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スクランブル勤務の見学

 世界中の多くの空軍がそうであるように、カイル空軍の戦闘機部隊にもスクランブル勤務というものがある。

 当然ながらエアベース23も同様だ。


 今日はシンノスケがスクランブル待機の当番日で、スクランブル待機所に24時間待機してスクランブルに備えることになる。

 整備員がZF-A1をトーイングしてスクランブル格納庫に搬入するのを見守るシンノスケとセイラ。

 セイラもシンノスケと一緒に24時間待機に入るが、暫くの間は待機所での留守番と見学だ。


 スクランブル格納庫にはZF-A1の他に防空隊のRDF-4が4機搬入されている。


「本来は3機編隊が2個編成、6機体制でスクランブル待機につくんだ。4時間ごとに第1待機編隊と第2待機編隊が交代しながら24時間待機する。スクランブルが発令されると第1待機の編隊が上がり、第2待機の編隊が次のスクランブルに備えるというわけだ。しかし、この班は防空隊が4機、外人部隊が2機の体制だったんだけど、先月外人部隊隊員に欠員が出てな。補充が入るまで1欠の状態なんだよ」


 セイラに説明するシンノスケ。


「そうなんですね」


 説明を聞きながらもセイラは興味津々で格納庫の中を見回している。


「だから、シンノスケには苦労を掛けてしまうのよね」


 声を掛けられて振り返れば、そこに立っていたのは黒髪長髪のスラリとした女性。

 防空隊のヤン・メイファ大尉だ。


 セイラは慌てて背筋を伸ばして敬礼する。


「セイラ・スタア伍長です。よろしくお願いします、大尉殿!」

「そんなに緊張しなくていいわよ。これからスクランブル勤務の日は毎回一緒なんですから」


 笑いながら答礼するメイファ。


「苦労を掛けている自覚があるならたまには代わってくださいよ。欠員分のカバーが全て私って、私だけずっと第1待機で、スクランブルが被らない限り毎回私が上がる羽目になっているじゃないですか」


 本来は4時間交代の筈が、1人足りないせいでシンノスケだけが第1、第2編隊に組み込まれていて、常時第1待機に着かされており、その件について抗議するシンノスケだが、メイファはどこ吹く風だ。


「仕方ないじゃない。私達はそれぞれバディが決まっているんだから。それに、シンノスケは第1待機でも平気で居眠りしているじゃない」

「ブラック編隊だ・・・」

「人聞きが悪いわね、スクランブルが無い日なんて1日中居眠りして終わりじゃない。むしろホワイト勤務よ」


 抗議するシンノスケとそれをあしらうメイファだが、お互いに本気ではない。

 そもそも、シンノスケの境遇は何も強いられているわけではなく、正規軍の編隊に入るシンノスケが毎回編成が変わるのが面倒くさいと言い出した結果のことらしい。



 シンノスケとメイファの挨拶のような軽口も終わり、同じ勤務に着く他のパイロットや整備員、連絡担当官等へのセイラの紹介が終わると、いよいよ待機任務が始まった。


「待機中はこの待機所から離れることはできないが、ここにいる限りは何をしていても構わないんだ。24時間も緊張したままだと疲れるから、皆好きなことをして時間を潰している」


 シンノスケに説明されて他の隊員を見てみれば、皆テレビを見たり、カードゲームをしたりして過ごしており、メイファも、持参したスケッチブックに何やら絵を描き始めている。


 セイラも待機所内に設置されているレーダー端末を見てみたり、無線を聞いてみたりしていたが、その後にメイファが何を書いているのかが気になり、後ろから覗き込んでみた。


「あっ、あのっ、可愛いですね」


 メイファが描いていたのは女の子や猫等のキャラクターの絵で、シンノスケのヘルメットに描かれたような可愛らしいデザインだ。


「ありがとう。私、こういうのが好きなのよね」


 メイファはそう言いながらキャラクターがところ狭しと描かれているスケッチブックを見せてくれた。

 聞けば、メイファのヘルメットには龍に乗った女の子のイラストが描かれているとのことで、スケッチブックにはその下書きも描かれており、他のページには見覚えのある悪魔の女の子のイラストもある。


「可愛い。いいなあ・・・」


 思わず呟くセイラ。


「よかったらセイラのヘルメットにも描いてあげようか?」

「えっ?いいんですか?」

「もちろん。今日は塗料や器具を持ってきていないから、次のスクランブル勤務の日に描いてあげるからヘルメットを持ってきてね」

「はいっ、是非お願いします」


 セイラとメイファの会話を聞いていたシンノスケが不機嫌そうな表情を浮かべる。


「俺の時は問答無用だったのに・・・」

「だって、事前にシンノスケに聞けば遠慮するでしょう?」

「遠慮じゃなくて拒絶ですよ」


 シンノスケとメイファのやり取りを聞いたセイラは耐えきれずに吹き出してしまう。


 その後、メイファにスケッチブックを返したセイラはソファで本を読んでいるシンノスケの横に座ると持参した教本を読み始めた。

 

 どれほど時間が経過しただろうか、いつの間にかウトウトとし始めたセイラ。


・・・ジリリリリッ!

・・・・・ヴィーッ、ヴィーッ・・・


 突然のけたたましいベルとサイレンの音が響き渡り、驚いたセイラが飛び上がると同時にシンノスケ達が駆け出した。


 スクランブル発令だ。

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