかいわれるし...』
俺は夏蓮に昨日のことをすべて話した。
夏蓮は信じられないという顔で話を聞いていた。
その時部屋の地面から昨日と同じ丸く光った紋章が現れた。その紋章から昨日と同じ男、天使のフリードが現れた。
『翔君おはよう!』
この時昨日の出来事が本当だと言うことを確信した。
『じゃあ早速天界へいこうか』
こうして俺のあり得ない勇者生活が始まる・・・
俺は無事に天界を救うことはできるのだろうか?