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イヴの世界  作者: あこ
二章 王都招来
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王都オルファナス・3


 王都オルファナスにあるクラクの別荘に到着し一息たったところで、辺りは暗く夜にふけ込んでいた。

 用意された部屋はクラクの屋敷で使っている部屋よりは広く、ベッドが広々としたキングサイズで客間のような部屋だった。またリリィに用意された部屋はミズキの部屋の隣であり、部屋に入る際、リリィが可愛げに手を振っていたのを思い出す。

 思い出しては照れて、用意された自室で悶える。

 その気恥ずかしさを打ち消すように、さっさとフィロルドの近侍の制服に着替え直す。ミズキの私服はいつでもその制服である必要があるため、同じ制服を何着も持って来ている。ここへ来たときの服もその制服である。ミズキなりに外用、中用と分けて着こなしている。

 着替えが終わり、部屋を出ると、まるで狙っていたのか隣の部屋からリリィが出てきた。

「整理は終わったの?」

 部屋から出てきたリリィは、ミズキを見つけ笑顔でたずねてきた。

 タイミングの良さに思わず照れてしまうが、彼女の問いかけに頷いて答えた。

 別荘に到着して各自部屋で整理を終えると食堂に集まるよう言われている。二人は一緒に一階の食堂へ向かう。ササキは二階の客間ではなく、一階の客間に通されている。理由は警護役で付いているかららしいが、ミズキ的にはあの様相で警護と聞かされてもどうにも判然としない。

 別荘の落ち着いた内装を話題にリリィと話しながら食堂に向かっていると、大階段を降りる中、一階のエントランスに客間方面の廊下から出てきたササキと遭遇した。

「お、おっすー」

 こちらに気づいたササキは見上げて手を振ってきた。

 相変わらず軽薄な態度の彼女だが、腰に剣がなければ傭兵であることが全くわからなくなる。剣がない彼女はただのギャルだ。

 彼女の反応に、ミズキは苦笑いで返す。隣でリリィは少し恥ずかしそうに手を振りかえしていた。

「ハジメてのとこだから緊張するよねー」

 ササキはミズキの反応を見てそういう。ミズキ的には緊張というよりは反応に困るといったものだが。

 三人はこのまま食堂に向かう。食堂は客間方面とは逆の廊下から行ける。

 食堂にたどり着くと、空腹を誘う匂いが鼻をくすぐった。

 そのせいかミズキはだらしなくお腹の音が鳴ってしまい。ササキの笑いを誘ってしまう。

 恥ずかしくて悔いている中、アヤチが食堂のキッチンの方から食事を載せたカートを押して来ていた。

 アヤチは獣人ならではの獣耳をピクリと、尻尾を跳ねさせて、鋭い猫目がこちらの方を突き刺すように見てきた。

 一見にして機嫌の悪そうな面だが、彼女は猫目を瞬かせながら優しげな口調でいう。

「ご夕食を用意しております。こちらの方でお召し上がりください」

 そういって、食事をカートから長机に人数分並べていった。

 ミズキは新鮮な光景に驚いてリリィやササキと比べ遅れて席についた。いつもはミズキは使用人側なので、こうした光景を見るのは初日以来である。

「では、ごゆっくり」

 と、アヤチは獣耳までお辞儀してこの場を後にした。 

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