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「ハゲ天」様と「ど派手おばちゃん」

 引っ越しから1週間の綿密な観察により、葉子は駅で待つべき場所を完璧に把握した。

後ろから3両目の一番後ろ側の長椅子と、優先席の間のドア。

6時06分発の熱海行きの上野東京ライン。

 ドアが開くと同時に葉子は、長いすの右端から二番目に座る、葉子命名「愛しい禿げ頭の天使」様の前に陣取る。

略称「ハゲ天」様は、毎朝その場所にお掛けになっており次の駅で降車する。そこから新橋まで葉子は、ぐっすりと眠ることができる。

 今日も「ハゲ天」様は次の駅で降車なさり、葉子はバッチリ座る場所を確保した。

マジ天使、と葉子は思い眠りについた。


 転職に伴い雄介は転居した。この路線なら会社まで一本だ。座って行ければラッキーだが。雄介は2週間の探索の末、後ろから3両目の一番後ろ側の長椅子と、優先席の間のドアに素敵な場所を発見した。6時16分発の熱海行きの上野東京ライン。右端の席に座る「ど派手おばちゃん」が雄介の乗車する駅の次の駅で降車するのである。場所も完全固定、理想的だ。

 本日も「ど派手おばちゃん」は次の駅で降り、雄介は腰を下ろした。おばちゃん、ありがとう。これからもよろしく。雄介は文庫本を取り出して、ゆっくりと読書を始めた。


 葉子は熟睡していた。しだいに首が左に傾く。葉子は夢うつつに思った、んー寝心地がいい、絶妙な枕の位置。完璧。思わず笑みがこぼれる。葉子完璧に眠りの世界についた。


 雄介は、右側に座る女子が次第に雄介側に傾き、ついに頭を雄介の右肩の上に載せる状態になったのを感じた。小柄な彼女の身体は大して重くなく、不快感は無い。むしろシャンプーかなにかの芳しい香りが漂い、寄りかかる女子の体重でいい具合に雄介の右手が固定され、本を持つ手の疲労感が軽減されている。こりゃいいや。


 雄介は文庫本を閉じて東京駅で降りる。軽く右肩を上げて、隣で熟睡する女子に合図する。雄介の右肩から頭を持ち上げハッと目を覚ました彼女を置いて、雄介は降車した。さあ、仕事だ仕事、まず喫茶店でコーヒーを飲んで切替だ。


 葉子は、もたれかかっていた左側の男性からの軽い合図に目を覚ます。あ、もたれかかってたんだ。すみません、と思う間も無く、隣に座っていたと思われる男性は駅へ降りていった。後ろ姿は長身痩躯、背中が引き締まっていてスーツがよく似合っている。葉子は目をパチパチとさせて周囲を見回す。次は新橋、とアナウンスが入る。完璧、葉子は思った。よしよく眠った。今日も頑張ろう。新橋駅で葉子は降りた。まず喫茶店で紅茶を飲んでリフレッシュ。



寝不足の朝に思いついたプロットを形にしてみました。

短いですけど、楽しんでくださいね。

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