器用貧乏にはぴったりな武器
主要登場人物のキャラや見た目のイメージ
天棋義将...前髪は七三分け、髪色は黒。一人称俺。
今まで人と関わることが将棋ぐらいしかなかったが、人見知りでもないので初対面でもズカズカと踏み入ってくる。プライドがかなり高く、一度馬鹿にされたら徹底的に実力を見せつけて分からせたがる。
第一話で錦織香が言った通り、顔は整っているが容姿には興味ないので自覚がない。
棋士だった時の得意戦法は向かい飛車。
錦織香...ポニーテールで茶髪。一人称は私。
普段は剣道や合気道など色々な物を習っているが、実は見る将で天棋義将の事をずっと応援し続けていた。この世界に来て、天棋義将と会ってしまい、緊張する。
彼女もかなり容姿は良く、クトゥルフで言う所のAPP15程だ。ちなみに天棋義将はAPP14程だ。
武器屋
店の外見はおしゃれな雑貨屋といった所だろうか。
中は色んな武器が置いてるのだろう。今はあまり資金が無いから買うなら安物だな。
そう思って中に入った先には予想外の人物がいた。
それは召喚されたばかりの時に見かけた、銀髪の青年と水色の髪でオッドアイの女性だ。
「お前...中田海斗と、橘未来か?」
「え、確かレグルスって人に絶賛されてた人ですよね...?」
二人はこちらに気づき、振り向いた。
「お前ら確か、あの時残った二人だな?」
「奇遇だね、私達も武器を買いに来た所なんだ。」
「一つ聞きたいんだが、俺達以外の奴らはどうなったんだ?」
そう聞くと、海斗はやれやれといった表情をしながら話し始める。
「何かの儀式みたいに俺達を【異界遊撃軍】に任命したんだ。だがもう、任命式が長くて長くて...」
未来もそれに話を合わせる。
「それで今はたんまり資金渡されて、好きに装備を整えろってさ。でも、あんまり【異界遊撃軍】とかには興味無くてさ、いつか辞めようと思ってるんだ。」
「そういえば【異界遊撃軍】って何するんですか?未来さん。」
「やる事は冒険者のパーティーと変わらないらしいよ。だけど、他国と戦争になったり、予期しない異常事態が起きた時は先陣を切る事になるみたい。今は何ともないから普通に冒険者として過ごすけどね。」
「他の選ばれた奴らは何をしてるんだ?」
「早速腕試しに難しめの任務を受けてるよ。俺達は星二程度の物にするけどな。
己の力を過信して必要以上に高難易度の任務を選ぶのは自殺行為だよな。ほんと馬鹿だと思う。」
「海斗、言い過ぎ。今はほぼ初対面の人もいるんだよ?
...ごめんね二人共。えっと、天棋義将さんと...?」
「錦織香です。」
「香さん、またどっかで会うかもね。それじゃ、私達は行くよ。」
そう言って二人は店から出て行った。...しかし、二人共気配はただ者ではなかった。
棋士だった頃もそうだが、相手の力量は目を見たらある程度分かるのだ。
たとえ将棋をしていない人でも、どれぐらい頭が切れるのかは分かる。
俺は二人を見て確信した。今の俺達では絶対に敵わないと。認めたくはないが、分かってしまうのだ。
その悔しさが、俺の向上心に火を付けたのだ。
「天棋さん。さっきの二人、絶対強いですよね。貴方も気づきましたか?」
「ああ。一局勝負を申し込むとしても、きっと大敗するだろうな。」
「私も剣道とか合気道とか...色々やってたから分かるんです。
あの人たち、スキル以前に元々身体能力が高いですよ。」
「敵対はしたくないな。一応同じ陣営で助かったよ。」
いつかは超えるつもりだけどな。
「さ、切り替えて武器でも買いましょうか。私は剣が欲しいですねー。」
「俺も一応剣にしておくか。居飛車ぐらい無難って感じがするし。
でも確か香、お前弓とか色々使えるんじゃないか?それはいいのか?」
「持ち物かさばったらかえって戦いづらそうですし。任務なら身軽の方がいいでしょ?」
「それもそうだな。おい、おっさん、そこの剣を二本くれ。」
店の奥で荷物を整理していた、いかにもマッチョマンな男がこちらに来た。店主なのだろう。
「お客さん、あんなボロいのでいいのかい?もっといいのはあるが...」
「あまり金が無くてな。資金が増えたらまた買うよ。」
「そんな事言うなよ...それじゃ、無料だ!無料でいいから持っていってほしい武器があるんだ!」
「無料⁉そうまでして渡したい武器って何ですか?」
店主はさっき整理していたものの中から二つを取り出した。どうやら剣のようだ。
店の中では「また始まったよ。」とひそひそ声が聞こえてくる。
「こいつらは返品が殺到してる問題の武器でな、俺はいい出来に仕上がったと思ったんだが、扱いが難しいみたいでさ。役割が剣弓盾籠手とコロコロ変わるのがやりづらかったのかねぇ?」
役割が変わる...?これってもしかしたら...
