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予定よりも少しばかり遅くなったが、三人と別れ貴族街の一角にある魔導師としての私に与えられた屋敷へと帰る。


他の貴族程大きくはないが一軒家以上の大きさがあり、一個人が所有するには大きすぎる屋敷。大方余っていた土地を下賜したといった所なんだろうけどこっちとしては要らない物を押し付けられた感が凄まじい。


いや、確かに帰ることの出来る家があるというのは有難いことなんだけれども…



「シルヴィア様、お帰りなさいませ。お手紙が届いておりますよ」



声を掛けてきたのは家の管理を一手に任せている執事のリック。私がこの屋敷を貰った時にラフィレーヤ家からの推薦によって雇った人物だ。どうしてもと言うラフィレーヤ家からの紹介もあり、身元はしっかりしているから信頼出来る人物の一人でもある。



「ありがとう、リック。。それにしても何かあったかしら?」



今私にリックから直接話があるような手紙を送る人なんていないと思っていたけれど。



「従魔が運んできましたので、お知り合いの方だと判断しました。従魔は音鳥(ソニードバード)でしたよ」



「音鳥か…成程」



脳裏に浮かぶのはつい最近助けた人とその従魔である美しい羽を持った音鳥。手紙をひっくり返し差出人の名前を見ると自身の予想が当たっていた。



「ジークフリード殿か」



封を切り、手紙の中身を読む。要約すると


【先日はありがとうございました。シルヴィア殿のおかげで私は助かり、騎士団内で発生していた揉め事も解決することが出来ました。つきましては、御礼をしたく。ご都合の良い日を教えていただければ幸いです。】


とのことだ。彼に関しては王城内でも悪い噂を聞いたこともないし、騎士団との繋ぎを取れる意味でも悪いことはないから大丈夫だろう。脳内で近日中のスケジュールを引っ張り出し、予定を確認する。


ここ一週間の間なら割と融通が効くからそう返そうか。自室へと向かい机から透かしの入った便箋を取り出し、返事をしたためる。


さて、私もさっさと手紙を届けなければならない。部屋の窓を開け名を呼ぶ。



「ヒュー」



『お呼びですかご主人』



部屋の窓から入ってきたのは私の従魔の一匹であるヒュロイ。ふわふわとした羽を持つ梟型の従魔だ。



「この手紙を騎士団のジークフリード殿までお願い。分かるでしょ?」



『ええ、勿論です』



「これから休憩した後少し塔に行くから戻ってくるなら塔まで。何も頼むことがなかったら自由に過ごして構わないから」



『承りました。最近は他の二匹ばかりお側に居るので私も居させて欲しいですね』



「ふふ、待ってるわ。それじゃあ、気をつけて」



『では、行って参ります』



ヒュロイが飛び立つのを見送る。自室のソファへと座り、リックの入れてくれた紅茶を飲んだ。相変わらず美味しい…紅茶の茶葉自体いいものではあるけど、どうやったらここまで美味しい紅茶を淹れることが出来るのか甚だ疑問である。


一息着いた後再び出かける準備をする。王城へ行く為の身支度を整え、必要な書類やその他諸々を持って玄関へと向かった。



「リック、留守を頼むわね。帰りは多少遅くなるかもしれないから、遅くなったら帰って構わないわ」



「畏まりました。それでは行ってらっしゃいませ」



屋敷を出て、王城前へ転移する。本当に転移は便利よね。前世程移動手段が発達していないけど、その分魔法があるから出来ることの幅が広い。



「シルヴィか」



「あら、ラド?今日は遅かったのね」



「お前もな。今日は少し込み入っていてな。家の者達にも無理をさせた」



「ラドの家人も本当大変ね」



多分魔導師や魔術師団団長としてのラドルフではなくて、ラフィレーヤ家の跡取りとしての予定だったのだろう。魔法関係のどちらかであれば多少の面倒事があれど、ラドルフがここまで機嫌が悪いこともないだろう。


大方、後見だの融資と行った雑務が多かったのかもしれない。現当主であるラドルフの父親は財務大臣であり、お金関係に関しては余程納得出来るような計画やら説得材料がなければ頷かない人…だからこそラドルフに話を持っていったのだろうけど。そんなことが出来るのはラドルフを正しく理解出来てない小物ばかりだろうからラドルフの疲労も一押しなのだろう。



「うちの家人達は優秀だから問題はない」



確かにラフィレーヤ家の家人達は優秀な人ばかりだ。実際私もあの家で生活していた時間があるからそれは分かるけど。そういうことじゃなくてねぇ…まあ、いいや。



「暫くは大きな仕事は無かったよね?」



「ああ、だが学院の方での仕事がそろそろ来るぞ」



「そう言えばその時期ね」



数ヶ月に一度程、私やラドルフは学院で生徒達に教鞭を取ることがある。人材育成と共に、私達としては見込みのある学生の観察といった側面もある。



「今年の新入生はどんな子がいるのか」



「さてな、だが毎年のようにいる輩は居るだろうさ」



思い起こすのは最早毎年の恒例の行事になりつつあること。



「流石に昨年程の馬鹿はいないと思いたいけど…」



「上に限界はあれど下に限界がないのは毎年のことだろう…」



二人揃ってなんとも言うことの出来ないことに口を歪めた。

従魔に関しての説明はいずれ…

余裕があればもう一話更新したいです。

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