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第7話 二里我くんが好きなのは…?

■学校の廊下


王子「コウ! いい天気だから屋上で昼ご飯食べよう」


コウ「お前とは絶交したって言っただろ! 騎士先生と食べろよ!」


  ──ダッ

  と走っていなくなるコウ


王子「あっ、コウ……!」


王子(引き留める間もなく走って行ってしまった)


姫「こんにちは、BL王子」


王子「あ、藤吉さん」


姫「今、責田くんがものすごい速さで駆け抜けて行きましたけど……。何かあったんですか?」


王子「この前の絶交設定がまだ活きてるみたいで、俺とは昼ご飯食べたくないんだって」


姫「ああ! BL王子が自宅の部屋で騎士先生とイチャついてるのを、本妻の責田くんが目撃して実家に帰ってしまった件ですね!」


王子「前々回のあらすじを説明する振りをして、嘘を言わないでくれるかな?」


姫「あっ、そうですね。責田くんは攻めだから、妻はBL王子の方でした!」


王子(いちいちつっこむ事が無駄に思えてきた……)


王子「そうだ、藤吉さん。お昼一緒に食べない?」


姫「いいんですか? BL王子が一人になったのを絶好のチャンスとばかりに、お昼に誘おうとしている男子がいるかもしれないのに……」


王子「そ、そんな人いるわけないよ。もしかして俺と食べるの、嫌だったりする?」


姫「ふふっ、嫌なわけ無いですよ。さあ、行きましょう?」


王子「あっ……うん!」


  ──そんな二人の様子を、少し離れた場所から見ていた番長


番長(……チッ! 王子が一人になったから、昼メシに誘おうと思ってたのに!)


二里我「…………」


番長「うわっ、なんだテメー! そこで何してんだ?!」


二里我「何をしている、と言われても……。好きな子を見てたらダメなのか?」


番長「好きな子……?」


番長(こいつも王子が好きなのか?!)


番長「テメーッッ! あいつは俺のだぞ!!」


二里我「俺の……? あの子と付き合ってるのか?」


番長「そ、それはまだだけど。でも近い内に必ず、あいつを俺の物に……」


二里我「知ってるか? 恋人でもないのに自分の物のように言うのは、ストーカーって言うんだぞ」


  ──ガーン

  と青ざめる番長


番長「番長の上に、ストーカーのレッテルまで張られた!」


二里我「一丁前に傷つくなよ」


番長「クソッ! あいつの彼氏になれば、ストーカー呼ばわりされなくなるんだろ?! ……見てろよっっ!!」


  ──ダダダッ

  と走り去る番長


二里我「あっ! 何をする気だ!!」


■学校の屋上


  ──晴れた空の下、ベンチに座っている王子と姫。姫はお弁当を広げ、王子はパンを食べている


姫「今日は本当にいいお天気ですね」


王子「そうだね。天気のいい日に外でご飯を食べると、いつもより美味しく感じるよ」


姫「ふふっ、そうですね」


王子(こうして改めて見ると、やっぱり藤吉さんって可愛いよなあ)


姫「どうかしました?」


王子「あっ……い、いやっ! そのお弁当おいしそうだなって、思ったんだ。お母さんに作ってもらったの?」


姫「いいえ、自分で作ってます。弟の分も作ってるんですよ」


王子「すごいなあ! 料理、上手なんだね」


姫「そんなことないですよ」


王子(藤吉さんって可愛い上に、料理もできるなんて完璧だよなあ)


王子(俺が男に迫られてるのを見て、喜んでるところが玉に(きず)だけど……)