「俺の上級スキル【精密鑑定】で視てみたら、【UR】って結果が出たんだが...それでも返品されまくって参っちまったよ。だからもう、無料でいいから使って欲しいんだ。貰ってくれるか?」
「...まぁ、無料なら貰ってやるか。だけどあそこの剣も買うぞ。」
「まいどあり、でもコレも使ってみてくれよな。」
そう言って店主は問題の武器を俺達に手渡した。
俺がその武器を手に取った瞬間、目の前に文字が浮かび上がる。
『持ち駒が追加されました。』
その文字が見えた瞬間、俺の手元からはその武器は消えてしまった。
もしやと思い、ステータス表を開き、そこからスキル概要を開く。
『持ち駒:器用貧乏の武具
UR武具【器用貧乏の武具】:役割が剣→弓→籠手→盾→剣 の順番に変化する。変化の条件は一度その武具を何かの行動に使う事。ある程度使いこなすと機能が進化する。』
どうやら【持ち駒】機能は、物を保管しつつ解析が出来るようだ。
これをうまく活用すれば物の持ち運びには困らなさそうだな、将棋の持ち駒に制限は無いし。
だがそれよりも、この武器の名前が...
「なるほどな。香、もしかしたらこれがぴったりの武器かもしれないな。」
「これは...早く試してみたいですね。」
「そう言ってくれて嬉しいよお嬢ちゃん。あ、一つ言い忘れてたが、その武器が弓の役割になった時、矢を使わなくても発射できるぞ。その場合は1MP消費するけどな、威力はそのままだ。」
「私、ちょうどMP多くて助かりました。今12000あるんです。」
「それって魔法使いぐらいのMP保有量じゃねぇか、なのに武器も買うんだな。」
「私、【器用貧乏】なので。」
「そりゃあぴったりだな。また来てくれよ、二人共。」
「おう、ありがとな、おっさん。」
ーーー
ダンジョン
街から出て少し歩いたところにそれはあった。周囲は草むらで、いかにも自然って感じだ。
入口から中を覗いてみるが、仲はかなり暗く、見える範囲にも限界があった。
「ひええ、暗いですね...」
「だけど、今回は鉱石の採集が目的だ。そんなに危険は無いだろう。」
「ですよね。それに、もし何かが出てきてもまだ弱いでしょうし、あの武器屋の親切なおじさんがくれた武器で戦えますしね。」
「まだ【歩兵】とかの効果が分からないし、むしろ少しは出てきてほしいところだ。」
そう会話しながら俺達はダンジョンに入って行く。
ーーー
ダンジョン入口、草むらの中に一つの折れた看板が隠れている。根元が何かの動物に引っ掻かれて折れているようだ。そしてそこにはこう書いてあった。
『現在、ダンジョン内に危険な魔物が出現中。並みの冒険者は立ち寄るべからず。』
武器のランクは
C→N→R→SR→SSR→UR→LR→???
と、左から順番に段々と強くなっていきます。
ちなみに最初に買おうとしてたやつは【N】です。