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毎朝の風景
その日の朝も葉子は極度の寝不足だった。マジやばい、ネトゲ廃人になる。今日で止めよう、っていうか今の冒険が終わってから止めよう。途中離脱は仲間達に迷惑がかかる。這うようにして駅に着き、「ハゲ天」様のお顔を拝み、「ハゲ天」様の降車後の席に座る。お休みなさい。夢の中で枕が差し出された。ありがとう。これで熟睡できるよ。
いつもの朝のように、「ど派手おばちゃん」の降りた後に雄介は座った。本日は単行本なので少し手に重い。すぐに右の女子が雄介の右肩を枕にする。雄介は苦笑する。毎日この子は俺の肩を枕にするなぁ。いつもの香りと軽い重み。雄介は読書に集中する。
葉子は東京駅で左に座った男性から合図を受けて、いつものように目を覚ます。アラーム付きだぜ。葉子は、長身痩躯な男性の後ろ姿に向かって心の中で拝む。彼のお陰で乗り過ごしも無く、枕まで毎朝提供してもらって文句の無い通勤である。なんてラッキーなんでしょう。




