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[第二章] 6
落ちていく。いつまでも、深くへと。
抱くように、周りが僕を包み込む。
あやすように、呼吸と揺れる。
心地よい感覚に、眠るような意識の海、深く、深くへと引き込まれていく。
次第に圧力が高くなる。周りは僕を押し潰すかのように、重く圧し掛かる。この腕は、僕を決して放さなかった。僕はその中で、さらに深くへと身を任せていった。
深淵の母は、真心を呑み込む。
***
目が覚めると、白い部屋の中にいた。私は何が何だか分からなかった。目の前が真っ白で、何も、分からな
かった。私の他には何も無いに等しいその空間で、私は、何かを探した。
周りは全て、存在する価値の無いものだった。