プロローグ1
この作品は、別サイト『エブリスタ』にも投稿されています。『エブリスタ』で書かれていたものを修正して投稿させてもらっています。
また、この小説には“駄文”と“微量のチート”と
“厨二病成分”が含まれております。
この3つの内、一つでも我慢できない、不快と感じる方は、今すぐに他者の小説ページに移動することをおすすめします。
それでも、気にしない方は、暇潰しがてらに読んでいただければと幸いです。
修正には、多少時間が掛かりますので更新は不定期になります。
薄暗い部屋の中、男と女の人影が蠢く。
二人の間には淡く光る球体が浮かんでいた。
二人は、何かに取り憑かれたかのように球体をジッと凝視している。先に口を開いたのは、女の方だ。
「本当に“彼”でいいのですか?」
澄んだ声音は、少しばかり緊張感を漂わせる。
「問題ない」
女の方に視線を向けることなく、淡々と男は答える。
それ以上、女は口を開くことはなかった。
「“彼”なら――――何の疑いを持たずに従順に事を成し遂げるだろ う」
女は、男の言葉に黙って頷く。
男は、嘲りを混じった声で言葉を紡ぐ。
「“彼”に相応しい役割じゃないか」
女は球体から視線を外し、球体を覗く男を見た。僅かに女の唇が震える。唇を噛みしめ、女は、瞼を下ろし一呼吸おく、そして再び瞼を上げた。その瞳の奥に弱々しいが確かに何かが宿った。
「“彼”があの“蛇”に…………」
「やめろ」
女の言葉を遮るように男は氷のように冷たく言い放った。肩をビクッと震わせた女は、ライオンを目の前にした兎のように顔をこわばらせた。
そして、女の瞳に弱々しく宿した何かは、淀み、泡沫のように消えた。視線を男から外し、球体に向ける。球体には、黒髪黒目の女と間違われそう少年が映っていた。