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第12話:スクープ?!



「悪い悪いιんで、お前等何見たんだよ?」


俺の問いかけに、小沢が思い出したとばかりに話し始めた。


「そぅそぅ!それがな?昨日の帰り、階段降りてって、近道しようと思って…尚と一緒に職員玄関から出ようとしたんだよ。」


この学校の職員玄関は、駐輪場とほど近いところにある。

だから、自転車通学の小沢達には、そっちの方が近道なのは良く分かる。


でも…それが何だってんだ?

『そんで先生にバレて怒られました!』…とか??

いや、それじゃ全くもって麗奈関係ないじゃんι

…あぁ!そんで、それを麗奈が助けたとか?!

いや、それじゃスクープでも何でもねぇよι


俺が一人で勝手な推理をしていると、小沢がそのまま話しを続けた。


「そしたら…そこに誰か居てさ。何か深刻な感じだったから、そ〜っと覗いて見たんだよ…そしたら…」


小沢がここまで話すと、いきなり尚が割り込んで話し始めた。


「そこに居たの誰だと思う?!」


「いやιいきなり振るなよι」


俺は尚の唐突な質問に、少し焦れったさを感じながら答えた。


「なんと〜!麗ちゃんとたっちゃんがいたの!!」


…え?竜也が?


「しかも会話がね?!」


すると、いきなり小沢が声をワントーン低くなり、尚は女々しくなった。


あぁι小沢が竜也役で、尚が麗奈役って事な?ι


俺がなんとか理解すると、2人はそのまま芝居を始めた。


「じゃあ、もぅ好きじゃなくなったのか?」

小沢が深刻な顔つきで言う。


「違う!!好きや、好きやけど…。

でも…ダメなものはダメやねん…。」

今度は尚が、俯きながら話す。


「何でだよ?!意味わかんないよ!!好きなら…好きならそれで良いじゃんか?!」

小沢が熱くなりながら言う。


「好きやけど…そういう問題ちゃうねん。分かってや…。」

「分かんねぇよ…!俺には分かんない!」



………うんιこいつ等完璧自分達に酔ってんなι


いや!今それどころじゃねぇよ!!

ちょっと待て!その会話ってまるで二人が……?!

いやいや?!んな訳ない!!てかあってたまるか〜!


「それってまるで、2人が付き合ってるみたいな会話だな?」


俺がパニックを起こす中、英太が俺の、今一番否定したいことを、サラッと言ってのけた。

…英太さん、俺のハートは以外と脆いもんなんです…。

それなのに…お前にはデリカシーってなもんはないのか?!あぁ?!ちったぁ気を使いやがれ!!気を!!


俺がそんな事を思っているとはつゆ知らず、3人は話しを続けていく。


「でしょ〜?!僕ショック〜!!」


「あの美人の彼氏が…竜也ってのもなぁι」


「英太も結構ズバッと言うなぁι」


…だよな?英太…!そぅだよ!麗奈の彼氏が達也?!納得いくか!!


「よし…お前等!」

俺が口を開くと、3人がキョトンとしながら俺の顔をみた。

「決めたぞ!!絶対俺達の手で、本当に麗奈と達也ができてるのか確かめてやる!!」


絶対確かめてやる!んなわけねぇよ!あってたまるか!!



俺の提案に、小沢と英太は苦笑いを浮かべる中、尚だけが『作戦作戦??楽しみ〜vvやるやる〜vv』なんて言いながらジャンプしていた。

----------

そんな朝のやりとりがあって、今は6時間目。数学。


今日は何かと忙しく、まだ竜也に探りを入れないでいた。


ったくι何で今日に限って、毎回毎回休み時間になると呼び出し食らうんだよ?!

先生方には足ってもんが着いてらっしゃらないんですかね?!着いてんだったら自分から来いっての!!


俺が心の中で毒づいていると、数学の教科担任が、後は自習だと言い残して、教室を後にした。



……これって…。


………チャ〜ンス!!


俺は心の中で、最高のガッツポーズを決めた。

俺の中では既にライバルに変わりつつある竜也は、隣で呑気に、何をするわけでもなく、ただぼーっとしていた。


……今しかないでしょ?!


俺が意を決して、竜也に話しかけようとした、正にそのとき

「たつ…

「たっちゃん!!」


…見事に邪魔しやがったな…尚…!!


俺は尚を横目で睨みながらも、隣の竜也の反応をうかがった。


すると竜也は、尚の呼びかけに、一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに尚を見て口を開いた。


「なんだ尚かιびっくりさせるなよι」

「たっちゃんが勝手にぼーっとしてただけだも〜ん!」


「お前なぁ…ιまぁ良いやιで、何か用?」


竜也が呆れて、半ば諦め気味に言った。

すると尚は、ニヤニヤしながら口を開いた。


「ねぇねぇ、たっちゃんってさ、彼女居るの?vv」


ってんなこと!ウキウキしながら真っ正面から聞いてんじゃねぇよ!


