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華麗なるふたりの『転生』は『婚約破棄』の後に  作者: 瑞月風花


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12/12

のばら×メルティローゼ、夢の中にあること

 あ、あの子。


 のばらは思う。


 あ、あの方。


 メルティローゼも思う。


 宇宙の中に漂うようにして。だけど、地球上にある星空の中にあるようにして。


「初めましてでよろしくて?」

「えぇ、初めましてでいいんじゃないかしら?」


 もうどちらがどちらとも言えないくらい。彼女たちは別の顔を持ちながら、同じ感覚になっている。


「そうね……尋ねたいことはあるようでないわ」

「そうね……今から戻れるとも思えないわ」


 ふたりはすでに相手の人生に深く関わっているのだから。だけど、気になることはある。


「百合菜はどうしていますか?」

「リリーはどうしていますか?」


 ふたりはくすくす笑い合う。


「あの可愛らしい反抗期の後、進学先で友達に悩んでいましたけれど、解決策をお教えしましたわ」

「まさか、」

「報復活動はさせておりませんことよ。あれは、身の滅びにつながると実体験で知っておりますから」

「よかった」


「元気なのね」

「とっても。きっと人懐っこさはあなたに似たのね。怠け癖さえ出てこなければ、王妃にだってなれる人材だと思っているわ」


 のばらがゆっくり笑う。


「リリーは、私をずっと支えてくれたのよ。記憶が曖昧であの世界に馴染めないこともあったけれど、とても頼りになる人だった」

「まさか……」

「まだ元気に現役」

「よかった」


 ローゼもゆっくり笑う。


「今、彼女には支店を任せているの。私、夢を叶えて自分の店を持ったのよ」

「奇遇ね。私も私だけを愛してくれる方と共に生きる。そんな夢を叶えたわ」


「まぁ、『私』なのか『あなた』なのかは分からないけれど」

 ふたりの言葉が重なると、寂しい笑顔も合わさった。


「そろそろ戻る時間ね」

「そうね、わがままを叶えた世界に」


 またいつか、どこかで、ふたりが重なる、そんな時まで。


「またお会いできるかしらね」

「その時は、あの世になるのかしら」


 朝が来る。

 すべての夢を飲み込んで。

 光のカーテンを掛けてしまう。


 また気まぐれに、神さまの風がそのカーテンを翻さない限り、世界は繋がったりはしない。


「さようなら、過去の私」


 彼女は、今ある現実に向かい歩きはじめる。扉の向こうには、


「おはよう、リリー。今日もいい一日のはじまりね」


 今を輝くための太陽が待っているのだ。


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― 新着の感想 ―
最初はのばらだけの異世界転生かと思ったのですが、入れ替わっていたんですね。 元の世界の常識と違うことでのばらもメルティローゼもいろいろずれていたのでしょうけど、みんなが受け入れてくれたのも本人がこちら…
おまけも楽しく読ませていただきました! 特に家電のエピソードが好きです(*`艸´) のばらとメルティローゼ。真逆なようでよく似ていて。実は二人で一つの魂なのかも? なんて考えてしまいました。 婚約破…
ラストまで読ませていただきました。完結、おめでとうございます! 「おまけ」で加わる陸や百合菜の視点がまたそれぞれに印象深いです。家電に従者のように話しかけるのばらとそれを温かく見守る陸、母親との距離…
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