~無敵転生~無能と呼ばれた俺が異世界に来たら
ある日突然、俺は死んだ。
急に車が曲がってきて、自転車に乗っていた俺は車に巻き込まれた。そして、衝撃を受け、頭を打った。俺が覚えているのはここまでである。視界が暗闇になる。久しぶりに道を歩いていたら、このザマである。ムカムカと沸き上がってくる感情があった。母親に向けた感情である。俺はその言葉を飲み込んだ。自分が目を開くことができることに気がついた。今自分はどうなっているんだ?ひょっとすると、病院にいるのかもしれないとその時は思っていた。
俺は、恐る恐る目を開けた。
目の前に広がっていたのは、大きな門だった。その奥には中世ヨーロッパのような景色が広がっていた。俺は日本にいたはずである。まさか僕の住んでいる町からヨーロッパまで、車に吹き飛ばされたわけではないだろう。今の日本にこんな場所はないだろうし。
俺はここでようやく死んだということを理解した。
俺には、一つ頭に思い浮かぶものがあった。ひょっとするとである。これは異世界転生というやつなんじゃないか。
俺はついに報われる時が来たと思った。同じ教室の騒がしい運動部、年齢が高いというだけでだけで威張り「使えない」と連呼した先輩、この時、無理に学校へ行かせようとする親。それらが思い浮かぶ。
しかし一体俺はどうすればいいんだ。服は着ているが何も持っていない。ぱっと見矛盾に思える表現だが俺は裸一貫、こんなんじゃ何もできない。
こういうので必ずある「チートスキル」や「ユニークスキル」だとか俺を後押ししてくれるものがあるはずだ。
緑色のローブのようなものを着ている女が立っていることに気づいた。ゆったりとしたシルエットの服であるのにもかかわらず、確かな存在感を示すふくらみがあった。よく見てみると顔がかなり整っている。おっといけない、なに俺は人の体をまじまじと見ていたのだろう。しまった!俺に気づいたのか俺のほうへ近づいてきた。
「ユーロッパへようこそ。私はナビゲーターでございます」
彼女はヨーロッパではなくユーロッパといった。それがこの世界の名前なのだろうか。
あえて、俺は黙っておく。すると彼女は笑顔になって言った。
「ああ、急に言われても分かりませんよね。信じられないかも知れませんが、ここはチキュウがある世界とは別の世界です。」
言いなれていないのか「地球」のイントネーションおかしかった。やはり俺の思った通りだ。
「なるほど、異世界転生っというわけか。」
俺は今思いついたかのように言ってみせる。
「はい。そうなります。理解はしているとは思いますが、あなたは事故で死んでしまいました。私が、ナビゲートをさせてもらいます」
最初の発言と繋がった。彼女は俺に質問をする。
「まず、お名前は?」
「天成です。あなたは?」
「⁉わっ、私ですか。……私はアンナと申します。」
聞かれるとは思っていなかったのか、たどたどしく彼女は言った。可愛らしい。彼女は続ける。
「えー天成様……それではステータスオープンをしていきたいです。」
「ステータスオープン?」
「はい。これによって自分の攻撃力や防御力を客観的に見ることができるんですよ。」
なるほど。それじゃあやってみよう。どうせならかっこよくだ。
「ステータスオープン」
俺は叫んだ。すると目の前に二次元的空間が飛び出した。そこには次のように書いてある
名前 露宇姪 天成
レベル 19
職業 無し
最大HP 120
魔力 50
攻撃力 25
防御力 6
速さ 4
スキル「自分任せな人任せ」自分が攻撃する代わりに味方に攻撃をさせる。その味方の攻撃はこのスキルの使用者の持っている属性、攻撃力が同じになる。
これが異世界転生ものでよく見るステータスか。俺は新しい技能を手に入れた高揚に包まれた。来た来た。これだよこれ。こういうのだよ。俺が求めていた「異世界転生」というものは。
しかしこうやって見せられても数値が高いのか低いのか分からなかった。レベルは年齢になっていた。
スキルの強さがわかりにくい。「相手を即死させる」とかなら分かりやすいのに。
まじまじと
「ま、まあ。これから伸ばしていけば大丈夫ですよ」
とアンナは励ますように言った。どうやらオープンしたステータスは周りの人も見ることができるらしい。
とりあえず、俺はステータスを閉じる。
「それではこちらのカバンをどうぞ」
アンナに少し大きめのカバンを渡された。身構えたが、思っていたよりも軽い。カバンの中をのぞいてみる中にはお金と缶詰、四枚のタオル、鍵そしてファイルが入っていた
