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空間に対する無知の所為だろうか、如何にも落ち着かない。胸の奥が詰まり、苦しくなる。胃から何かが逆流してくる。吐き気を止める事は出来ず、胃液の混じった塩辛い味が舌の上を突き抜けた。撒き散らされる吐瀉物。
其の中心にあったのは、鬱金色の脳髄であった。
「あ、いけないんだ。喰べた物を吐いたりしたら」と。前を見るとこの前の少女。違う、違うんだ。吐き出す積もりじゃなかったんだ。こんな大切な物、◼️◼️◼️◼️を吐き出したくはなかった。
「そうか。じゃあ、復た喰べないとね。」
そう云って少女は床に崩れ落ちた脳の欠片を拾うと私の口に押し込んだ。
くちゃり、くちゃくちゃ。くちゃり、くちゃ。
嗚呼、不味い。
幾ら舌の上で転がしても胃液の味ばかりで元の味など分りはしない。
くちゃり、くちゃくちゃ。
饐えた匂いが鼻を伝って消えていく。
くちゃり、くちゃくちゃ。
気が付くと目の前の一人前の脳髄は全て舌の上に溶け切っていた。
おひさ