六つの意思-井戸端会議
過去は変えられるものではない。けれども未来は変えられる
ある所に、六つの意思達が集まって一言ずつ呟いていました。
ヒトとは、まったく…愚かな存在だな。
ヒトとは、まったく…残酷な生き物よの。
ヒトとは、まったく…哀れなモノなんだわ。
ヒトとは、まったく…落ち着かぬ生き物じゃ。
ヒトとは、まったく…可笑しな存在である。
人とは、まったく…バカな生き物ですよ。
一つ目の言葉は、大地に宿る精霊が、
高く険しい山に登る人間を見て、放った言葉。
二つ目の言葉は、森に住む妖精が、狩りをし、
野を焼き払っているのを見て、呟いた言葉。
三つ目の言葉は、空を飛行する黒い鴉が、
同種で起きている、争いを見て、ポツリと落ちた言葉
四つ目の言葉は、海をゆらゆらと泳ぐ蛇が、
水底に生贄に捧げられた女を見て、静かに流れた言葉
五つ目の言葉は、世界を見ている神が、
必死に祠に手を合わせている夫婦を見て、不思議そうに呟いた言葉。
六つ目の言葉は、遥か昔、神からの功績によって、
守護者となった者が、
海水に濡れている女を、抱き抱えている過去の自身を指して、
呆れたように笑って呟いた言葉。
六つの意思はつぶやいた後、
静かに元の場所へと戻った。
六つの意思が集っていた場所には、
穏やかな風が吹いていた。