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第16話:初めての文化祭・1


まいちゃんが大作を仕上げてから、また2週間ほどがたった…。


今日は土曜に登校だと言うのに、イヤだの、ダルいだのと言う生徒は誰一人として居ない。


何でかって??

答えは簡単。


今日は……遂に来た!!文化祭当日なのだ!



はぁι思えば2ヶ月位、がむしゃらに取り組んで来ましたよι

いきなり全校作成物を作らされ、クラスはクラスで、健康ランドの準備をさせられるし…ι



俺がそんな思い出に浸っていると、後方から…なんだかんだ懐かしい音がするのは気のせい……


ーータッタッタッターー

じゃないみたいだなι


「悠く〜ん!!」


あぁ、懐かしいよ…尚さんι

相変わらず朝の挨拶は全力疾走なんすねι

…ちょっと待て?嫌な予感…ι


尚は俺の名前を呼びながら、俺の背に向かってそのまま全力で駆け寄ってくる…足音がするι


よし、先手必勝!!


俺がそう心の中で決意を固めていると、そんなことを全く察していない尚が、

「おはよう〜〜vv」と言いながら、俺の背中にダイブしようと、跳び箱でも飛ぶのかの様に踏み切った…気配がした。


「おっと」


「ぅえぇ!!」


ーードスッーー


あ…生きてるか??


現在の状況…?あぁι


踏み切った!!っと思った瞬間、俺が一歩横にずれた訳ですね?つまり尚さんは…元気よ〜く、床へダ〜イブ!ってな訳♪



あ、動いた?!


暫く床に伏せて動かなかった尚が、動いたか??

と、俺は一応声をかけてみた。


「尚さ〜ん?」


「…ぅぅうう」


「?!」


…なんだ今の?!なんか唸ったぞ?!


と、俺が少し焦りを感じていると、いきなり尚がパッと立ち上がった。


「うわぁ?!」


尚のいきなりの行動に、今度は俺が声を上げた。

すると、そんな俺の反応も気にすることなく、尚は幽霊が歩いているかの様な足取りで、俺の方に向かってきた。


…なんか怖いんですけどι流石の尚さんでもやりすぎ禁物だったか?


仕返しでもくるのか?殴る?蹴る?…殺される?!



俺がビクビクしながら、自分のしたことに多少の後悔の念を覚えていると、尚が遂に俺のところまでたどり着いた。


俺は取りあえず、ビクビクしながらも声をかけた。



「あっと…尚?大丈夫…か?」


「悠君。」


「は、はいッ?!」


俺は尚の有無を言わせない様な声色に、背筋をこれでもかと言うほど伸ばし、緊張を覚えながら返事をした。


怖い〜〜!!普段怒らないやつが怒ると怖いって言うし…ι怒ってんのか確かめたいけど顔伏せてるしι


すると、また尚が口を開いた。


「悠君…おはよ〜♪」


「は?!」


俺が尚の意外過ぎる発言に驚く中、当の本人はいつものハイテンションではなしだした。


「もぅ、やだぁ悠君ったらぁ♪そんな照れなくても良いのにvv照れちゃってvv」


……。

なんだこいつ?!

おかしいだろ?!床にダイブしなんだぞ?!しかも結構な勢いで!おかしいだろ?!だって無傷だぜ無傷!しかもなんでこんな笑顔なんだよ?!



と、俺が尚の驚異的な身体能力にひたすら焦っていた。



ーーーートントン


突然肩に衝撃を覚え、俺は慌てて振り返った。


「ぅわぁ?!」

「ぅわぁ?!」


何、この“驚かした方も驚いちゃった”的な展開ι


てか…ι


「何なんだよ英太?!急に肩なんか叩くなっつの!!驚くだろ?!」


と、肩を叩いた張本人である英太を、俺は怒鳴りつけた。


のいきなりの発言にキョトンとしていた英太だったが、ハッと我を取り戻し、慌てて口を開いた。


「…ッι驚いたのはこっちの方だっつの!!いきなりどんなけな勢いで振り向くんだよ?!」


「え?そんな勢いあったか?」


「首が吹っ飛ぶんじゃないかと思うくらいなι」



あぁιつまり…俺は全くもって普通に振り返ったつもりだったけど…尚の一件でテンパったせいで、思った以上のスピードが出た訳かι



俺はやっとすこし冷静さを取り戻し、平静に戻る中、自分の首に違和感を覚えた。



「なぁ、英太君?」


「今度は何だよ?君付けなんかして…ι」


「…湿布…持ってません?」


「………は?」


いやι『は?』じゃないですよ!『は?』じゃ!

だから…!


「湿布持ってないかって聞いてんだよ?!」


「いや、どのタイミングで怒るんだよ?!

