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雪の日の噴水の前で。

雪の日の噴水の前で、出会った二人の物語

雪の日の噴水の前で。


ある時、噴水の水の中から小さな女の子が誕生した。

「彼女の名前は水の精」と。


雪の日の噴水の前で。


噴水の周りで女の子が遊んでいると、

小さな男の子がやってきて一緒に遊んだ。

帰りに男の子はつぶやいた。

「また一緒に遊ぼうね」と。


雪の日の噴水の前で。


それからというもの小さな女の子と、

小さな男の子はいつも遊んでいた。

ふと女の子がつぶやいた。

「楽しいね」と。


雪の日の噴水の前で。


小さな女の子と小さな男の子が約束をする。

「ずっと一緒に居られますように」と。



雪の日の噴水の前で。


少し大きくなった少女と少年が約束をする。

「これからもずっと一緒に居られますように」と。


雪の日の噴水の前で。


それから幾年が過ぎ、

男の子はたくましい青年となり、

女の子は美しい女性へと成長した。

青年は女性を抱き締めてこう言った。


「ボクとこれからの日々を一緒に歩んでください」と。


雪の日の噴水の前で。


それからまた幾年が過ぎ、

青年は戦地へ行く事となった。

青年は、妻にこう約束した。

「大雪の日、あの噴水の前で逢おう」


雪の日の噴水の前で。


あれから、五の年が過ぎ、十の年が過ぎても、

大雪は降らなかった。

美しい妻は青年を待ち続けた。

待つ場所はそう、あの噴水の前だ。


雪の日の噴水の前で。


青年が戦地へ赴いてから二十の年が過ぎたある日。

町に大雪が降り積もった。

美しいままの妻は、息を荒くしながら、

噴水の前に辿り着いた。


少し傷が目立つ青年は、

妻の身体を抱き締めながら

「だだいま、相変わらず君は暖かいね」

と妻に囁いた。


雪の日の噴水の前で。


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