銀花からうまれた王さま
昔々、ある島に、竜の男と天使の女がいました。
二人は出会うと、すぐに恋に落ち、結婚しました。
竜は黒い鱗に銀の瞳で、巨大な体を持っていました。
天使は美しい容姿で、人間と同じくらいの大きさでした。
二人は島で一番大きな山に住んでおり、時折ふもとまで降りてきて人間に姿を見せました。
天使は黒龍の肩に乗って、二人はいつも一緒で、仲良く暮らしていました。
あるとき、天使の女が眠るように亡くなってしまいました。
黒龍はたいそう悲しんで、毎日毎日、「会いたい」とつぶやきながら墓参りをしました。
すると、天使の墓が光って、やわらかい芽が出ました。
「きみは、あの人の贈り物だね」
黒龍はその芽が大きくなるのを、雨の日も風の日も見守りました。
芽はぐんぐん育ち、大きなつぼみになり、やがてきらきら光る銀色の花が咲きました。
そしてなんと、銀色の花の中には、赤ん坊が眠っていたのです。
天使とそっくりな顔だちの人間の男の子です。
その男の子は、黒い髪に銀色の瞳で、黒龍と天使の子供でした。
黒龍はたいそう驚き、喜び、その男の子を大切に育てました。
男の子は、立派に育ちました。
そして、その島で国を作り、国王となりました。
国はどんどん大きくなり、レグナス王国と名付けられました。
黒龍はこの国の行く末を見守り、国王が亡くなったあとも国を守り続けました。
そして今も、レグナス王国は黒龍と天使の愛に守られ続けています。




