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ただの露出狂

あれからゴリーは、リリーのペットになった。

≪服従≫スキルの効果によって逆らえなくなったゴリーの抵抗空しく、リリーに鎖付きの首輪を嵌められことになった。


自分で言っててわけがわからない事態である。


そのゴリーは今、魔王と一緒に玉間でアリシアとドMプレイに興じていた。

どうしてそうなったかと言えば、なんか流れでそうなった。


リリー曰く、こういうプレイは人数が多ければ多いほど、楽しいでしょう!

という……狂気じみた提案で。


そこにアリシアが「それもそうですわねー!」と、当たり前のことのように乗っかった。

結果、魔王とゴリラのドMコラボレーション。


「アウッ! ホギャッ!」と、あながちゴリラも満更でもなさそうに声を上げている。


今は、リリーがそれをニマニマとした顔で眺めているという。


この世界には、ドSかドMのやつしかいないじゃないかと疑いたくなる。 


そう思っていた矢先、その男は現れた。

身体はよく鍛え上げられ、端正な顔立ちの金髪ロン毛長身の……全裸男が……


どうやら、この世界にはドSとドMと露出狂がいるようです。

自分で言っててわけがわからない事態である……。


その露出狂から、何故だか、異様なほど魅力が感じられる。

吸い寄せられてしまうような魅力だ。


「僕はジェシー。魔王軍参加希望だよ。それでね、僕は≪魅了≫のスキルを持っているんだ。だからみんな、僕の魅力に引き寄せられてしまうんだよ。つまり老若男女問わず、すごくモテモテになっちゃうんだ」と言いながら、キメ顔をする露出狂。


なるほど。

日本風に言えば桃太郎。

西洋風に言えばハーメルンの笛吹き男といったところか。


というか別にこっちからきいてないことをむこうから喋ってきたぞ。

……なんかまた香ばしいのが魔王軍にきたみたいだな。


「それは分かったけど、なんで素っ裸なんだよ?」


「んはっ、そんなの決まってるじゃないか! みんなに僕の魅力を隅々までみて欲しいからさ!」


「はあ?」


ダメだ。

また頭の可笑しい奴に絡まれてしまったようである。

露出狂、重度の変態ナルシストっと。


「ところで君、中々可愛らしい狸顔をしているじゃないか。どうだい僕と一緒に楽しいことをしたくないかい?」


そう言いながら彼は一物をブンブンと振り回した。


「はっ倒すぞてめえ!」


「ノンノン。そんなに興奮しないで、子猫ちゃん。こんなにイケてる僕と一緒に良いことが出来るなんてそうそうないよ」


「悪いな俺はノンケだ」


「んはっ、僕はノンケなんて関係なく頂いちゃうんだぜ❤」


「ぶっ飛ばすぞてめえ!」


そんなやり取りを変態と繰り広げていると、リリーが「ねえ、アンタのその≪魅了≫スキル私と交換しない」と言った。


どうやらリリーが、ジェシーのスキルに興味をもったらしい。


俺はこっそり「≪魅了≫スキルのレア度ってどのくらいだ?」と聞いた。


「トリプルSのスキルみたいよ」


まさかの俺のスキルと同じくトリプルSランクだと。


リリーが「これはぜひとも欲しいところね」とボソッと一言。

 

「いいよ、交換してあげても。ただし――」


「ただし?」とリリーの訝し気な声。


「僕とセ〇クスしてくれるのなら交換してあげてもいいよ」


とてつもないキメ顔で言い放ったジェシー。 


「あっそ、じゃあいいわ、もう」


リリーがゴミを見るような目でジェシーに言った。


「な、バカなどうして!? この僕とセ〇クスしたくない人間なんてこの世にいるはずがない。ただでさえこの美しい顔でありながら、さらに≪魅了≫スキルまで持っているこの僕を、この僕の誘いを……断るだなんて!」


おいおい、自分でそんなことまで言うなよと心の中で突っ込みつつも。


そうか。

リリーは≪状態異常耐性≫スキル持ちだから、ジェシーの≪魅了≫が効かないのか。

なるほどな。

 

「おい、そこの歩く猥褻物」と、リリーがボロンと一物を露わにしている野郎に辛辣に問いかける。


スキル交換できないと知るや否や、リリーは八つ当たりモードに入ったようである。

今日もリリーはSっ気が隠しきれていません。


「なんだい子猫ちゃん」


変態ナルシストがそれに答える。

反応したところを見れば、どうやらこいつは、自分が歩く猥褻物である自覚があるらしい。


「なんだアンタやっぱり自分が変態なの自覚があるんじゃない」


「失敬な! 僕は変態なんかじゃない、ただ見せたがりなだけさ!」


「どう違うんだよ!」


とんだ迷言である。

コイツ随分とエッジの効いたとんちを言ってくれるぜ。

 

変態と見せたがりの違いが俺には分からんのだがー!

