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核龍


無事に血湧きの赤子を手に入れたシナモンとダニエルはレッドスカートの基地へと帰還した。




「おい、ほんとに良かったのか?」

「何が?」

「政府軍にもどらなくていいのか?」

ダニエルは揺れるスクールバスで煙草をふかした。

「いいさ、どっちみち部下を全員死なせちまったんだ。

戻ったところで晒し首だよ」

「それじゃあお前はレッドスカートに入隊するって事か?」

「そうだけど?」

シナモンはダニエルの答えを聞き、押し黙った。

「シナモン?」

「お前、出身は?何族だ?」

唐突な質問にダニエルは戸惑ったがすぐ答えた。

「「コールハート地方」のB地区から来た人間だ」

説明しよう

この星には数個の国が一つの地方としての

固まりが七つある。

「コールハート地方」B地区、ゲルスト、ブロ

のブルースカートからの支配が色濃い国が

固まっている。

「血地」聖母や神に近い生き物が生息している

危険区域で主にレッドスカートがブルースカートから奪い取った土地である。

「アナスタリアの墓」各地にある大墓場の中で一番大きな墓場でここには神が埋まっているという噂がある。

「死地」ブルースカートが支配した国々の中でも平和な部類の国が集まり、一般集落を作っているが作物や家畜がすぐ死にいつでも飢餓

な国がほとんどである。

「脱輪」星の周りを一周している円。

何かはわかっていない。

「ブルースカート」 

教祖がいる所で死地のど真ん中にある 

「カボチャ帝国」半径五十キロの土地をすべて

兵器工場と鉄の壁で固まった完全要塞

                  以上

シナモンが首を横に振る。

「人間はあそこじゃ生きていけない」

ダニエルがキョトンとする。

「何言ってんだ?レッドスカート

の兵士はほとんど人間じゃないか?」

「俺はレッドスカート総長ニッキと兄弟みたいなものだ。だから人間がどんな扱いをされてるのかなんて知りきっている」

「総長はどんな奴なんだ?」

シナモンが少し間を空けて話し始めた。





五年前俺達は教祖ブルースカートに犯された女の腹から取り出された。

俺は血を継いで「臓器」だったが、ニッキは、

人間だった。

それから俺はずっと得体の知れない液体の中に入れられ、ニッキは犬畜生以下の扱いを受けた。

ニッキは牢屋に入れられ、毎日残飯を投げつけられ、拷問で遊び道具にされたり、変態から数人で犯されたり、忌子として過ごして

俺はそれが耐えられなかった。

ある日ニッキはいつものようにオモチャにされ縛りつけられていた時。

突然ニッキは自分の腕を引きちぎって縄から逃げたんだ。

その時に俺はニッキに助けられて、コールハートに二人で逃げきたってわけだ。

ニッキも毎日俺を見て、助けてやりたいと

思っていたそうだ。

そして俺はニッキに血を分けて兄弟となった。

だが、それからはうまく行かなかった。

二人でブルースカートを潰すという目的は、合致したが、やり方で揉めたんだ。

俺は選りすぐり仲間を集めて一つ一つ国を、

手に入れよう言ったがニッキは人間を集めて

大勢の捨て駒で押し切るという暴挙を出したんだ。

ニッキは人間に生まれたせいで沢山の酷く目にあってきた、だから逆に人間を滅ぼすという思考に陥っていた。

そして俺達は別々の道に行ったんだ。




シナモンが長々と話し終えた。

するとダニエルが不思議がる。

「でも人間を滅ぼすなら、今のレッドスカートがやってる事は反対だろ」

シナモンが頷く

「アイツの計画は、ブルースカートと人間を

戦わせて人間の数を減らし、ブルースカートが滅んだ後に自ら人間を抹殺するんだ」

ダニエルは何も言えないようだ。

「でも、俺行く当てないぞ。血地で生き残るには、完成された集いに混ざる事が必須なんだよ!」

シナモンが何か思いついたようにダニエルへ顔を向ける。

「じゃあ俺の組織に入るか?」

「…そういえば言ってたな、ホワイトスカートだっけ?入るも何もわからない。

入ったら何をするんだ?」

「最終目的はブルースカート壊滅と自由を取り返す事だ。

今は訳あってレッドスカートの戦争に参戦

しているから、今入ったら戦闘員として雇う」

ダニエルは考え込んだのち腹を決めた。

「どうせ行く当てないし、俺を入れてくれ。

人間だが、やれる事はあるはずだ」

シナモンは頷いた。

シナモンがダニエルを入れたのは、戦力拡大ではなく、ジャックへの贖罪が大部分を占めていた。


錆びたスクールバスはレッドスカート基地へ

到着した。

着くと同時に死体を引いた赤馬と箒がバスの横へ並んだ。

シナモンがバスから降りて赤馬の元へ向かう。

「ブルース!無事でよかった!