  ──突如大声をあげて現れる番長


番長「おいっ! 王子!!」


王子「うわっ、暮男! ビックリさせるなよ」


姫「あ、この学校の番長さん」


番長「うるせえ! 俺の名字は番長だけど、番長じゃないって言ってんだろ!!」


王子「相変わらずややこしいな。……で、何の用?」


番長「四の五の言わずに俺の彼女になれ!」


王子「……はい?」


姫「白昼堂々、告白?! 大胆ですね!」


王子「ね、念のため聞くけど、藤吉さんに告白してるんじゃないんだよな?」


番長「お前だよ! 王子に彼女になれって言ってんだよ!!」


王子「いや無理だし」


番長「なんでだよ! 俺の何が不満なんだよ!」


王子「俺は男だから、彼女になるのはどう考えても無理じゃないか?」


番長「だったら彼氏になればいいだろ」


王子「えぇ~……。そんな無茶な……」


姫「責田くんや生徒会長さん、それにうちの弟や人気モデルからも申し込まれてますからねえ?」


王子「いやそういう事じゃなくて」


番長「細かいこたぁ、どうだっていいんだよ! いいから早くOKしろよ!」


王子「何をそんなに焦ってるんだよ?」


番長「お前が俺のモノにならないと、俺がストーカーになっちまうんだよ……」


王子「はい?」


姫「いいじゃないですか。美少年同士のストーカーなら、私は大歓迎ですよ?」


番長「うるせえ! お前の意見は聞いてねえ!」


王子「暮男……。昔はこんなわけわかんないこと言う奴じゃなかったのに……」


番長「わけわかんないってどういう意味だよ!」


王子「俺はお前のこと、ストーカーなんて思ったことはないよ。誰がそんなこと言ったんだ?」


番長「それは……」


二里我「僕だよ」


姫「あっ、同じクラスの二里我 嵩己(ふたりが すうき)くん」


王子「次から次と人が来るなぁ」


番長「テメエ……。俺の王子に目ぇつけてんじゃねえぞ!」


王子「俺はいつからお前のモノになったんだ……」


二里我「何かとんでもない勘違いをしているみたいだけど、僕が好きなのは……」


  ──二里我が姫の方へ向き直る


二里我「そこにいる女の子、藤吉 姫さんだよ」


  ──キョトン

  として言葉を失う姫


姫「…………」


王子(そういえばこの人、前に校舎裏で藤吉さんに告白してた人じゃないか?)


番長「嘘つけ! さっきは王子のことを、頭からつま先まで舐めるように見てただろ!」


二里我「それはお前だろ」


番長「おっ、おっ、俺は王子をそんな目で見たりしてねえっっ!!」


姫「そう言いながら、顔が真っ赤ですよ?」


番長「テメーはさっきからうるせえんだよ!」


王子「あの……。二里我くん、だっけ?」


二里我「なに?」


王子「何がなんだかわかんないんだけど、状況を説明してもらえるかな?」


二里我「僕が藤吉さんを目で追っていただけで、番長に因縁をつけらたんだ」


王子「他人様に迷惑かけるのやめろよ暮男……」


番長「ち、違う! 俺はてっきりそいつが、王子を好きなのかと思って……」


王子「そりゃまたすごい勘違いだな」


番長「それで……。そ、その……」


王子「なんだよ? 早く続きを言えよ」


番長「あいつは俺のだぞ! って言ってやったんだ」


王子「だから、俺はいつからお前のモノに……」


番長「そうしたらそいつが、『恋人じゃないのに自分の物のように言うのは、ストーカーだ』って言うから!」


姫「それで告白したんですか?」


番長「そうだよ。恋人になればストーカーじゃなくなるだろ?」


王子「な、なんていうくだらない理由……」


番長「くだらなくなんかねえ!」


姫「そうです! くだらなくなんかありません! 番長さんは正しいですよ!」


王子「いや、あの、ちょっと待って。その理屈でいくと、二里我くんもストーカーってことにならない?」


番長「そういえばそうだな。おいテメー、俺に謝れ!」


二里我「僕はストーカーじゃないよ」


番長「なんでだよ!」


二里我「だって僕は純粋に藤吉さんが好きなだけで、自分の物にしようとなんて思ってないし」


姫「おかしい……」


王子「えっ、何が?」


姫「だって一度お断りしたのに、二里我くんはまだ私を好きなんですよ?」


二里我「う゛っ」


王子「ふ、藤吉さん……。何気にキツイね」


二里我「ずっと好きだったんだから、そんなにすぐ気持ちは変わらないよ……」


王子「二里我くんは、藤吉さんの本性を知らないからね……」


二里我「は?」


王子「なんでもない」


姫「私がおかしいと言ってるのは、二里我くんがBL王子を好きにならないことです!!」


王子(またおかしなこと言い出したぞこの子)


二里我「ふ、藤吉さん。キミは何を言ってるんだ?」


姫「だって今まで、BL王子を見て好きにならなかった男性なんていないじゃないですか!」


王子「いやいやいや、一杯いるから! 好きになる方がおかしいから!」


番長「俺はおかしくねえ!」


王子「暮男は後で相手してやるから、黙っててくれよ」


番長「本当か? 黙ってたら一緒に帰ってくれるのか?」


王子「あー、うんうん。わかったよ一緒に帰るから」


番長「約束破ったらぶっ飛ばすからな!」


姫「BL王子……? 責田くんがいない隙に浮気ですか?!」


王子「藤吉さんはこっちに気をとられてないで、話を続けてよ」


二里我「……ねえ、今の本当?」


姫「今のって何がですか?」


二里我「だから、その人が出会った男にすぐ惚れられるって話。藤吉さんの誤解じゃないの?」


姫「本当ですよ! この美家 王子くんことBL王子は、私なんかより数億倍男の子にモテモテなんですから!」


番長「お前、それ自分で言ってて空しくならないのかよ」


姫「なりません!」


番長(ハッ!! なんだこの女の目は……。迷いの無い純粋な瞳だッッ!)


