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理解者

対話を試みる黙さない死者と恐怖によって黙している生きた女性の前に現れたのは、腕の長さとさほど変わらない程度の長さの長剣を左手に、全身を6割ほど隠せる大きな一枚板の盾を右手の持った胸郭部分と脛、前腕部分に革の鎧をまとう初々しい顔つきの若者が2人だった。


その少し後に、月光を反射し煌めく滑らかな生地の一枚布をこんがらがったトイレットぺーパーのように首から腰上まで緩く巻き付け、腰元から下方にはくるぶし辺りまでを覆うほどの緩やかなジョガーパンツスタイルで、鼻や口元を大きな布を後頭部で結び付けるようにして隠しているのとは裏腹に、その細く陶器のような滑らかな白色の腕やおへそ周り、素足をさらけ出し、とぐろを巻く蛇が象られた木製のステッキを持った若き乙女もやってくる。


彼女らは、来るとすぐにこちら側にいる哀れな動けない女性を見て『ただいまお助けします。医術長さま。』と声をかけると、すぐに私の方を向き、若者二人がその月明かりに照らされて白銀に光る長剣を高く掲げ、その後方の乙女がステッキの先端でとぐろを巻く彫刻の蛇の口元を私に向けたが、その動作に少し遅れて目線が私のいる方向に追いつくと、すぐに腰を抜かし泡を吹いて3人とも気絶してしまったのだった。私はそんなに見るに堪えない姿だろうか?


あまりの怒涛過ぎる展開にあっけにとられた私は、この状況をどのようにすればよいか半ば相談するように困った表情を浮かべたつもりで、隣の初代気絶済み女性に目線を送ったが、帰ってきた返答は、私の表情が読み取れなかったのか、それとも同じようにこの寸劇のような怒涛過ぎる展開に飲まれてしまったのか、困り果てた表情のみであった。


しかし、私はその返答の裏に一つの希望をも見出した。彼女の浮かべた困り果てた表情の中には、最早かつて、私に向けた表情に含まれていた恐怖の感情が完全に抜けていたからだ。彼女の中にどのような心情変化が生じたのかは、私にはわかりえないことではあるが、私が決して敵対心を見せず、むしろ人間味を大いに出した行動を行い続けてきた報いがようやく帰ってきたのだろう。


取り合えず、私は医術長と呼ばれていた私と最も長くいる女性が立ち上がるのを助けるために近づき手を伸ばしたが、彼女はためらいもなく私のべたつく液体でふやけたスポンジ状の腕を取った。よくよく考えなおすと、すっかり自分自身のことで気にならなくなってしまっていたが、私の中にあるわずかに残っている人間らしい感覚では、腐臭のする気色の悪い液体をまとった気味の悪い腕など触りたくもないが、平然と触ってのけた目の前の医術長なる彼女に、私はこの時初めて尊敬の念を抱いたのであった。

場面が変わるまではこのまま頑張って、バシバシ出していきますので、どうか運よく当小説にたどり着き、読み進めていただけた猛者の方々、どうかこのままおつきあいくださいませ。

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