カルツはどうした?」

ブルースが南を指差す。

指の方向には死体のマリアに乗ったカルツが

手を振っていた。

「あれも聖母か!?物凄いの手に入れたな!」

「あぁ大収穫さ、それにコイツもな」

ブルースが聖母の赤子を懐から出した。

「なんだそいつ?」

「コイツはおそらく聖母とは別の何かだ。

シナモンと同じ様な力をもっているぞ」

ブルースがバスから出てきたダニエルに焦点をずらす。

「ん、ジャックか?」

急いでブルースの口を塞ぎ、小声で伝える。

「あいつはジャックの兄貴だ、それとジャックが死んだ事を知らないから、あくまで何も知らない振りしててくれ」

ブルースは理解し黙って頷いた。

「何話してんだ?」

ダニエルが気づかない内にかなり近いに接近していた。

「い、いいや、なんでもない」

「それならいい、ええと…そっちのサンタ、

俺は新しくホワイトスカートに入ったダニエルだ!これから世話になる」

「俺はブルースって名前があるんだよ!」


四人はパンプの武器工場へ戻った。

鉄の扉を空けて鉄粉とツンとくるオイルの匂いが顔の辺りに漂う。

「パンプー戻ったぞー」

声に反応して、トコトコと小さな足音が

向かってくる。

「おぉ無事でしたか!いきなりですが作業に

取り掛かります!最初にシナモンさん来てください」

「ちょっと待て、これ外せ」

シナモンが自分の足を指差す

「あぁそうでしたね、どれくらい再生能力は

上がりましたか?」

「頭一つからでも生きかえれる様になったぜ

だろ、ダニエル?」

ダニエルは引き気味にそうだなっと返した。

そして言われた通りにパンプについていき、前に設計図を渡された部屋へ案内された。

「それでは血湧きのヌシを出してください」

「わかったナイフ貸してくれ」

シナモンは腹に隠した赤子を取り出した。

「うわぁ、腸がぐちゃぐちゃになってるじゃないか!」

赤子を無理に体に入れたせいで臓器の位置がめちゃくちゃになっていた。

そんな事も無視してパンプはシナモンを、

何やら普通ではない、沢山の管が巡っている椅子に座らせた。

「今回作るのは、血湧きのヌシから無理矢理

血を抜き、それを直接シナモンさんの血管と

神経に注ぐ装備なので、まずは管をつなげるので、背中出して下さい」

言われた通りにシナモンは背中を差し出した。

するとパンプは肉眼で見える大きさの血管を

一つ一つ丁寧に管に繋いでいった。

背中全面と脇腹、手首から肘を繋いで肩まで

管が繋がれた。

シナモンは痛みには慣れていたがこれはさすがにこたえた。

「お、終わったか…」

「まだ一番大事な作業が残ってますよ」

パンプは溶接の機械を取り出した。

「血湧きのヌシを入れるポンプを背中に溶接します」

パンプはそれだけ言って、心の準備ができていないシナモンの背中に高熱の液体化した鉄を流した。

シナモンは痛みのあまり暴れたが椅子固定されて全く動けなかった。

「動かないでください!一度肉塊になったん

だから、これくらいで暴れないでください」

非情な怒声とシナモンの叫び声が散らかり、

部屋の中はカオスな状況だった。


三十分後、ようやくシナモンにポンプが取り付けれた。

「…」シナモンは叫びすぎて喉がやられてしまったが終わった事に安堵しているようだ。

「最後の仕上げです」

まだ何かあるの!?っとシナモンは抵抗の姿勢を見せたがあまりにそれは頼りのない姿だった。

「身構えないでくださいよ、メインの物体を

いれるだけですから」

