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老大(ラオダー)的武術(ウーシュー)

彼が「大紅山ダーホンサン」に身を隠したのは、彼が15歳の時であった。彼の功績は非の付け所が無いもので、誰もが彼の権威を借りたいが為に彼の姿を探したが、一人も彼のことを見つけることが出来なかった。


大紅山ダーホンサン」は当時も今も危険な活火山であり、常に至る所から有毒な火山ガスや可燃性の高熱ガスが吹き上げている。そのガスを体内に溜めて攻撃に生かす強力な獣が至る所にあふれており、それら獣は「大紅山ダーホンサン」の麓に位置する「山間連合」の村々にとって悪夢として扱われていた。


実際に「山間連合」の村々では、悪を働いた者たちが落ちるといわれている死者の世界「地獄」で出会う、悪人の魂を懲罰する「獄卒」の姿は「大紅山ダーホンサン」に棲む獣をモチーフにされていることが多い。


そんな現存する地獄に彼が身を移したことを想像できたものは誰もいなかったのだ。


それから60年が過ぎ、彼が再び人里に帰る頃には彼の姿は大きく変化していた。齢も70を超え、長い年月と積み重ねた経験が彼の全身に深いしわを刻み付けていた。深い毒の霧に覆われ日光が差し込まない「大紅山ダーホンサン」にて潜むように暮らしてきた彼の肌は色白になり、わずかな黄色を帯びていた。背筋はピンと張っていたが、身長は縮まっており、うなじには背骨の跡がうっすらと浮き出るほど痩せてしまった彼の姿から、昔の彼の姿を重ねて見出せる者など誰もいなかった。


彼自身も過去の功績に振り回されたくない為、自身の名前を封印し「老頭子ラオトウズ」という「山間連合」にて普遍的なあだ名を用いて、用心棒として生計を立てていくこととなった。その際彼は斥候に徹し道を先行、同行者の誰もが気付いていない内に、そして自身の技を見せないように静かに危険を排除していた。そしてあたかも敵が全然見当たらない風を装い、同行者に安全な旅を提供していた。


そう、彼は山での修行で遂に、彼の長年の理想でもあった「極力隠密で」「思い立ったら即発動でき」「遠くの強力な獣をも」「死に至らしめることが出来るほど強力な」技を会得できていた。彼はその技術の「威力面」での検証を「大紅山ダーホンサン」の獣たちで既に終えており、今度はその「隠密性」の実証を行うために人里に戻ってきているのである。彼は自ら開発したその技術を「飛音術」と名付け、仲間たちに気づかれないことを実験検証しながら、日々「飛音術」を何度も使用していった。


彼以外の用心棒たちからすれば、「大紅山ダーホンサン」付近の獣は死線をくぐるような苦戦を強いてくるものが多いのだが、彼と一緒に仕事をするとそれら脅威が全く現れないため、彼はいつしか彼の同僚たちによって尊敬の念を込められた「老大ラオダー」という愛称で呼ばれるようになった。



えー、寺留です。諸事象により、降って湧いた1週間ほどのお休み期間にて投稿頻度が劇上がりしておりましたが、本日以降はまた元の頻度に少しづつ収束していきます。


今後もお付き合いよろしくお願いいたします。

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