俺は内心で、尚にダメだしをしながらも、ドキドキしながら竜也の答えを待った。


どうなんだ竜也…?

どうなんだよ〜?!


竜也は眉間に皺を寄せながらも、尚の唐突な質問に答えた。


「彼女?!いや、今居ないけど??何でまた急にι」


「本当に〜?だってたっちゃん、やっぱりモテるのかなぁ?と思ってvv」


こんな時は口がうまいのなι


「残念ιおだてても、何もでねぇよ。」

「…ッチ」


--?!

ちょっと?!尚さん?!あなた今舌打ちしました?!


ヤベ〜ιブラック尚降臨してやがるι



---キーン---コーン--カーン----


と、そのとき、1日の授業を終えたことを知らせるチャイムが鳴り響いた。


教室が一気に騒がしくなる中、尚がクルリと後ろを向き、俺にそっと話しかけた。


「ねぇ悠君!さっきのたっちゃん、本当だと思う?」


彼女が居ないって話しの事だよなぁ?


「本当じゃないのか?あの素振りじゃ、嘘ついてる感じじゃ無かったぞ?」


特に慌てた様子も、ごまかしてる様子も無かったしなぁ…?


「やっぱり悠君もそぅ思った??」


「でもそぅなると、小沢と尚が見たのはなんだったんだ?」

「ぅわぁ?!って英太!いきなり現れるな!!出るって言ってから出てこい!」

「いや、言ってること訳わかんねぇからι」


いきなりの英太の登場に俺が驚いていると…。

隣の竜也が、なにやらコソコソ電話で話しているのが聞こえてきた。


「うん…、あぁ…、だからそれは!」


何コソコソやってんだ?


「あぁ、分かった。じゃ、昨日と同じ場所で…。うん、終わったら直ぐ行く。」

……昨日と同じ場所?

……終わったら…ってまさか?!


「あっ麗奈!…絶対来いよ…。」


……。

麗奈だぁ?!やっぱりそぅなのか?!


でも…なんで麗奈と竜也が繋がってんだ??

学校で話してるとこも見たことないよなぁ…?


………。


ダァ!益々怪しいよ!!


俺がそんなことをモヤモヤと考えていると、一緒に大人しく竜也をうかがっていた尚が口を開いた。

「ねぇねぇ、悠君!聞いた?!昨日と同じ場所だって!」


「て言うことは…職員玄関…?」


英太が答えた。


「じゃ…行ってみちゃう?!」


「ぅわぁ!小沢!どっから湧いて出やがった?!」


「湧いてって失礼な!!俺は虫じゃないっつの!!」


俺が小沢の突然の出現に驚いていると、そんなことも無視して、3人がどんどん話しを進めていく。


「よ〜し、じゃぁ行ってみよう!」


「確かめないとスッキリしないしな。」

「絶対確かめてやろ!」



おいι英太に小沢。お前等やる気無かったんじゃなかったか?


何でそんなやる気になってんだ?!


「悠君も勿論行くよねvv」


「ッ?!あ、あぁ…行くよ。」


俺は心の中で、本当に2人が…なんて言う不安を抱きながら返事を返した。


--------


放課後…。


来ちゃいました…。

来ちゃいましたよ…。

なんなら、帰りのホームルーム終わって走って来ちゃいましたけど…ι


なにか?


そんなこんなで、4人で物陰で隠れていると、例の2人がそれぞれ、違う方向から現れた。

と、尚が小声で話し出した。


「来た来た!なんか…深刻〜な感じ…?」


俺は2人の会話にそっと耳を傾けた。


「…で、気は変わった?」


なんだか神妙な面もちで竜也が話し出した。


「……変わらへんよ。せやからやっぱり…ごめん。」


え?これは…別れ話し…?


と、俺は自分にかかる、余計な体重を感じた。


「……おいι…尚!!押すなっつの!」

俺は出来るだけ小声で話した。


「だって見えないんだも〜ん!」


そう言って尚は、俺に更に体重をかけた。


「ぅわ?!コラ!体重かけんなって?!」


----ドテッ


尚が体重をかけた瞬間。俺は見事に転けたわけですι


って、こんな落ち着いてる場合じゃなかった!


俺は慌てて2人の方を見た。


「ア、アハハι」


はいι見事に目が合っちゃいましたねι

「あら、悠斗?こんなとこで…どないしたん?」


麗奈が俺に、不思議そぅに話しかけた。

「まぁ、ずっと居たけどなιそこの4人衆?vv」


うっι語尾のvvが怖いっすよι竜也さんι


「え?!そんな前から居ったん?」


「ったくιバレバレだっつのι」


「全然分からんかったわ〜ι」


「麗奈が鈍いだけだよι」


「なんやて?!竜也が鋭いだけやろ!」

「普通は気付くよι」


あら?ι俺達無視??