するとパンプは背中のポンプを空けて中に、

赤子を無理矢理敷き詰めた。

「コイツは少し圧迫すると、血液を放出します。なので、この狭いポンプの中では、永遠に血を出し続けるわけです」

パンプの説明通り、透明な管に赤が侵食してシナモンの体に直接入った。

「これで再生も安心ですね」

パンプは痛々しい姿のシナモンをうつ伏せで

ベッドに寝かせて、次の準備に移った。



次はブルースの番だ。

パンプは集めてもらった死体達の皮を剥ぎ、皮膚から臓器にかけて全てを丁寧に分けた。

「この皮膚から魔法覚醒剤を作ります」

「え!?覚醒剤?大丈夫なのか?」

ブルースは覚醒剤という言葉に詰まった。

「脳障害などは起こりませんから安心してください。ですが、体に無理をさせる訳ですから、一日一本が限度ですねー」

そう言って、肉体からでた液体を注射器に入れた。

「これだけ死体があるので、五年分はあるでしょう、とりあえずこんだけ持ってって下さい」

パンプは七回分の注射器を渡した。

「サンキュー…んじゃ、帰るわ」

ブルースはそそくさと部屋から出ていった。



次の日

シナモンはようやく動けるようになり、ベッドから起き上がった。

ずっと仰向けになれなかったので、かなり体がガチガチなっていた。

外からサイレンの音がする。

「ホワイトスカート、至急総長室へ来い。

繰り返す、至急総長室へ来い」

耳をつんざく機械音がシナモン達に命令した。

シナモンは、ブルースを起こしに行こうとすると、すでに自分以外のメンバーは起きて向かっているようだった。

シナモンは急いで、服を着て向かおうとしたが背中のポンプが上着に引っ掛かり、破けてしまった。

「仕方ない、上裸で行くか…」

急いで城のようなニッキの基地へ入っていった。(上裸なので途中で門番や兵士に変態と間違われて結構遅れてしまった)

総長室を蹴破る勢いでシナモンは突っ込んだ!

部屋には、ブルース、カルツ、ダニエル、パンプ、そして身の丈に合わない椅子に座ったニッキが顔を歪めていた。

「遅っ…お前、なんだその体!」

ニッキはシナモンに怒鳴るつもりが別の事に

目がいってしまった。

「色々あったんだよ、それより要件はなんだ!朝っぱらから呼び出しやがって」

「お前が遅れたから、もう昼前だけどな」

カルツが苦笑する。

ニッキが自分に注目するように手を叩いた。

「ホワイトスカートの諸君!我々のスパイが

カボチャ帝国の秘密の情報を手に入れた!」

ニッキが小汚いホワイトボードに何か書き始める。

「核龍」と大きく書かれた。

「核龍、カボチャ帝国の秘密兵器だ。

一発でこの基地を潰せる核ミサイルだ」

レッドスカートの基地はB地区四つ分の大きさだ、それに鉄壁の壁だってある。

それを一発で藻屑に変える核龍は脅威以外の何者でもない

「これを何とかしたいが、レッドスカートには

対抗するすべがない…だから知恵と力をかしてくれ!」

なんとも雑な総長だなっと思いつつ、ホワイトスカートは策を考えだした。

「そのミサイルは帝国から来るんだよな?

基地まで届くのか?」

カルツが質問する。

「核龍は一本しかない、届かない距離から撃つわけがない」

正論で返されてしまった。

「こっちもミサイルかなんか飛ばして相殺できないのか?」

「できる事ならやりたいがタイミングがわからない上にこっちのミサイルは五百メートルしか飛ばない。爆発で血地とレッドスカートにも被弾してしまう。核で放射線が出るから被爆してしまうと危険だし」

