突然のLINE
ひよりは俺の幼馴染だ。
ガキの頃から一緒に遊んできた兄妹みたいな仲だ。
お互い大学を卒業して数年、「久々に飲みでもどうか」と誘われた。
特に断る理由もないし、近況も聞きたくて会うことにした。
ちなみに全く緊張していない7.
俺の間ではガキの頃から全く変わってないと見た!
ま、俺も変わってないけどな、ふふふ・・・。
さて、待ち合わせの時間だ。
ひより、ひより・・・と。
「あ・・・」
ひよりだ。
うん、変わってない。すぐ分かったぞ。(そのランドセルまだ愛用してんのか・・・)
俺は彼女に近づいた。
「よぉ、久しぶりだな。俺って分かった?」
どうやらお互い様だったらしく
「うんっ!ちぃちゃん全然変わってないもん」
・・・だってよ。
ちなみに俺の名前に『ちぃ』など一文字も入ってない。
こいつによるとどうやら俺は『チー牛』属性に入っているらしい・・・。
なんて名誉な称号なんだろう。
「そうかよwそんじゃまぁ、飲むことにするか」
「うんっ」
俺とひよりは適当なチェーン店の居酒屋に入った。
「生ふたつ」
安定の生中ジョッキだ。
「久しぶりの再会に乾杯~!」
こどもの頃からずっと一緒だったとは言え、俺は大学卒業後のひよりの事は知らない。
「元気だったか?」
「うんっ、ちぃちゃんは?病気ではないよね(笑)」
「元気だよ、毎日会社に行けるくらいには」
「えらいねっ」
「そうか?家と会社の往復、帰ったら適当に飯食ってゲームしたりスマホ弄ったりして終了、毎日これの繰り返しだぞ」
「いいじゃん!それ」
「そ、そうか?」
「うんっ、だってぼ・・・わたしなんか結局まともに就活しなかったし」
「僕でも俺でもワシでもいいよ、気取るなw」
「ぼ、僕ちぃちゃんみたいに安定して働いてないから」
「そうか」
ひよりはやりたい事を見つけるべく、就職はしなかった。
いま何をしているのか、やりたい事は見つかったのか・・・
それも気になっていた。
「最近どうなんだ?あれからやりたい事には近づけた感じ?」
「ぼちぼちかなぁ・・・」
「ふ~ん・・・」
「なかなか難しいけど、後悔はしてないよ」
「おお~、ならいいじゃん。頑張ってるんだな」
本人が言うのであれば安心だ。
と言うか、俺がそこまで心配する立場じゃない。
今日の今日まで俺だって仕事や同僚との付き合い、その中での自分時間の確保、色んな事に精一杯だった。
-就職したら安定-
この概念に疑問を持つ事もある。
それから昔の懐かしい話、もっぱら子供時代のゲームやアニメ等他愛のない話に盛り上がった。
気が付けばもう二時間経過している。
お互い気持ちよく飲めたし、そろそろお開きにするか。