「こちらは支給品です。これらのお金はこのユーロッパの単価で約一か月ほど暮らすことができます。仕事を見つけるまでの生活費にしてください。あと、そちらの鍵は転生者のために一時的に部屋を一か月後からは家賃を払うか退去してもらうのでご了承ください。」
つまりこれらは転生者のためのセーフティーネットというわけだ。ファイル以外入っている理由が分かった。
ファイルの中を確認する。
「このカードは?」
「それはですね、チキュウで言う『ミブンショウメイショ』らしいです。裏に名前を書くスペースがあるので書いてください。この時、名前は間違えないようにお願いします」
適当に会話を終わらせた。
しかし、考えてみよう。これを考えたのはおそらくもともと地球にいた奴らだ。別に陰謀論を信じるわけではないが念のため、中にチップや俺を監視するようなものが入っているかもしれないと思った。だから俺は左手で自分の名前をわざと書き間違えておき。タオルでカードを包み、そのままカバンに突っ込んでおいた。
「何か質問はありませんか?」
それなら、さっき聞いたことを聞いてみよう
「俺は魔王と戦いたいんだけどどうすればいい?」
「魔王ですか?残念ですがそんなものは約一世紀前に滅んだと言われていますよ。」
「じゃあ、俺はどうやったらモンスターとかなんやらと戦えばいいんだ?」
「モンスターと戦うですか……………?今の時代はそのような仕事は段々と減ってきているのですが………それなら、ギルドに応募してはどうでしょうか?ああ、ギルドというのは未だ未知の場所である『ダンジョン』を探索する仕事で……」
それだ。思わず口に出しそうになる。
それは俺が考えていた異世界転生無双生活を送るためぴったりの仕事だった
解説を始めたアンナの会話を区切るために俺は行った。
「大丈夫だ。ギルドが何かくらい知っている。」
こうして、俺のおおまかな方針が決まった。
せっかくこの世界に来てみたのだから周りの建物に入ってみようと思った。
一つの店に目が留まる。一階建ての横に広い建物でレンガのようなものでできた壁にたくさんの紙が貼ってあった。目についた紙の内容は以下のとおりである。「(リンゴとバナナが混ざったような果物の写真)リンナナ!今なら30%割引」「(何かを挙げた串カツのようなものの写真。何を揚げたのかはわからない。)三つ買ったら一つ無料!」「(帽子をかぶった女性がこっちに向かって指をさしている写真)働く人募集中」
これらから、俺はここは地球で言うコンビニエンスストアのようなものだろうと推理した。
「イラッシャイマセ!」
レジの方から声がした。果たして言葉の意味を知っているのかやはりおかしなイントネーションだった。それを発声した主を見る。髭がぼうぼうと生えている一方、頭は寂しい少し汚らしい親父だった。
さすがにレジの横にホットスナックの棚や中華まんを蒸す機械はなかった
一つ天才的な
「な、なぁおじさん」
「なんだ?」
「いやぁ、天才的な料理を思いついたから協力してくれないかと思って。」
「まぁ?とりあえず聞いてやろうじゃないか」
「サンドイッチだ。」
「それはペレストロじゃあないか。馬鹿にしているのか?それとも皮肉か?うちでペレストロはやってないよ。すまんな。」
何だそれは?思ったことを俺は口にだす。
「ペレストロ?」
「お前ひょっとして転生者か。…………やっぱりな。なんでだろうな。どいつもこいつもな。俺に向かって料理を提案してくるんだよ。」
続けて彼はぼやいている。
「こうやってパンとパンで色んなものを挟んだ料理をペレストロっていうんだよ。」
文化方面はちょっと厳しいかな。そう思った俺はもともと予定していたルートに決定した。
道案内とかのマップを見ながら、トレーニング場についた。なんと、ここは転生者が経営しているらしく使用料がしばらく無料らしい。
受付で俺はここの会員登録をしておいた。これからその時に受付の男に聞かれた。コンビニ(仮)にのレジにいた男とは対照的で毛深い男だった。彼の辞書に清潔感という文字はなさそうである。
「お前さん、一人でここを使うのか」
「はい」
「一人だとな筋トレの重量を変えるのも一苦労だし、やっぱり高めあう仲間みたいなのはいたほうがいいぞ」
俺は一匹狼でやってやる
「大丈夫です」
俺は決意を固めたのだった。
トレーニング場はバスケットコート二つ分くらいの広さがあり、入り口から見て右側と左側で壁で分けられていた。右側にはたくさんの的が置いてあり、左側にはたくさんの筋トレ器具が置いてあった。
トレーニング場を一通り見たら、応募するギルドを決めることにした。
俺は試験が「実技のみ」のものをピックアップした。
