オニ令嬢が、違法な勇者召喚の現場を、先輩とぶっ飛ばして、遠距離恋愛(仮)のストレスを発散したら(切りぬき201)
「パール様、闘技場内から漏れる光が輝きを増しました。まずいです、違法な勇者召喚が完了してしまいます」
…
私、銀髪のギンチヨは、帝国の女性監査員であり、先輩の女性監査員パール様と各国を回っているところです。
パール様は、紺色の髪、スタイル抜群、さらに大人の色気を持つ美人です。
でも、衣服の下は胸まで筋肉な、自称正体不明な令嬢様です。
今、闘技場の中で行なわれているのは、タレコミがあった「違法な勇者召喚」です。
隣国で良い雰囲気になれたクロと離れてしまうし、さらにはこのピンチと、今月はツキが無いです!
それでも、法令を順守しないヤツらはぶっ飛ばして、遠距離恋愛(仮)のストレスを発散させます。
…
パール様と私の二人で、闘技場外壁の影に潜みます。
騎士団が到着するまで、後1分かかります。
闘技場内での違法な勇者召喚は、タレコミよりも早く進んでいるようです。
「中は魔道士が8人でしょう? パール様と二人で倒せますよ?」
「ギン、監査員に逮捕の権限は無いのですよ? ただのケンカになってしまいます」
「でも、違法召喚が完了すると、罪もない勇者が犠牲になりますよね?」
あ、やっと、騎士団が来ました。
「騎士団の皆様、私たちが先に突撃します!」
答えを待たずに突撃します。
中では、魔法陣が輝き、中央部に人影が浮かび上がっています。これは手遅れかも。
中央部の人影がハッキリと、いや、これは鎧騎士です!
これは見たことあります!
鎧騎士が何かをバラマキました。
破裂! 辺り一面が花火で溢れ、大混乱となりました。
鎧騎士が空へと飛び上がります。
しかし、魔道士のファイヤーボールで、バランスを崩しました。
このままでは、墜落します。
「パール様、受け止めて下さい!」
さすが筋肉令嬢様、ガッチリと受け止めました。
「騎士団の皆様は、魔道士8人を逮捕して下さい!」
と言いつつ、私が「ふん!」とストレス発散、8人全員のヒザを付かせました。
さて、問題は、違法に召喚された鎧騎士です。
大人の色気を持つ筋肉令嬢様を前にして、訳が分からず、固まっている様子です。
ここは私の出番です。
「意外な再会ですね、クロ?」
「ギン姉さん!」
あー、やはりですか、この鎧は師匠の屋敷で見た魔道具、国宝級の鎧騎士です。
再会出来て、うれしいのですが、、、
違法な勇者召喚なのに、隣国にいるはずの舎弟クロが出てきました。
◇
クロの母親へ連絡を入れたら、なんと、、、
「せっかくなので、監査員の職場体験をさせて頂戴」
と、お願いされました。
クロと一緒にいられるのは内心うれしいので、帝国にいる上司にお願いしたところ、、、
「あいつの頼みは断れないので、監査員見習いとして受け入れなさい」
と指示を得ました。
あれ? 上司はクロの母親様に弱みでも握られているのでしょうか?
ここの国王とはパール様が交渉し「違法召喚された鎧騎士は監査の証拠品として帝国まで同行させる」ことの了承を得ました。
もちろん、中身がクロであることは内緒にしています。
「これは、ラッキーです! 遠距離恋愛(仮)の、(仮)をとってみせます!」
こぶしを握りしめ、クロと再会できたことを喜んで、口に出してしまいました。
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