しゅあん
高校生になれば、誰も高校生らしくなれるものだと思っていた。だが現実はそうあまくない。いじめられている訳ではないが、特別仲の良い人がいないというのも事実。
昔から霊にしか好かれない。
人は寄ってこないが、霊は私にいつもべったりだ。物心ついたときからそうだった。
「ただいまー」
家のドアを開けると子供達が走ってきた。
「お姉ちゃんおかえりなさーい」
この家には私の妹が7人。弟が12人いる。
私の住む場所はひまわり園という孤児院だ。
「遅くなってごめんねー。今ご飯作るからねー」
私の役目は、職員の人とご飯を作ったり、子供達のお世話をすること。高校生はこの園にはいれない。だが私は親戚からも疎遠されている。そのため職員さんの仕事を手伝う事でここにいられるのだが、職員の人のほとんどが私のことを良く思っていないようで、少し居心地が悪い。ちなみに、私の事を最も良く思っていない田中さんが担当しているのは洗濯なのだが、私の洗濯物はどう考えても、洗濯してもらえていない。
『生きているだけで幸せ』というのなら私は幸せなのだろうけど、私は仙人ではないし、僧侶でもない。正直、こんな毎日は嫌だ。変化が欲しい。毎日の変化といえば、時間割と夕飯のメニューくらい。
「はぁー。」
大きなため息をついたとき、お米の炊けた音と、インターホンが同時に鳴り響いた。
「はーい。今出まーす。」
私はドアへ向かって走って行った。
『後悔』というのは漢字を見れば分かる通り、後に悔いる事を言うのだが、後悔をした事がない人間などいないと思う。ただ人間には間違えてはならない選択というものがある。多分私はこの時それを間違えた。
「どちらさまでしょうか」
ドアを開けた途端に私は恐怖に震えた。
ナイフを持った男がこちらを睨みつけていたのだ。
「誰かっ」
私が助けを呼ぶと同時に、床や壁に血が飛び散った。私は血だらけのお腹を押さえて皆に知らせようとしたが、足に力が入らずその場で倒れてしまった。
そしてそのまま私は気を失った。




