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第4章 ~手紙~

 店に乗り込んできた強盗二人組みをアルカドールの騎士団へ引き渡し、三人は再び城へと向かっていた。

 多少予定は狂ったが、とりあえず時間を潰すことは出来たようだ。


「にしても、あのアルニカの踏みつけはすごかったな~あの強盗、足の骨にヒビ入ったんじゃないかな?」


 笑い混じりにロアが言う、アルニカは両腕を組んで、


「ふん、あんな礼儀知らずな連中には妥当な制裁よ、ね、ルーノ?」


「まあな、あの店には獣人族もいたのに、平気で『メス』なんて言葉を使うヤツらだからな」


 メスやオス、こういった言葉は、獣人族には差別用語である。

 どうやら、アルニカはまだご立腹の様子だ。動物のように言われたことに、腹を立てているらしい。

 ふと、何かに気付いたのか、アルニカはロアの方を向いて、


「そういえばロア、女王様からの手紙は持ってきてる?」


「ん?」ロアはポケットから白い小さな封筒を取り出して、


「もちろん、これでしょ?」


 ロアは封筒を開いて、中から一枚の便箋を取り出す。

 そこには、この国の女王、すなわち国を治める者の字が書き連ねてあった。



 親愛なるロアへ

 急で申し訳ありませんが、とても大切な話があります。

 次の土曜の12時に、アルニカとルーノと共に城へ来てください。

 お待ちしています。


                    ――ユリス。



「にしても……どうしてオレとアルニカまで?」


 とルーノ、アルニカは「うんうん」と頷く。ロアは少し考えてから、


「まあ、行ってみればわかることさ」


 手紙をポケットへしまうと、再び歩き始める。


「あ、ロア、ちょっと待って」


 と、不意にアルニカが、後ろからロアを呼び止めた。

 アルニカはロアに歩み寄ると、彼の服の乱れを直し始める。


「お城に行くんだし、身だしなみくらい整えとかないとね」


「ん、ありがと……」


ロアはそう返した。


「行こうぜ、そろそろ時間だ」


 ルーノは二人に告げると、歩を進め始める。ロアとアルニカも、それに続いた。





 アルカドール城の玉座には、一人の少女が腰掛けていた。

 薄紫色のドレスを身に纏い、その首には宝珠のチョーカーが着けられている。長く美しい金髪に、澄んだ瞳、彼女からはどこか神々しさすら感じる。

 しかしながら、「女王」と呼ぶには若すぎるかもしれない。

 だが正真正銘、この少女こそがこの国の女王なのだ。


 玉座の間の扉が開かれ、一人の鎧に身を包んだ兵士が玉座の間に足を踏み入れた。


「女王陛下、失礼します!!」


 天井の高い玉座の間に、兵士の声が響き渡る。


「どうしました?」


 と、女王は兵士へ問いかける。

 彼女から発せられたのは、まるで透き通るような、美しくて優しい声だった。

 兵士は、


「陛下に会いたいと言う子供が三人、城の前へ来ています。いかがなされますか?」


(『子供が三人』……ロア、来てくれたのね)と女王は心の中で呟いて、


「通してあげて下さい、私の友人達です」


 と、答えた。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







【キャラクター紹介 02】“アルニカ”


【種族】人間

【性別】女

【年齢】14歳

【髪色】オレンジ


 ロアの友達の女の子。肩まで伸びたオレンジ色の髪と左前髪の髪留めが特徴。

 快活で明るい性格の持ち主で、他者を思いやる優しさを持つ。

 裁縫や料理など、少女らしい事が得意。レストランで給仕の仕事をしながら、料理の勉強をしている。将来は、自分のレストランを持つことが夢らしい。

 武器は主にツインダガーを使い、パワーの低さを手数でカバーする剣術、「エレア・ディーレ」を習得している。

 ロアには及ばないものの、その剣の腕は高く、学校内の女子生徒の中でも一、二を争う。

 ロア同様、両親の所在は不明である。





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