これもダメだった

するとブルースが何か思いついたのか、胸元を漁り始めた。

「コイツはどうだ」

手にはマリア戦で世話になった再生の赤子だった。

「なんだ?その赤ん坊に何ができる?」

ニッキは不審そうに尋ねる。

「見とけよー」

ブルースは赤ん坊にそこらへん落ちていたガラス片を刺した

「何やってんだ!」

シナモンとニッキがハモって怒鳴る。

赤子はガラス片を取り込み、体の中から、

全く同じ形のガラス片をブルースの手のひらへ刺した。

「!?」カルツ以外の全員が驚いている。

「ガラス片じゃなくたって、なんでも、文字通りなんでも取り込んで跳ね返すんだ。

コイツに核龍を取り込ませられれば、かなりいいと思うんだが」

ニッキが渋い顔になる

「確かにその赤子がやれるなら頼りたいが、

ガラス片じゃまだ心配だ」

「じゃあ試してみるか」

シナモンが立ち上がる

「試すって?」

「お前のとこミサイルをぶつけるんだよ」

それは良いアイデアだ!っとすぐさま、行動に移した。




血地の真ん中に移動したニッキとホワイトスカートは、赤子を固定し基地からミサイルが

来るのを待った。

「大丈夫なのか?こんなに近くにいて」

不安そうなニッキにブルースは余裕そうに

肩を叩く。

「安心しろ、跳ね返すだけだから爆発はしないはず、多分」

「多分ってなんだよ!」

「おい、もうすぐ来るぞ」

基地の壁のどでかい発射装置から狼煙が上がる。

そして、被弾すれば確実に肉塊も残らなそうなミサイルが向かってきた

「来たぞ!構えろ!」

シナモンの掛け声で全員が身構える。

さすがにミサイルを真正面で待つのは皆んな肝が冷えるようだ。

縦五メートル横五十センチのミサイルが徐々に大きくなって向かってくる。

全員が固唾を飲み、赤子から少し離れる。

そして遂に赤ん坊に被弾した!

ぶつかった瞬間にゴムが伸びるように体が

伸びミサイルの形になった。

そしてそのまま体に取り込み始めた。

「凄い!爆発しなかった!」

赤ん坊はミサイルを跡形もなく食べ尽くし、

そして、口から赤色の取り込んだミサイルを

構えた。

「そうだ、跳ね返すじゃん!基地に撃つんじゃない!」

ニッキが赤ん坊を持ち上げで基地と逆方向に

向けた。

口から凄い勢いでミサイルが飛んでいき、間一髪で基地から逸れた。

「あ、危なかった…」

「でも、コイツが使える事は分かったな…ん?」

赤子の口から煙が出ている。

「お!爆発したぜ!」

ニッキの顔が歪んだ。

「なぁ、爆発したって事は火薬を生成したいいって事か?」

ブルースが何がおかしいんだ?と思いながら

そうだ、と返す。

「これって核龍を取り込ませたら、放射線も

精製するって事だろ?」

全員がハッとした。

放射線を自ら生成すればその近くにいる自分達も被爆してしまう、デーモンコアが作られてしまうのだ。

「コイツを固定するのには、最低でも一人は必要だ…だから一人は再起不能になるかもな」

シナモンが心配そうに告げる。

「兵士の一人に任せた方がいい」

ニッキが首を振る。

「ダメだ、裏切られたりすれば被爆どころでは

無くなる」

シナモンが前に出る。

「俺がやる」

「いくら再生できても被爆したら細胞自体が変化して一生苦しむことになるぞ、いいのか?」

「誰かがやらないといけない仕事だ、それに

核に耐えられるのは俺くらいだからな」

「…まぁ、被爆しない可能性だってあるからな

でも、今すぐ決めなくていい。

お前を殺すために戦争に参加させたわけじゃないからな」

思い出した様にシナモンはニッキに尋ねる。

「そういえば、パンプはどうした?」

自分達の周りに、パンプは見当たらない。

「やっぱりあのカボチャ裏切りやがった!」

ニッキが軍帽を地面に叩きつける。

「それはない、パンプはレッドスカートに全面協力していたし、今更帝国に戻れるわけがない」

シナモンがニッキへ言い返す。

「パンプを探そう、そんな遠くにはいないはずだ」

カルツが興奮した二人を宥め、二人共に冷静になった。

そしてニッキ以外は広大な荒野から一人のカボチャを探した。

二十数分が経ち、それぞれ諦めかけていたが

シナモンだけは真面目に探していた。

シナモンは一旦赤子の元へ戻り、探す場所を

移った。

そこにはニッキが倒れていた、そして赤子を

抱くパンプの姿があった



















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