少『女』
その店に足を踏み入れた途端、私はいくつもの視線にさらされた。
檻の中から何人もの、年端もいかない少年少女たちが新たな主を求め、様々なアピールをする。
ここは、命を金で売買する場所。いくつもの種族の幼い子供たちが、檻の中に入れられて逃げ出せないでいる。
彼らに自由などない。売れ残った子供の末路がどうなるのか……噂では、殺されると聞いたことがある。
仮に値段通りで売られても、新しいご主人さまの家で虐待されたり、鎖につながれ、食事を与えられなかったりとその運命は過酷なものに違いない。
だが、私は絶対にそんな運命を強いたりはしない。新たな家族として、迎え入れる準備ができている。
そう、家族だ。同じ屋根の下で苦楽を共にする……うちは決して裕福というわけではないが、新しい家族を買うだけの金ならある。
店の奥に足を踏み入れて、私はそこで腕を組み大いに悩まされた。
檻の中にはたくさんの子供たちがいる。どの子も幼く愛らしい顔をして寝ていた。
できれば女の子がいい。可愛い服を着せてあげたいし、一緒に寝てみたいから。
しかし、男の子も悪くない。元気に走り回るやんちゃな姿に振り回されてみたいものだ。
どうしたものか。と、檻の中を見ていた私が隣の檻に視線を移した瞬間、彼女と目が合った。
それは、一目惚れといっていい。まさしく運命だった。
銀色の妖精、そう形容してもいい。それほどまでに彼女は圧倒的な存在感だった。
「……」
少女は無垢な瞳で私を見ている。じっとこちらを向いたまま、動こうとしない。
――この子だ。私は直観的にそう思った。
値札を見れば、他の子供たちよりも遥かに高い金額が付けられている。だが……彼女が欲しいという気持ちは揺らがない。
私はすぐ近くにいた店主を捕まえると、彼女を買うことにした。
帰ったら、思い切り頬ずりをしてやろう。そして、抱きしめてやろう。最初は嫌がるかもしれないけど、一緒に寝よう。
フ。フフフフフフ。
私は制服のスカートから財布を取り出しお金を払うと、駅前のペットショップ『にゃんにゃんユニバース』を出た。