誰かー、異世界の一休さんを呼んでくれー。


こんなスケベとんち、一休さん以外に誰が理解できるっていうんだ。

仮に一休さんであったとしても泡吹いて卒倒するかもしれないレベルだぞ、こんなの。


「てか、アンタ自分のソレに随分と自信があるみたいだけど」


リリーがそう言ってから、奴の一物を一瞥すると「ふん、アンタのその自信の量には見合わない大きさね。主に体積的な意味で。しししっ」とのご意見。


男であれば誰もがトラウマになってしまいそうなことを平気で嘲笑いながら言ってしまえるリリー。


やだ、この人超怖い……。


「んな!? この僕のコレにそんな侮辱的なことを言ってくるだと!! クソッ、なんだかもう萎えてしまったよー!」


シュンと小さく縮こまるようにその場で項垂れ始めた彼と、その彼の彼の皮。


えぇ……、なにこの状況。

色んな意味で見るに耐えないんだけど……。


「なあなあ、リリー。自信を喪失させてあそこでしょげちゃってるアレどうする?」


「別に、どうするもなにも無いわよ。あんなアソコも気も小さいような男放っておきましょうよ」


「とは言ってもなぁ」


「気になるんならヒビトがどうにかしてやんなさいよ」


「えぇー……」


はぁ、しゃあないな。

ちょっと構ってきてやるか。

ああいうタイプの奴は、ちょっと声かけられただけでアホみたいにすぐ元気を取り戻すからな。


俺は奴のほうへと近づき声をかけてみた。


「あのさ、そんなに落ち込むことないって。リリーはああ言ってるけどさ、アンタのそのモノは俺なんかと比べたら遥かに大きいみたいだしよ。だからほら、そんなとこで座り込んでないで立って前向けよ」


ふん。

我ながら中々いいこと言えたじゃねえか。


とは言え、俺のと比べてお前のは大きいから自信持てよなんて自分で言いたくは無かったよ……。


「ああ、そうだね。ありがとう、君のおかげでなんだか元気が出てきたよ」


彼はそう言ってすくっとその場から立ち上がると同時、なんと彼のアソコもムクッと勃ちあがっていらしゃっていた。


ナニ? 

何なのコイツ?

どういう神経してたらこういうことができるわけ?


「急ぎ急用が出来たからちょっと一人にしてくれないかな?」


ハアハアと興奮したような声で言った。


これからナニをするのか想像に難くない。


「うるせぇー! お前なんか一生一人でシテろよてめえーこら!」


「ありがとう。君が慰めてくれたおかげで自信を取り戻せたよ。このご恩は一生忘れないからね」


いや、俺が慰めたというか、お前がこれから勝手にひとりで慰めにイクんだろ……。自分でいっててなんか気持ち悪くなってくるな。オェー。


つか、お前の言う一生のご恩、なんか軽くないですか?


「ああ、そうかよ。だがな、今度からはてめえのことはてめえで慰めろな」


「ははっ、それはアレかな? 右手の上下運動のことを言っているのかな?」


「殴っていいですか?」


「はははっ、冗談だよ。やっぱりなんと言っても一人でスルよりも、誰かと絡んだほうが断然気持ちがいいからね」


「お前、自分が気持ち悪いこと言ってる自覚とかってありますですかコノヤロー!」


「あ、そうそう。君との夜を過ごすこと、僕はまだあきらめたつもりはないからね」


「そろそろ本気で殴っていいしょうか? いやもうなんなら殴らせろよ、おいこら!」


「ノンノン。暴力はいけないよ。お互い、もっと平和的にいこうじゃないか」


「変態露出狂にだけは平和をとかれたくねえわ!」


そんなやり取りを繰り広げている矢先、サキュバスのアリシアが「あなたも私たちに加わりませんこと?」とジェシーに言い放つ。


さっきから変態露出狂にばかり目がいってしまっていて忘れていたが、魔王とゴリーのSMコラボは続いていたのだった……。


ジェシーは、この見るも悍ましいSMに興味があるほうなのか……。

果たしてどっちなのやら……。

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