二里我「美家……だったよな。キミ、男にモテるんだ?」


王子「う、うん。認めたくはないけどね」


二里我「へえ……」


  ──じーっ

  と王子を見つめる二里我


王子(まさかこの流れは!!)


王子「俺を好きになるのはやめてくれっっ!」


二里我「……はあ~? キミ、頭大丈夫??」


王子「えっ……。だって、俺を好きになったから見つめてたんじゃ……」


二里我「やめてくれよ。『こんなのどこがいいんだ?』と思って見てたんだよ」


番長「俺の王子に向かって『こんなの』とは何だコラッ!!」


王子「暮男、ステイ!」


番長「俺は犬じゃねえ!」


王子「おとなしくしてないと一緒に帰んないぞ?」


番長「うっ……」


姫「ワンコ攻め可愛いですね」


番長「だからお前は黙ってろ! 妙なカテゴライズするんじゃねえ!」


二里我「藤吉さん、一つだけ聞いてもいい?」


姫「なんですか?」


二里我「キミたち付き合ってるの?」


姫「えっ……。付き合ってませんよ? 私とBL王子は友達です」


王子「ははは……」


二里我「へえー、そうなんだ! 良かった!」


王子(二里我くんは藤吉さんをあきらめきれないんだな……。なんか複雑な気持ちだ)


二里我「それじゃあ教室に戻るよ。またね!」


姫「はい、また教室で~」


王子「はあ……。やっとお昼を食べられる……」


二里我「美家もまたな!」


王子「えっ? あ……う、うん」


■帰り道(夕方)


王子(コウのやつ、まだ怒ってたぞ。今日は一人で帰るか……)


番長「王子! テメー、よくも黙って帰りやがったな?!」


王子「あ、暮男。なんか約束してたっけ?」


番長「おとなしくしてたら、一緒に帰ってくれるって言っただろ!!」


王子「あ、ゴメン……。忘れてた」


番長「お前ってやつは、どうしていっつも俺をどうでもいい奴みたいに扱うんだよ?」


王子「何言ってんだよ。どうでもいいなんて思ってないよ」


番長「だって他の奴とはキスしたのに、俺とはした事ないだろ!」


王子「だからそれは、不意打ちでキスされたって説明しただろ」


番長「俺にはそんな隙、見せねえくせに!」


王子「あーもう、うるさいなあ。わかったよ」


番長「えっ……?」


  ──ギュッ

  と王子が番長を抱きしめる


  ──ドキン

  と顔を赤くする番長


番長「な、なんだよ? 急に……」


王子「よしよし、落ち着け」


  ──ポンポン

  と番長の背中を優しく叩く王子


番長「どうして背中を叩くんだ?」


王子「いや……。こうされたら結構安心するもんだなって、この前思ったから」


番長「この前思った……? 王子、お前……誰かに抱きしめられたのか?」


  ──ギクッ

  と汗をかく王子


王子「あ、えーと……。漫画にそういう話があったんだよ!」


番長「なんだ、そういうことか」


王子(装一さんのこと話したら、また暮男が騒ぐから黙っとこ)


番長「なあ……。こうして抱き合ってるんだから、この先もいいんだよな?」


王子「ス、ストーップ!! 顔を近づけてくるな!」


番長「なんでだよ! キスくらい、いいだろ!」


王子「それをしたくないから背中を撫でたんだろ。はい、もうおしまいっ」


番長「チクショー……。じゃあ、せめて手つないで帰ろうぜ」


王子「手をつなぐ……?」


番長「昔はよくつないだだろ?」


王子「それは幼稚園の話じゃ……」


番長「小学校に行ってもつないでた! 忘れんなよ!」


王子「はいはい、わかったよ。ワガママなところは全然変わってないな」


  ──ぎゅっ

  と番長の手を握る王子


王子「……これでいいんだろ?」


番長「あ、ああ。今日のところは、手をつなぐだけで許してやる」


王子「今日のところは、って。はあ……」


王子(暮男と手つないで帰ってるところ、誰かに見られないといいんだけど……)


  ──電柱の陰から二人を見ている二里我


二里我(美家と番長が、手をつないで帰ってる……。あの二人はどういう関係なんだ?)


二里我(くそっ! 僕が好きなのは藤吉さんなのに、どうして美家のことがこんなに気になるんだよ!!)


  ──つづく

【イラスト付きのものが下記のサイトで読めます】

★kakuzoo

https://storie.jp/creator/story/10397

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