商人達の世界
そろそろ自分でも地図を作成しないと整理出来なくなってきたくらいに世界が広くなってきた…汗
彼らは、ここより西方にある霊峰「大紅山」周辺に広がる7つの村間で交易を行う商会から来た者たちで、2年に一度、別の言語を扱うほどに遠く離れたその地から、遥々とこの森の麓の村まで行商に訪れるそうだ。この麓の村は今いるこの森の薬草が名産であり、この森の探索が全然進んでないため、まだ見つかっていない貴重な薬草があるかも知れないと彼らは踏んでおり、たびたび訪れていると言う。
ちなみにこの森の薬草は品質がとても良く、そこらに生えているキツケ草ですら、相場の4倍の値段をつけても売れると言う…なんだ、この森は。急に宝の山に見えてきたぞ。
彼らが持ってきている生活用品は先行投資であり、私のスキルかどうかは分からないが、私の近くに危険な野生の獣が近づいてこない性質を検証するついでに利用して、この森の村に近い一山分だけでも調査し、まだ見つけていない薬草などが無いか調査したいとのことである。
自分一人分では多すぎるほどの生活用品を持ってきているなとは感じていたが、彼らの生活用品も入っていたのだなと納得に至った。そして、自分もご近所を知っておきたいのと、野生の獣が仮に襲ってきた際に自分は戦えるのか不安なのも相まって、快くそれに協力することにした。
まあ、兎にも角にも調査を始める前に行動食などを用意しておくといいだろう。彼らも、生活用品を積むだけで台車が一杯になってしまった為に食料は全然載せてきていないらしい。この森は、食材が豊富だから困らないと蕭は、こちらに向かって微笑みながら快活に話し、石組みの簡易燻製台を作り始めた。
小馬と小藍は釣竿を片手に川へ水と燻製に使う魚、燻製台となる石組みの目を埋める粘土をとりに行くという。
老大はこの森で採れる香辛料や、その花芽に触れた生物の水分をその生物の大きさにもよるが、ものの数分で吸い取り切ってしまう危険植物「吸血花」の採取に行くようだ。どうやら「吸血花」は危険ではあるが、食品の乾燥と保存に重宝するらしい。と言うのも、吸血花の花芽は切り落としても、微弱ながらゆっくりと一年ほどかけて、水分や湿気を吸収し、花を咲かせてから枯れる程度に生命力が強いそうだ。
草餅も乾燥させてしまえば長期保存が効くとのことなので、川に行った組が持ってくる水を待ちつつ、私は草餅を作り始めることにする。
其々が個々で動き出し、探索の準備が急速に進んでいくのであった。