第8話:黒は1人で
朝礼も終わり、俺は授業の用意をして自分の席についた。
にしてもι今日の朝礼はやたら長く感じた。
校長の下らない話しも、いつもは他にすることもなくて、心の中で突っ込みを入れてやっているが…ι(相当暇だな?!by英太)
今日はそれどころじゃなかったι
俺はまた麗奈のことを思い出していた。
……恋なぁι
“初恋は叶わないもんだ”ってよく聞くけど…。でもやっぱ、初恋だからこそ叶えたいもんじゃん?!
まぁιでもやっぱり、自分が本当に恋してんのか…。
ダァ!わかんねぇι
にしてもだ、あいつ等3人の、麗奈を誉めちぎった後の『頑張れ』発言って…。
素直に応援として取るべきか…それとも…?!
ライバル宣言か?!
でももしかして…俺って一歩リードじゃん?!
だって名前覚えてもらったし、大体喋ったのも俺だけだし…ねぇ??やっぱ一歩リードじゃん!!
--ッ!
なんだぁι焦ることないんじゃんvv
---君!!
やったねぇvこれでちょっと安心vv
----バシッ!!
「…ッ? 痛ってぇ!!」
俺はいきなり感じた衝撃に、現実の世界に戻った。
そして恐る恐る顔を上げると……?
そこには現代文の教科担任が、鬼のような顔をして仁王立ちしていた。
「痛いじゃないでしょ?!何回呼んだと思ってるの?!
授業始まらないじゃないの!委員長さん、号令!」
……委員長さん号令ってあんたι
……
「…って俺じゃん?!」
俺は慌てて起立した。
「秋野君にしては珍しいわねぇ?
大丈夫??」
教科担任が俺の顔を覗き込んで聞いてきた。
「すいません;
最近寝不足でちょっとι」
俺は慌てて、即興で言い訳を作った。
「そうなのι勉強も良いけど、ほどほどにねι」
どぅやらこの人は俺の言い訳を本気で受け取ったらしい。
……単純で助かったι
「は…はいι」
そして号令をかけ、着席すると、隣の席の尚がニヤリとしながら俺に耳打ちしてきた。
…ボソ
「!!」
おぃ?
こいつも黒キャラなのか?!
…ボソ
「寝不足ねぇ…。
可愛いvv悠斗ちゃんvv」
俺はその授業の内容が、まるで頭に入らなかったι
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今日は本当に長かったι
やっと授業終わったなι
にしても…。朝礼の時の英太にしても、授業の時の尚にしても…。
………俺の周り、ブラックなキャラ居すぎだろ?!
あぁ言うのって『クラスに一人は居るタイプ』とかじゃないのか?!
何で2人も居るんだよ?!
「いやιそこ数の問題じゃないだろι」
「ぁあ?!数の問題だろ!!2人だぞ、2人!!1人居れば十分だよ!!」
「てか、1人だったら居て良いのかよι」
「そこ突っ込むとこじゃ無いだろ!!」
「そこ以外どこに突っ込み求めてんだよ?!」
「そこは、3人だったら良いのかよ?!だろ!」
「そんな難易度高い突っ込みできるか?!てか最早それ突っ込みじゃないだろ?!」
……まったく!こいつ分かってないなぁι
……?
……………?
待て。俺さっき一人で考えてただけだよなぁ?
俺誰と話してんだ?!
「悠〜斗〜」
----ビクッッ!!
俺は声のした、自分の後ろの席をそっと振り向いた。
そこには、引きつった笑いを浮かべた小沢がいた。
「なんだ小沢かぁ〜ι」
「なんだじゃないっつの!!」
……でも…?
「何で俺の思ってることに突っ込み入れられるんだ?!」
まさか!こいつもエスパーか?!
「アホか!悠斗さっきから全部口に出てるっつの!!誰がエスパーだよ!」
「…え?」
…マジ?全然気付かなかったし!
「悠斗大丈夫??なんかおかしいぞ?疲れてんの?」
確かにι思った事口に出してるってとこで普通におかしい奴だなι
はぁι麗奈の一件から絶対おかしくなってるはι
「有り難う。まぁそんなとこだと思うわι」
俺は小沢のおかげで、やっと少しづつ冷静さを取り戻し、そう返事をした。
小沢ιお前だけだよι黒を感じないのはι
俺は心の中で素直にそう思った。
…が。
次の小沢の言葉に、そう思った事を酷く後悔した。
「初恋の病は重いのねvv」
拝啓
お母様。
僕の周りには、ブラックは2人。改め、3人居るようです。




