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俺が魔王

「ねえ、ヒビト、アンタ新しい魔王になりなさい!」


「は?」


あまりに突然のことで、何を言っているのか理解が追いつかず、思わず荒々しく聞き返してしまった。


「だーかーら、あそこで『アウアウッ』寝っ転がっている魔王のかわりにヒビトが魔王になりなさいっていっているのよ」


ダメだ、さっぱり理解できん。


「なんでだよ? どうしてそうなる?」


「そんなの決まっているでしょ。面白そうだからにきまっているからでしょ。それに≪威圧≫スキルをもってるヒビトならいかにもっぽいもの」


コイツ、前々からおもってたけど頭大丈夫か?


「それ、いい考えですわね」


謎に乗り気な口ぶりでアリシアが言った。


「おいおい、ちょっと待てよ! 本当にいいのかよ、それで!」


段々と不穏な流れが立ち込めてきている。

嫌な予感しかしない。

災いの種は早目につんでおきたい。


「わらわは構わないでありんすよ。こうして魔王様と戯れられるのなら、誰が魔王であろうと一向に構わないでありんす。んふ、ねえ、魔王様――」


アリシアはなんかエロい感じで魔王の名を口にし、ずっと床で横になっている魔王に鞭を向け始め――


――まさかの第二ラウンド突入。


うそだろ、おい……。

魔王がお次は「アンワアンワッ!」と、もはやそれなんの声?と聞きたくなるようなおぞましい叫びを上げ始める。

お遊戯中の音がBGM代わりになっているように感じる。


「お二人の熱い時間を邪魔しちゃ悪いから、そういうわけでヒビト、アンタ今日から魔王やりなさい」


人差し指をビシッと俺に向けながらリリーはそう言った。

それと同時にペチンッと音がしたかと思えば、「アウアウアーッ!」と泣き叫ぶ声がした。

女王様と赤ちゃんかよ?


というか俺は何もきいてない。いいね?


「えええええ!? いやいやいや、無理無理無理! やれるわけないだろ! 第一俺の意思はどうなる?」


「ん? そんなの決まっているでしょ」


そうなんですか? 決まっちゃっているんですか?

どうしてそうなるのかな? 意味不明だよ。


「一応きいておくけど、どういうことだ?」


薄々気づいてはいるけど……。


「そんなのどうでもいいに決まっているでしょ!」


「ええ、そうだろうと思いましたとも。ええ、そうでしたとも!」


またしても人差し指をビシッと俺に向けながらリリーはそう言った。

それと同時にまたしても、ペチンペチンッと音がしたかと思えば「アッギャアッギャーッ!」と泣き叫ぶ声がした。


さっきからうるせっー!


「じゃあ、ヒビト、アンタ今日から魔王ってことで」


なんか軽くない? 

まあいいけど。


どうにも、リリーの勢いというかなんというのかに、何故か俺は逆らいずらいのであった。


突然、異世界転移したかと思えば、なんとこの俺が魔王になるなんて――

一体誰が予想したであろうか……。

はあ……。


<威圧>スキルのせいで、俺の異世界生活は前途多難なのであった――。




「ああ……、ええじゃあ、つうわけで今日から魔王になったヒビトだ!」


魔王城の玉座に腰を据えながら、とりあえずそれっぽく魔王に就任した挨拶をする俺。


その場にいた数十人の魔王軍の手下たちが「お、おおー……」と、恐る恐るといった具合に拍手喝采。


「いいかお前ら、つうわけだから俺の命令は今日から絶対な!」


またしても「お、おおー……」とまばらに拍手。


「お前らー! もっと腹から声だしてけー!」


「お、おおおー!」と、さっきと打って変わって拍手大喝采。


こんなんでいいのだろうか。

調子がよすぎる気が……。

それに、どいつもこいつもめっちゃビビってんだよな。


「アタシの命令も絶対だからね!」

と、尊大な態度でリリーが言った。


「おおおおー!」と、本日何度目だとなるやり取り。


「やっぱなんかおかしくね? 俺が魔王とかおかしくね? っていうかやりたくない! もっと普通な暮らしがしたい! 俺に魔王が勤まるわけないじゃん!」


本当になんでこうなった。

もうお家に帰りたい……。


「でもあんな醜態を晒した魔王様にだって勤まるとは思えないわよ。ねえ、アンタたちもそう思うでしょ?」


「おお、おおおー!」


「お前らそれでいいのかよっ! つか、さっきからお前らずっと『おー!』しか言ってねえじゃねえかよっ! もうちょっと会話のキャッチボールを成立させる努力をしろっ!」


「だって怖いもんな」「ああ、あの方に逆らったらどうなることやら」「リリー様も恐ろしい」「はあはあ、アリシア様とあんなプレイがしたい」


と、ひそひそ声で今しがた俺の部下になったやつらが話していた。


こんなんで魔王軍を纏めろと……。

無茶だ。


「なあ、リリーうまく魔王軍を取り仕切れる方法はないか?」


「うーん、そうねえ……」


しばらくの沈黙ののちリリーが、

「なら新しい部下を募集してみたら?」と言ってきた。


「新しい部下?」


「そそ。アタシみたいに≪威圧≫スキルに耐性があるあやつがいるかもしれないし」


なるほど。

一理ある。


「よし、お前ら! 今から魔王軍の方針を定めることにした。新しい部下を募集することにした!」


「お、おおおー!」


相変わらずの怯えような魔王軍配下たちなのであった

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