第7話:…コ…イ?
俺の焦りも知らずに、彼女が口を開いた。
「相変わらず、ほんま朝からげんきやなぁι」
「当たり前だよ♪
それよりさぁ、この子超カッコいいでしょう?!
悠斗って言うんだよvv」
俺は彼女にただ呆然と見とれていた。
…にしても美人だなぁ……。
「悠斗チャン?!」
「ぅわぁ!!」
俺はゆうちゃんに呼ばれて、やっと我に帰った。
「悠斗君初めまして(笑
うちは麗奈、呼び捨てでええから☆
悠斗君も大変ゃねぇιこの子らテンション高すぎやろ??(笑」
“麗奈”が俺に話しかけてる?!
ヤバい!!俺の心臓が…!
あ!早く返事しなきゃ!!
「はっはっっ始めまして!!!!!
ぉっ俺は秋野悠斗です!!俺も呼び捨てで全然OKッス!!」
何か俺慌てすぎて超かんでるしっっ!
麗奈は一瞬俺の慌てように目を丸くしたが、またすぐにキラキラの笑顔に戻った。
「じゃぁそぅさせて貰うわ(笑
てか悠斗むっちゃ慌ててない??何かあったん?」
そぅ言いながら、麗奈は俺の顔を覗きこんだ。
俺より小さい麗奈に下から覗き込まれ、俺は固まった。
………。
…………。
マジヤバいんですけどっっ!!
そんなに見つめないでください!!
俺が固まって、動けない事に気づいたのか、ゆうちゃんがやっと助け船を出してくれた。
「麗奈?!朝礼始まるから並ぼ♪♪」
すると麗奈は、ハッとゆうちゃんの方を振り返り
「そぅやん!朝礼でここ来たん忘れとったわ(笑
ほな行こか☆悠斗またなぁ♪」
そぅ言って、尚とじゃれあっているまいちゃんを引きづりながら、3人で並んで自分のクラスの整列場所へと帰っていった。
俺は見えなくなるまで麗奈の後ろ姿を見つめていた。
それを見届けて後ろを振り向くと…。
……。
………。
ニヤニヤ笑う小沢と尚。そして腕を組んで黒い笑顔を浮かべた英太が立っていた。
「ぁ、あははι
お、俺たちも並ぼうぜ…?」
俺は何とかその場をごまかそうと口を開いた。
……てかなんで俺はこんな動揺してんだよ?!
「悠斗vv可愛い(笑」
小沢が俺の提案など聞いていなかったかのよぅに言う。
「悠君分かりやす過ぎぃ〜vv」
うっ、何でこいつら満面の笑みなんだよ!!
俺がどうしようもなく引きつり笑いをしていると、英太が更に黒い笑いを浮かべた。
「悠斗って、俺たちが可愛いって言う子全っ然興味なさげだと思ったら…あぁいうタイプが好みだったんだな(笑」
ぇ、英太さん?!あなたそんな黒いキャラでしたっけ?!
「でも確かに俺初めてあんな美人と合ったかもvv」
「僕も僕もvv」
「あれだけ整った顔もあるんだな。」
3人が口々にに言う。
そして3人がピッタリ声を揃えて
「ま、頑張れよ☆」
って…お前らふざけんな!!
てか何を俺に頑張れと?!
「いや、俺が何を頑張る訳よι」
俺は疑問に思った事をそのまま口にした。
「……フッ」
「おい!こら英太!フッっじゃねぇよ!フッっじゃ!」
今ぜってぇ俺のことバカにしやがった!!
つか何気に後ろで小沢と尚も笑ってやがるし!!
俺がそんなイライラを抱えているのを、知ってか知らずか、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべていた3人を代表して、英太が口を開いた。
「悠斗も大人になったなぁ。やっと恋をしたか!」
続いて小沢も
「本当!やっとだね!このモテ男!!」
「悠君……青春v」
「……は?」
…こいつら今なんと?
…コイ?
……こい…あ!鯉?いやいや?!
……コイ…あ!濃い?!
何がだよ?!
……コイ…あ!来い?!
どこへだよ?!
「お〜いι悠斗戻って来〜いι」
俺は英太のその声で我に返った。
…聞くべきか…それとも…。いや!今聞かなきゃ夜ねれねぇよ!!
俺は決心して、気になることを恐る恐る聞いてみた。
「あのさぁ…さっき英太さん、あなたコイっとかなんとか言いました??」
「うんι悠斗のキャラ完璧崩れてるぞ?」
「んなこと聞いてねぇよ!!俺の質問に答えろ?!」
「いやι感情の起伏激しすぎだよ!!てかどのタイミングでキレんだよι」
俺と英太がそんなやり取りをしていると、後ろから尚が、今まで見せた事のない、冷静な表情で口を開いた。
「悠君!悠君、麗奈ちゃんに会うと変になっちゃうでしょ??」
……変??まぁ確かに落ち着き無くなるけど…?
「やけに落ち着き無くなったり、慌てたり。」
----鋭い?!何で分かんだ ?!も、もしや……エスパー?!
内心をビシビシ言い当てる尚に、どぎまぎしながら俺は直立不動した。
てか!いつもの天然ちゃんはどこ行った?!こいつ本当に尚か?!
すると尚が、いつもの可愛らしい笑顔に戻って、極めつけのもう一言。
「それを恋っていうんだよvv悠君vv」
秋野悠斗。
15歳。
初めて“恋”とやらをしたようです。




