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虚像のみる夢  作者: 色々
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 思考のまとまらなさ、胸のつかえ。どうにもしようのない苦しさ。これは、自らの状態すら言い表すことの出来ない私の、この世界に於ける無知から来る焦りだ。ああ、厭だ。この日常らしい物を生きる暇は無いような気がするが止める理由が無いのだがこの気味の悪さを解決しないことにはいけないのではないか、生きていかれないのではないか、何か、何か、脳髄をぐるぐると巡る環状の思考はしかし実際には両端が少しずれていて、立体的な見方をする人間の思考では絶対にそれが円環を作っているとみなす事は出来ないのだ。私にはそれを誰に対して打ち明けることも不可能に思える。

 化野はただ引いてゆかれるままだった私の手を突然に離し、ばかだな、君は、と口にする。私はその手から放された後になって、薄く柔らかくその手指の骨に纏わり付いていた肉を、恨めしく思っている、確か、そうだ、きっと

「何故、分からないの。最も単純化された表現だけが真実なのにね。」










 真四角で白い簡素な枕。そして、柄のなく使い込まれた布団。全て白の無地である。装飾は全く排除されている。女子高校生のベッドとしては落第だ、などと思考を巡らせながらも、そのつまらぬベッドへと潜り込む。

さて、「最も単純化された表現」とは何を指し示していたのだろう。



結局、今日はあれ以来彼女と話さなかった。いや、話せなかったと云うべきだろうか?私は何度も話しかけようと試みた。試みたのだが、ある時は聞こえぬ振り、またある時はつまらぬ口実、またある時は...と云う感じだった。あれは果たして私が拒絶されていることの徴であろうか、あるいは私自身が意味を知ろうとしないのか。もしかすると、いやひょっとすると...。






柔らかく暖かく、それでいて一切不快でない泥に身を埋めるような感覚。沈み。そして暗転。













 目が覚めると、私は白い部屋の中にいた。



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