Q1 火炎魔法を撃った後のクールタイムは21秒である。また、風魔法のクールタイムは18秒である両方の魔法を同時に打った時、クールタイムは何秒になるか。小数点は切り捨てるものとする。
いくら地球時代の俺が国立志望だったとはいえ。こんな問題分かるはずがない。なんせ学んだことがないからだ。
俺の魔力50が宝の持ち腐れである。実技だけで採用してくれるところを探すのだ。
「ここがいい。」
『来たれ命知らず』ポスターにはこの文字が暴れ馬のように乱雑に描かれている。いかにもといった印象を受ける。
「この探索者のギルドに申し込みたいのですが」
「おい、お前さん。ここに応募しようとしているのかい?さては実技評価のみのところにつられたな。悪いことは言わんやめとけ。恥をかくぞ」
と受付の老人は言った。俺が主人公になるプロローグに感じられた。彼が俺の物語の咬ませ犬にしか見えない。
俺は老人の忠告を無視して申し込んだ。
あれから毎日トレーニング場で特訓をした。俺はおそらく魔法を使うタイプだから的に向かって火炎魔法、光魔法、治癒魔法などなど本に書いてあった奴はあらかたやってみた。
これもすべて実技試験のため、もといい俺の異世界無双生活の第一歩のために
実技試験の会場に行くと屈強な男たちがいた。
自分の身長程もある大きな石が並んでいる。万が一に備えてだろうか、人数より明らかに多い。また、たくさんの岩の集まりから十メートルほど離れた場所に赤い線が引かれていた。
誰とっも話さず待っていること数十分、時間になると迷彩服とグリーンベレー帽を身に着けた筋肉マッチョのハゲが入ってきた。異世界に迷彩服とグリーンベレー帽が異世界にあるわけないと思った人もいるはずだ。しかし、よく考えてみてほしい異世界に来た転生者は俺だけではないのだ。だから、まぁ、そこまでおかしいことではないだろう。
なぜ笑うのだろう。きっと、こういうのは鬼軍曹に違いないのに
「ここはぁ実技だけで採用!不採用!を決めさせてもらうぅ。ルールはぁ簡単んんん!そこにある岩どもに向かってこの線からデトナシオンを撃ってくれ。以上」
そういうと筋肉マッチョは後ろに立っていた人間が持ってきたに椅子に座った。
なるほど、これ以上になく誰にでもわかるように簡略化されたルールだ。やっと面白くなってきた。
最初にやる人間がなかなか出てこない。こいつらはトップバッターになることに日和っているのだ。これは「チャンス」だ。
俺は呪文に関してしっかりと図書館で勉強してきた。魔法とは何か。魔法の打つ時のコツなどなど。そしてトレーニング場には毎日通った。
周りの奴らとは努力が違う!
「デトナシオン!」
叫んだ途端に手から強烈光の球が形成させる。そしてそれはゆっくりと指の先と同じ向きへ飛んでいく。
ドッカーン!爆音が鳴る。
気が付けば、目の前にあった大きな岩が木端微塵になり、飛散していた。
俺は思わず口角をあげた。
たった数日間で魔法を使えるようになり、今ここで的(岩)に向かって当てることができた。かなり、俺は才能があるのではないかと思う。
周りはざわざわとしている。
筋肉マッチョは眉間に皺をよせた。
あれっ?ひょっとして俺、何かやっちゃいました?俺は尋ねる。
「もしかして、威力が弱すぎたのですか」
「そうだよ。」
何を言っているんだ。
岩を破壊した。これ以上何を求めようというのだろう。
その問いに答えるかのように筋肉マッチョの後ろに立っていた男が言った。
「知っているかも知れないけど……デトナシオンっていうのはね、爆発系呪文の中では最高位で一番威力が高く、消費魔力も多いんだよ。それなのに一つの岩しか破壊することができないとは……………………師範や学びあう好敵手はいなかったのか?」
はっはっはと彼は言った。
俺は、気分が悪くなった。思わず眉間にしわを寄せる。そんなこと知るはずないじゃないか。俺は気分が悪くなる。
俺は二度とこんな所へ来るものかと心に誓った。
あれから一か月ぐらいたった。
何とか仕事にはつくことができた。しかし、やることと言ったら重い荷物を指定された場所まで運び荷物の種類で分けるという誰にでもできそうな仕事をやっている。俺のポテンシャルはまだ発揮されることはない。
今日は仕事もやらなければならないことも何もなかった。
気づけば、門の入り口へ俺は戻ってきていた。
アンナに会いに来たのである。特に話せるようなことはなかったが。ただ、顔を見たかったのだ。
と金髪と茶髪の二人組の男に向かって砕けた物言いで話しかけていた
耳を澄ませる。
そりゃそうだ。毎日何人かの人間が交通事故で死んでしている。また、今日もそんな一日のはずだ。僕が転生してきたときも同じだ。
