天城へ居る神へ
天城へ居る神へ。
あなたは今どこに居るのですか…?
貴方が孤独な悪魔を置き去りにしていったあの日、
私は貴方を憎みました。
天城へ居る神へ。
貴方は今どんな気持ちですか?
貴方が大地を裂いて、世界を二つに分断したとき、
私は聖なる光を受けました。
天城へ居る神へ。
貴方は今一人で存在しているのですか?
貴方が世界に草花を与え、水を与えたとき、
私は天使に成りました。
天城へ居る神へ。
貴方は今楽しんでいるのですか?
貴方が生きるモノを作り、心というモノを与えたとき、
私は世界を歩いていました。
天城へ居る神へ。
貴方は今哀しんでいるのですか?
貴方が望まぬ争いや心冷たい心の出現を知ったとき
私は国というモノの中に捕らわれていました。
天城へ居る神へ
貴方は今怒っているのですか?
貴方が水や大地を操り、生きるモノを罰していたとき
私は崩れた瓦礫の間から外へ飛び発ちました。
天城へ居る神へ
貴方は今喜んでいるのですか?
貴方が作った世界が、安らぎを取り戻したとき
私は天空に辿り着きました。
天城へ居る神へ。
貴方は今、なぜ微笑んでいるのですか?
貴方が作った世界が、知らず知らずの内に愛に溢れているとき
私は貴方の目の前に居ました。
天城へ居る神へ。
貴方は今、どうして瞼を閉じているのですか?
貴方が作ったモノ全てが、静かに哀しんでいるとき
私は貴方にこう…話しかけました。
天城へ居る神へ。
せっかく逢いに来たのに…
どうして寝ているんですか?
私は貴方の身体を揺すりました。
天城へ居る神へ。
あの時置き去りにされていたと思っていた私は
天使に成れたんですよ?
私は貴方にお礼を言います。
天城へ居る神へ。
孤独だった私に
生きる標を与えてくれて
ありがとうございます。
貴方の代わりは出来ないけれど
貴方の作ったこの世界を
この天城と一緒に、
ゆっくりと見守って行こうと思います。