てかこの場面で湿布持ってるやつ居ねぇだろ?!」


「悠斗?持ってるけど…いる?」


「いる!!」


誰の言ったことかも分からないまま、俺はとりあえず、とってもとっても有り難い言葉にすぐさま返事を返した。



てか…誰?!



有り難い発言をして下さった方を確かめる為に、俺は痛い首を手で押さえながら、声のした方を振り返った。


と、そこにはカバンをごそごそと漁りながら

「確かこの辺に…えっと…」などとブツブツ行っている小沢がいた。



「てか何でお前湿布なんて持ってんだよ?!」


と、ごそごそ音を立てている小沢に、英太が突っ込みを入れた。



すると、小沢は少し眉間にシワをよせて、

「必需品でしょ?!」などと言いながら、なおもごそごそしている。



俺は痛みの走る首に手を当て、前後左右に曲げる運動をしながら、小沢に声をかけた。


「小沢〜?ないのか?!」


期待させておいて落とすとか…なしだぜ?!


と、俺が多少の不安を感じながら、祈るような眼差しで小沢を見ていると、眉間にシワを寄せていた小沢の顔が、一瞬にしてパッと明るくなった。

もしや?!


「有ったのか?!」

俺は更に強い期待を眼差しにこめて小沢に言った。



と、小沢は満面の笑みを浮かべながら、俺に目を合わせてきた。



有ったのか?!

有ったんだよな?!

やった!!でかした小沢!!



俺が心の中で、小沢を褒め称えていると、小沢が眩しいくらいの笑みを浮かべながら口を開いた。



「はははvvない!」

……?


…うん?えっと……。


………?!



「は?!ない?!」

俺はやっと小沢の発言を理解し、ハッと我に返った。



てか…ι


「ないならないって言えよ!てか何で今満面の笑みだったんだよ?!期待すんだろ?!

子供が夢の中で、クリスマスに自分の欲しいプレゼント貰ったのに、目が覚めたらまだ10日前で、しかも現実で貰ったプレゼントがポイント抑えてるけどちょっと違った!ときぐらいガッカリすんだろ?!」


「意味分かんない上に長いんだよ!ι」

「英太!冷静に突っ込み入れてる場合か?!

分かるだろ?!あの何か虚しい感じ?!」


「最早ι何を分かって欲しいのかも分かんねぇよι」




「今日の悠君おかしいねぇ〜?」


「尚さん?おかしくさせたのは誰かなぁ?」



「僕トイレ〜vv」


「通じるか!!責任とれっつの!!」



「僕のせいじゃない〜!!悠君が勝手におかしくなったの〜!」

「って言ってる時点で、自分のせいって自覚あんじゃねぇか!!」


「うっι…うわぁ〜英ちゃんが怖い〜!!」


「え?!ってこら待て!逃げるな〜!」




と、朝から廊下でバタバタしている俺たちを、他の生徒が不思議そうな目で眺めているのもしらず、俺たちは各々の言い合いを続けていた。



「おい!小沢〜!」


「待て尚!」



「いい加減に気付きなさ〜い!!」


「?!」



いきなりの叫び声に、俺たちは驚いて声のした方を振り返った。



「あ〜!まいちゃ〜ん!助けて!」


と、いち早く声を発した人物を特定した尚が、勢いよく助けを求めて飛びついた。



「お〜よしよしvvやっと私の存在に気付いてくれたのねι」


と、まいちゃんは尚の頭を撫でながら、少し溜め息混じりにそう言った。


俺はまだ頭の回転がついて行けず、その光景を、ただ呆然と眺めていた。



「あの…まいちゃん?“やっと”って…いつからいたの?」


俺は、流石と言うのか…?すでに冷静に戻った英太の発言で、はっと意識を戻した。



すると、まいちゃんは少し困った顔をしながら、英太の質問に答えた。


「う…ん?悠斗さんに尚さんが飛びつくあたりから?」


「ってそれ最初っからでしょ?!」


「…テヘvv」


「なにキャラ?!」



英太がまいちゃんとのミニコントをしていると、俺の隣で大人しくしていた小沢が口を開いた。



「あの…?」


「へ?」

「あ?」


2人が同時に振り返った事で驚きながらも、小沢は続けた。


「あの…まいちゃんは何か用事だったの?」



確かに……?


俺は尚の質問に頷いた。


すると、まいちゃんは何かを思い出したのか、ハッとした表情を浮かべ、尚をほっぽり、慌てた様子で俺のもとに駆け寄ってきた。



「ん?」


俺は何が起きたのか分からず、ただまいちゃんを見るしかなかったか。


と、まいちゃんはそんな俺を笑顔で見つめながら、少々興奮気味に話し出した。


「思い出した〜!

…ゆ・う・と・君vvに、とっておきの情報vv」



高校1年生。

初めての文化祭。


何かまってる…?



予感です。

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