なにも変わっていない。納得は段々と苛立ちに変わっていった。このままでは何か罪を犯してしまいそうになったため、俺は黙ってそこから立ち去り、自分の部屋に戻り、ベッドに体を投げ出した。
ふと、自分の誕生日が来たことに気が付いた。この世界の使用を考えたら、レベルが上がったはずである。俺の仮説が正しければ、レベルが一だけ上がり、俺は成人になったはずだ。やめといた方がいいはずである。しかしその時俺はなぜか知ってみたくなった。
「ステータスオープン」と俺はつぶやく。
名前 露宇姪 天成
レベル 20
職業 無し
最大HP 120
魔力 50
攻撃力 25
防御力 6
速さ 4
スキル「自分任せな人任せ」自分が攻撃する代わりに味方に攻撃をさせる。その味方の攻撃はこのスキルの使用者の持っている属性、攻撃力が同じになる。
変わっていたのは一つの数字だけだった。
「クフフフフッ。」と自嘲的な笑いが込み上げてきた。
なんとなくで俺は外に出た。
痰を吐く。ふらふらと歩く。なんでこんなことに。もうこんなところにいたくない。俺のあのトレーニング場での努力は無駄だったのか。
俺は酒を飲むことにした。どうせなら働いて稼いだ金を使いきってしまおう。
ゥっウッウッ!俺は喉を鳴らす。特段おいしいというわけではなかったがジョッキを持つ腕がは離れない。
ユーロッパでは飲酒制限が緩かったため誰でも酒を簡単に手に入れることができる。もっと早くやればよかった。なんで俺は年齢制限という壁に取りつかれ、固執していたんだ。地球にいた時からずっとルールは守ってきた。教室で騒いで周りに迷惑をかけることなんてなかったし、先生にやるなと言われたことはしっかりと守った。それなのになぜ破った奴らはあんなに楽しそうなんだ?阿保らしい。馬鹿らしい。不公平。そもそもどいつもこいつももなぜ俺を認めようとしない?俺は頑張っているはずだ。いろんなことに挑戦したし、言われたことはちゃんとやったし…………………………
その時だった。
「ヒヒーン!」
馬の鳴き声だった。俺がいる方に突っ込んでくる。体は金縛りが起こったかのように動かない。ゆっくりと時間が流れる。ひょっとしたら死に際になることによって俺の隠されていた本当の力が明らかになり、ここから俺の無双が始まったのではないか?俺は体を動かそうと重心を右に傾ける。
俺は馬車の下敷きになった。
俺は再び死んだ。
目が覚めた。俺は大きな門の前にいた。夢だったのか?悪酔いだと思ったが、ユーロっパとはよく見たら違う。中では風車が回り、畑を耕している人がいる。中世ヨーロッパ風の街並みだったユーロッパに比べてここは前時代的なものを感じた。
おんなは帽子のように布をかぶっていた。アンナとは違う女性だった。そして、俺に向かって言った。
「ヤーロッパへようこそ」
デジャヴ(初めてのことなのに二回目に感じること)だ。とても夢と思うことはできない。
つまりだ。地球で事故で死んだ俺たちがあの異世界にたどり着いたように、異世界で死んだらこの世界に転生するのではないか。
恐ろしくなった。もしかすると、俺みたいな奴がたくさんいてヤーロッパのようになっているかもしれない。
「もっ、もしかしてこの世界の魔王も倒されたりしていませんか?」
「ああ、そちらの世界にも魔王はいたのですね。魔王は三十年前に勇者によって」
やっぱりだ。同じだ。なんにも変わらない。ユーロッパの時よりも魔王が倒された時期が遅い!
俺は一つ仮説を立てた。
どこの世界でも死んだら違う世界に転生することになるのではないか。いや、っと俺はその考えを否定する。
このヤーロッパには地球で事故死してユーロッパにたどり着いたうえでユーロッパで事故死にならなければたどり着くことができないのではないか?
周りの馬鹿どもは、このことに気づいていないはずである。この調子でやっていけばいつかあいつらが存在しない俺だけの異世界にたどり着くことができるはずだ。
そうと決まればやることはただ一つである。
「どうしたのですか?」
おそらくナビゲーターの女は俺に向かって問いかける。しかしながら、もう止まる予定はない。
俺はそいつを振り切った。
周りの店を見渡す。八百屋にちょうどいいものを見つけた。リンゴの箱が置いてある椅子である。俺は椅子をひっくり返して地面にリンゴをぶちまけた。
「おい!」
店主は怒鳴る。しかし、足が悪いのか追ってこない。俺はラッキーだと思った。
いいか?これはあくまでも事故だ。と俺は独り言を言った。
盗んできた椅子の足を石で何度も殴る。次に俺は近くにあった木にロープをひっかけた。そして、両手でゆっくりとロープを握って、わっかを作り、首を通した。
俺はわっかから手を放し、椅子を力の限り蹴り飛ばした。




