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第11話


王都から北東へ三日間、馬車を急がせた。


アリスは馬車の窓にもたれ、目を閉じていた。肩や膝の上には、8人の精霊たちが所狭しと陣取っている。


ディネ:「アリス、姿勢が悪いわよ。長時間同じ姿勢だと血流が悪くなるの。美少女の敵はむくみなんだから」


サラ:「そんなことより、次は俺の出番を増やせ! 派手に燃やしてぶっ飛ばすぜ!」


シルフ:「風で馬車飛ばしちゃおうよー! 一瞬で着くよ!」


ウィプス:「みんな、仲良くねー!」


セレネ:「……騒がしいったら。月の光で頭を冷やしてあげましょうか?」


ノーム:「……我慢しろ」


ジェイド:「……アリス、疲れてるなら少し休め」


エント:「まあまあ、みんな落ち着きなさい。アリスちゃんが可哀想ですわ」


アリスは目を開け、力なく笑った。


アリス:「……八人全員同時に喋られると、本気で頭痛くなるんだけど。ちょっと順番に話してよ……」


ミクリが御者台から振り返り、苦笑いを浮かべた。


ミクリ:「アリス、相変わらず壮絶だな……」


アリス:「ミクリも笑ってる場合じゃないよ! この面倒くささ、半分は君にも回すからね!」


ディネ:「ふふっ、いい案ね。ミクリにも美容講習を——」


ミクリ:「遠慮しておく」


馬車内はいつもの大騒動だったが、その中心にいるアリスは表情を引き締めていた。


黒の要塞まであと二日。魔王軍の本拠地に、ついに足を踏み入れる時が近づいていた。


---


夜の野営地。


焚き火を囲んで、8大精霊+アリス+ミクリの作戦会議が始まった。


ディネが地図を広げ、リーダーシップを発揮する。


ディネ:「黒の要塞は四将がそれぞれ守っているはず。第一将アバドン、第二将リリス、第三将ザガン、第四将ベルゼブブ。そして最奥に魔王ヴェルグ」


サラ:「リリスは前にやり合ったよな。次は俺がぶっ飛ばす!」


シルフ:「風で要塞ごと吹き飛ばしちゃおう!」


セレネ:「……馬鹿なこと言わないで。相手は四将よ。簡単に倒せる相手じゃないわ」


ジェイド:「……ザガンは特に注意。影の動きを読むのは難しい」


ノーム:「大地の力で要塞ごと潰すのも手だ」


エント:「みんな、怪我だけはしないでね……」


アリスは焚き火を見つめながら静かに言った。


アリス:「正直、怖いよ。でも……みんながいるから、行けると思う」


ディネが珍しく優しい声を出した。


ディネ:「当然でしょ。私たちがついているんだから。……アリス、あなたはもう一人じゃないのよ」


その言葉に、8人の精霊たちが一斉に頷いた。


ウィプス:「僕が明るく照らすよ!」


サラ:「俺が燃やす!」


シルフ:「飛ばすよ!」


セレネ:「……月の加護を」


アリスは目を細めて笑った。


アリス:「ありがとう……みんな」


---


二日後——黒の要塞外縁部。


巨大な黒い城塞が、荒野に不気味にそびえていた。


アリスたちは要塞の側面から潜入を試みたが、すぐに敵の迎撃を受けた。


第一将アバドン率いる大軍が、正面から押し寄せてきた。


アバドン:「うはははは! 8大精霊を揃えた小娘が来たか! 全部食ってやるぜ!」


巨大な体躯で地面を震わせながら迫ってくる。


アリス:「来い! 8大精霊、全力で!」


ここから本格的な総力戦が始まった。


ディネ:「アイスカノン・フルバースト!」


サラ:「ファイアストーム!」


シルフ:「ウィンドハリケーン!」


ウィプス:「セイントレイ!」


セレネ:「ムーン・エクリプス!」


ノーム:「アース・ジャッジメント!」


ジェイド:「シャドウ・プリズン!」


エント:「ライフ・ブレス!」


8つの力が融合し、アリスを中心に巨大な光の渦が巻き起こった。


アリスは大剣を高く掲げ、8大精霊の力を一身に受けて叫んだ。


アリス:「これが……私たちの力だ!」


光の奔流がアバドンの大軍を飲み込み、第一将本人も大きく後退させた。


アバドン:「ぐおおおっ……! この力……本物かよ!」


しかし、アバドンは笑いながら撤退を指示した。


アバドン:「今日はここまでだ。小娘……次はもっと美味しく食ってやるぜ!」


魔王軍が一旦退いた後、アリスは膝をついた。


アリス:「はあ……はあ……まだ……全然余裕ない……」


ディネ:「当然よ。四将を一気に倒せるほど甘くないわ。でも、確実にダメージを与えられた」


ミクリ:「アリス、無事か?」


アリス:「うん……みんなのおかげで」


その夜、要塞近くの洞窟で野営をしながら、アリスは8大精霊に尋ねた。


アリス:「ねえ、みんな。魔王ヴェルグは……本当に倒せると思う?」


ディネ:「倒せるわ。問題は……倒した後よ」


セレネ:「……世界のバランスが大きく崩れる可能性があるわ」


ジェイド:「……闇がなくなれば、光も歪む」


アリスは少し考え、明るく笑った。


アリス:「それなら……新しいバランスを、私たちが作ればいいんじゃない?」


8大精霊が一瞬、驚いたような沈黙を落とした後、ディネがくすくすと笑った。


ディネ:「……相変わらず前向きね、アリス」


サラ:「それも悪くないぜ!」


ウィプス:「アリスちゃん、かっこいい!」


セレネ:「……ふふっ。面白い契約者だわ」


アリスは焚き火を見つめ、静かに決意を新たにした。


アリス:「黒の要塞……明日、本気で攻略するよ。みんな、一緒に来てくれる?」


8大精霊が一斉に答えた。


「当然でしょ!」「いくぜ!」「飛ぼうよ!」「照らすよ!」「……守る」「我慢しろ」「……共に」「……いいでしょう」


アリスは笑った。


しかし、黒の要塞最深部では、魔王ヴェルグが静かに目を細めていた。


ヴェルグ:「……来るか。8大精霊の完全契約者よ。

我が軍の『真の力』を、存分に見せてやろう」


元王女アリスと8大精霊の、運命を賭けた最終決戦——


その火蓋が、今、切って落とされようとしていた。


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