俺が2人のやり取りに呆気に取られていると、英太が口を開いた。


「あの…、さっきからお二人さん、とっても親しく見えるんですが…?」


「ふぇ?!」


「え?!んなことないですよ!」


いや、明らかに慌ててるよなぁι


「じゃあ何でそんな慌ててるのさ〜?!」


すると竜也が、一度深く溜め息をついてから話し出した。


「はぁ、まぁ…良いかι俺達…一応、親戚なんだよιだから昔から知ってんだよι」


うん。親戚。へぇ〜。

……って、そんなけ?!


と、尚が疑問を口にした。


「えぇ〜?!2人って付き合ってるんじゃないのぉ?!」


「……。」


あれ?!2人黙っちゃったけど?


「……。」


お〜い?


「って、んなわけないだろ?!何でそうなるんだよ?!」


「何でこんなんとうちが付き合わなあかんのよ?!」


……え?


「はぁ?!そんなん俺から願い下げだっつの!!なんでこんな浪花女と?!」


「なんやて?!今浪花をバカにしたやろ?!」


いや、突っ込むとこ違うからι


でもじゃぁ…あの会話は…?


と、俺達4人の疑問を、代弁するかの様に、小沢が2人のバトルに割って入った。


「え?!じゃあ昨日の会話は何だったの?!」


と、2人はハッとバトルを中断して、お互い顔を見合わせ、

「あぁ!」と思い出した様に声を上げたかと思うと、2人で声を合わせて笑い出した。


「あぁ、あれな、見てたん(笑)」

まぁ、フフっ!そんな勘違いもありかι」


と、尚が煮えきれない様子で口を開いた。


「2人でなに笑ってんのさぁ!!」


「そうだそうだ!!」


続いて小沢がそぅ言うと、麗奈が慌てて話し出した。


「ごめんごめんιあれはちゃうねんι

実はうちら2人、ご近所さんなんよ。

せやから、家族ぐるみで仲ええんやけどね?今度皆でバーベキューやろって話しがあってん。

けどうち…フッ(笑)

あかん…ハハハ!笑けてきた〜!」


麗奈が急に笑い出したことに、俺達がポカンとしていると、今度は、笑いの収まらない麗奈の変わりに、竜也が笑い出した。


「いや、けどな?こいつ今ダイエット中なんだよ。そんでバーベキューは行かねぇって言うから…クッ(笑)」


2人が笑えば笑うほど、俺達は話しが読めない。


「せやから、竜也が、うちを説得して来いって言われたらしくて、『肉好きだろ?!』って話しになってね?けどうちはダイエット中やろ?せやから『好きやけど、そう言う問題違う!!』ってなった訳よ(笑)」



………。


「…は?!」


俺達4人の息がピッタリ揃った。


つまりあれは…。

“2人の恋”の話しではなく…ただの肉の話しだったと…?!


と、俺以外の3人が、それぞれに口を開いた。


「そ、そうだったのかι」


「え〜!!つまんない〜!!」


「せっかくスクープだったと思ったのに!!」



……おい。待てよ?

そのスクープとやらに振り回された俺って……。

一番の被害者じゃねぇか?!


俺が肩の力を落としていると、英太が再び話しだした。


「…ι少女マンガバリの勘違いだなι」


俺はそれに続いて言った。


「本当だな…ιよく出来たスクープだよ…ι尚ちゃんにまことちゃん?♪」


俺のただならぬ怒りを感じたのか、小沢が苦笑いを浮かべた。


「アハハ…ι」


と、尚が能天気に言った。


「ごめんちゃい♪テヘッvv」


……。


ホッホ〜。

良い根性してんじゃないの?

ナ・オ・チャン♪


「何が『ごめんちゃい』だ?!あぁ?!」


と、2人が慌てて走り出した。


「ぅわぁ?!逃げろ逃げろ!!」


残念♪俺はそんなに心広かないんだなぁ…!


「コラ待て!!」



俺が2人を追いかけ回すなか、英太と竜也は呆れ顔を浮かべ、麗奈はまだ笑っていた。



「待てお前等!一発殴らせろ!そしたら許してやるよ!」


「ハァ…ハァι絶対やだ〜!」



俺は2人を追いかけながらも、どこかで竜也と麗奈が何でもなかった事に安堵していた。




「あ!悠斗!あんな所に宇宙人が!」


「アホか?!ハァ、ハァ、誰がんなもんに騙されるか!!」


「えぇ?!まこちゃん!!宇宙人どこ〜?!」



………ι



「悠斗先生〜ιここに居ました〜ι」



「…ιだなι」




やっぱりこいつは、問題児みたいですι




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